私のスクラップ帳から
その18
「NPO法人 禁煙推進の会えひめ」
旧「NPO法人 禁煙推進の会えひめ
「1000円たばこ」は1石6鳥
「1000円たばこ」は1石6鳥
≪いいことずくめの提案≫
この30年の間で日本とアメリカでは、国民の健康について大きな差が生じてしまった。アメリカではがんの死亡率が1994年から確実に減少傾向に転じたというのに、日本では逆にこの30年間で3倍に増えてしまった。
日本人の死因としてがんに次いで多い心筋梗塞(こうそく)の年間死亡数も、この30年でアメリカは3分の1も減ったというのに、日本では逆に1・6倍に増えてしまった。喫煙はがんだけでなく、心筋梗塞に対するリスクも高いことがわかっている。がんと心筋梗塞に対する喫煙のリスクについては明確なデータがあることを考えると、 日本人とアメリカ人の健康に大きな差が生じた大きな理由の一つは、両者の喫煙率の差と関係があるというしかない。
1970年代に50%を超えていたアメリカ人の成人男性の喫煙率は現在23%まで低下したというのに、日本人の成人男性の喫煙率は46%と先進国の中では突出して高いといわざるをえない。
こう考えると、日本人の喫煙率を低下させなくてはならない。その方法として笹川陽平氏がこの「正論」欄で2回にわたって提唱しているのが、現在300円前後のたばこを1箱1000円に値上げすることである。
たばこを1箱1000円にすることは、国民にとっても国家にとってもいいことずくめで一石六鳥になる。笹川氏は1000円のうち90%を税金にすることを考えているようだが、ここでは現在の63%という税率として話を進めてみたい。
≪重病数も医療費も減る≫
まずたばこの栽培農家とJT(日本たばこ産業)の利益が増える。たばこの税率は63%だから、1箱300円では110円しか利益がないが、1箱1000円なら370円の利益になるから、喫煙者が現在の3分の1以下に減らないかぎり利益は増える。
厚労省所管の医療経済研究機構の調査によると、たばこが1箱1000円になったら6割余の喫煙者が禁煙すると回答しているが、いきなり喫煙率が3分の1に減るとは思えない。
二つ目は青少年の喫煙率が減少するという効果が期待される。たばこが1箱1000円なら、はじめから吸わない若者が増えることは間違いない。特に若い女性の喫煙率は確実に下がるはずである。麻薬や覚醒(かくせい)剤への第一歩といわれる青少年の喫煙者を減らすことは、国家百年の計といっても過言ではない。
三つ目は税収が増えることである。笹川氏は9兆5000億円の増収になると試算しているが、ここでは税率を63%とした厚労省の試算によると、喫煙者の6割余が禁煙したとしても、税収は1兆円も増えることになる。
四つ目は喫煙率が下がれば下がるほど、がんや心筋梗塞といった生活習慣病が減ることになり、その結果、医療費を削減することができる。同研究機構は喫煙によって1兆3000億円の医療費が余計に使われていると試算しているが、アメリカのように喫煙率を半分に減らすことができれば、医療費を6500億円も削減することができる。
五つ目は火事が減ることである。笹川氏は、全火災のうちたばこが原因で起きている火災が10・5%もあるので、禁煙は確実に火災予防に対する効果があるのは間違いないと書いている。
≪「先進国」らしい対応を≫
最後は、何よりも多くの国民が健康になることである。がんや心筋梗塞はもちろん慢性閉塞(へいそく)性肺疾患もたばこが原因といわれている。こうしたことを考えると、たばこを1箱1000円にすることは一石六鳥ということになる。
喫煙者の方はたばこが1箱1000円になることには反対と思われる。しかし、公的医療保険や民間の生命保険の負担は、心筋梗塞やがんになるリスクが高い喫煙者と、そうでない非喫煙者の間に差がない。このことは喫煙者のリスクを非喫煙者が負担していることを意味する。
こうしたことを考えるなら、喫煙者もたばこを1000円にすることくらいは受け入れるべきではないだろうか。フィンランドやイギリスではたばこは1箱1000円以上しているし、アメリカでも7~8ドル(735~840円)である。このように先進国でたばこが1箱300円などという国はないのが現実である。
アメリカから輸入したたばこをアメリカより安く売っている日本という国は、国民の健康という視点からみると、とても先進国とは思えない。政府も国民の健康、医療費の削減、税収の増加のためにも、笹川氏の1箱1000円への値上げという提言を真剣に検討すべきである。(平成20年6月)ー産経新聞から
弊害多いたばこ もっと高く
「たとえば一箱20本入りのたばこを税の値上げで千円にする」。そんな健康政策を推進する超党派の「たばこと健康を考える議員連盟」が発足した。たばこは本人ばかりか、周りの人に受動喫煙被害を及ぼし、火災の原因や少年の非行の温床にもなっている。一方、2兆2千億円の税収を稼ぎ出し、タバコ農家や販売店を支えているが、社会全体を見ればマイナス面が非常に多い。日本のたばこは安くて、他国では日本の倍以上し、税金も高い。昭和30年代の大卒初任給は1万円弱であったが、それでも「いこい」という一般的なたばこは40円だった。現在、大卒初任給は20数万円だから、当時の感覚からすれば、40円×20数倍として一箱8百円以上ということになる。高度経済成長により、たばこの値段が下げられたのだが、「たばこ一箱千円」は昔の価値に戻すだけである。また、今と違い、昔の未成年者は高くてたばこが買えなかったのである。(医師)(平成20年6月)-愛媛新聞から
「たばこと健康」 「『1箱1000円』を支持したい」
たばこの値段を「1箱1000円」に引き上げることに賛成したい。嗜好品であるたばこの大幅な値上げには、愛煙家らから反論や批判もあることは承知の上で、あえて、たばこの値上げを支持したい。1000円になれば、喫煙者は間違いなく減るとみられている。特に、若い人が買わなくなる意味が大きい。医療費や職場の環境対策などに使われる巨額な費用も節減できる。他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙間題の解消にもつながる。超党派の「たばこと健康を考える議員連盟」が13日に設立された。これをきっかけに「たばこ煙ゼロ環境」の実現に向けて国民的な議論が広がることを望みたい。とはいえ、同議連が考えている「税収増」の狙いには全面費成はできない。「1000円たばこ」の目的は健康被害の防止と「100%たばこ煙ゼロ環境」の実現だ。禁煙者が増えれば税収は減ることもある。たばこ値上げを政治的に利用して、消費税の議論を先送りさせようと考えている人がいるとすれば、同議連の活動は幅広い支持を得られないだろう。日本のたばこ対策は欧米に後れを取っている。男性の喫煙率をみると、日本は39.9%で、フランスの30%、米国の24.1%などと比べて高い。路上やタクシー内での禁煙がようやく広がりつつあるが、まだ全国に定着するまでにはなっていない。世界保健機関(WHO)は今年2月に発表した報告書で、20世紀中に喫煙を理由とする疾病により1億人が死亡し、21世紀には10億人が死亡すると予測している。03年に採択された「WHOたばこ規制枠組み条約」は日本をはじめ157カ国が締結し、たばこの消費がもたらす疾病や死亡を減らそうという動きが世界の潮流になっている。WHOは、たばこの広告、販売促進の禁止、危険性の警告に加え、たばこ税の引き上げを各国に求めている。「1000円たばこ」は、枠組み条約にのっとった措置でもある。日本のたばこの値段は1箱300円程度だが、欧米では700~1300円だ。1000円に値上げしても、飛び抜けて高いということではない。もちろん、値上げだけで禁煙が進むとは思えない。学校でたばこの健康被害について教えることも必要だ。神奈川県が公共施設での全面禁煙条例を作る作業在始めている。職場や公共施設を禁煙にする動きが着実な流れになるよう後押しをしたい。 「1000円たばこ」で愛煙家をいじめるつもりはない。(平成20年6月)ー毎日新聞から
禁煙でイライラ消え健康改善
1日付「たばこの危険性 もっと啓発を」の投稿で、医師へのお尋ねの「禁煙の利点」についてまとめさせていただいた。禁煙後20分で血圧が、8時間で血液中の酸素濃度が正常になる。1日で心筋梗塞の危険性が減り、2日で味覚・嗅覚が回復する。1週間で循環機能が改善して歩行が楽になり、1ヶ月でせきや疲労、息切れが改善される。5年で肺がんの危険が半減し、10年で肺がんの危険性が非喫煙者と同程度になると言われている。また、1本吸うのに3分かかるとして、20本分で1時間の余裕ができる。1箱300円として、1年で約10万円、10年で100万円節約となり、家族や周りの人の健康を考える自分を見せることにも。禁煙した方が一番実感することは「イライラしない自分に戻れる」ことだそうだ。自分で禁煙できる率は低いが、新しい飲み薬を使うと短期的には70%くらいの禁煙成功率があるという報告もある。さあ、医療機関を受診し、禁煙治療を始めよう。(医師)(平成20年6月)-愛媛新聞から
禁煙デーきっかけにやめよう
禁煙デーきっかけにやめよう
5月31日は世界保健機関(WHO)が定めた「世界禁煙デー」。今年のテーマは「若者をたばこから守ろう!たばこ会社の広告・販売促進活動・スポンサーシップをやめさせよう!」だ。わが国では40歳代以降は喫煙率が下がっているが、たばこ会社の戦略により若年者の喫煙率は上昇している。今や「喫煙は病気」「喫煙者は患者さん」と認識されるようになり、治療には健康保険が適用されるようになった。治療薬もニコチンガム・ニコチンパッチに飲み薬が加わった。新しい飲み薬は、たばこを吸っても満足感がなくなり、さらに禁断症状も出にくいという特徴があり、適切なカウンセリングを受けながら服薬することで禁煙成功率が上がっている。まれに副作用も報告されているので、医師の下で使用されることが大切だ。世界禁煙デーを良いきっかけと考え禁煙に挑戦し、周りの喫煙者の方々にも禁煙を勧めて欲しい。(医師)(平成20年5月)-愛媛新聞から
喫煙は健康害し環境も破壊
受動喫煙の害が大きな問題になっている。吸わない人までも他人の煙で健康被害を受けることだ。喫煙場所が狭められているが、受動喫煙の害についてはまだまだ周知されているとはいえない。大街道でも、まつちかタウンの噴水でも、飲食店でもどこでも平気で吸っている。喫煙者にはなんとも思わない煙であっても、吸わない人にすれば、これほど不愉快で迷惑なものはない。灰皿さえあれば吸ってもよいといった態度で、そばに誰がいようが知らん顔で吸っている。喫煙は自身の健康を害し、モラルも捨てて環境をも破壊する。行政はごく控えめに禁煙を勧めているのが日本の現状だと思う。たばこの値段は先進国の中ではもっとも安く、有害性の啓発も極めて遅れている。5月31日は「世界禁煙デー」。これを機会に禁煙にチャレンジしてはいかがだろう。(医師)(平成20年5月)-愛媛新聞から
喫煙は病気 積極的に治療を
先日、本紙にも掲載されたが、ある製薬会社のインターネットを使った喫煙に関するアンケートで、喫煙者の約7割がニコチン依存症と診断されているにもかかわらず、うち4割はその自覚がない。また、7割が禁煙を試みて失敗していながら、医療機関に相談したけ異見がある人は1割にも満たず、2006年から禁煙治療に保険が使えるようになったのを知っていたのも半数以下だった。禁煙手段として、医師に薬を処方してもらった人は、わずか0.4%。喫煙者には、たばこは嗜好品ではなく、喫煙はニコチン依存症という保険適応の病気であることを知ってもらい、この喫煙病という大変な病気を治療するために禁煙外来のある医療機関を受診していただきたい。今月からは、飲み薬の禁煙補助薬が発売され、禁煙成功率がますます向上した。また、行政においてはメタボ対策も大切だが、喫煙病を積極的に治療することの重要性をもっと広報するべきだ。(医師)(平成20年5月)-愛媛新聞から
「世界禁煙デーinえひめ2008」開催 禁煙を訴えデモや句会(松山)
31日の世界禁煙デーを前に、たばこによる健康被害などを知ってもらおうと「世界禁煙デーinえひめ2008」が25日、松山市湊町5丁目のいよてつ高島屋などであり、デモ行進や句会ライブなどでたばこの害を訴えた。禁煙推進の会えひめ(大橋英勝代表世話人)と日本禁煙推進医師歯科医師連盟愛媛支部(加藤正隆支部長)が2001年から毎年開催。今年の世界保健機関(WHO)の世界禁煙デースローガンは「若者をタバコから守れ!」。市内中心商店街でのデモ行進には、たばこの着ぐるみをまとったスタッフら約70人が参加。「禁煙は愛です!」と記した横断幕を先頭に、「歩きたばこやポイ捨てはやめよう」などと呼び掛け、買い物客らに禁煙を訴えた。俳句が盛んな土地柄を啓発に生かそうと、いよてつ高島屋で「卒煙」をテーマにした句会を俳人夏井いつきさんを招き初めて開催。約1時間で百四人から投句があり、「禁煙です若葉の父親参観日」「夏空へ紫煙胎児蹴飛ばす子宮」「風薫るタバコをやめて六十年」など6句が優秀作品に選ばれた。(平成20年5月)-愛媛新聞から
受動喫煙禁止こそ適切施策
本年度から始まった特定健康診査(いわゆるメタボ健診)では、脳卒中・心筋梗塞などを減少させるために、メタボリッック症候群の減少を目指している。メタボ該当者が減少しなければ、保険者の市町村にペナルティーを科するようになっている。しかし、メタボ該当者の減少が生活習慣病予防に役立つという確たる証拠はない。本当に生活習慣病を予防し減少させるのであれば、公共の場の受動喫煙禁止が手っ取り早い。欧州の報告では、公共の場での受動喫煙を完全に禁止する法律が施行されて1年で心筋梗塞の発症が40%も減少したという。今の世の中は、EBM(証拠に基づく医療)でいかなければならない。科学的根拠に基づいた診療方針を重視し、喫煙者が多い市町村にはペナルティーを科すくらいの方策が、正しい保健施策と考える。(医師)(平成20年5月)-愛媛新聞から
企業は受動喫煙対策進めよ
職場での受動喫煙は、糖尿病発症の独立した危険因子であることが、国内の就労働者約6千人を対象とした厚生労働省の「青・壮年者を対象とした生活習慣病予防のための長期介入研究」の成果で報告された。能動喫煙は糖尿病発症の危険因子(1.9倍)であるが、受動喫煙も危険因子(1.81倍)であるということが明らかにされた。調査を解析した京都大学の林野講師は、「職場の受動喫煙対策は糖尿病発症リスクを軽減するとともにメタボリック症候群対策に有効と考えられ、4月から始まった定期検査に合わせて、各企業はたばこによる職場の環境汚染について再評価し、受動喫煙対策を積極的に進めて欲しい」と述べている。企業が、全館禁煙等の受動喫煙対策を積極的に推進することは、従業員の禁煙への動機付けにもなり、健康増進にもつながる。糖尿病だけでなくたくさんの病気の原因であるたばこの煙を排除し、大切な従業員の健康増進に寄与するため、各企業には、積極的な禁煙推進をお願いしたい。(医師)(平成20年5月)-愛媛新聞から
リーガロイヤルホテル新居浜が禁煙に
リーガロイヤルホテル新居浜が禁煙に
新居浜市前田町のリーガロイヤルホテル新居浜は、7月から客室以外のパブリックスペースを禁煙にする。全国で6ホテルを展開するグループの方針で、新居浜から順次実施する。同ホテルは「ホテルの公共スペースすべての禁煙は県内初ではないか」とみている。 対象は、1、2階の各ロビーやラウンジ、通路のほか、1、8階のレストラン(一部個室を除く)。愛煙家にも配慮し、営業を終了する1階の喫茶店を改装し、喫煙室を設ける。同ホテルによると、客室予約の際、最近は利用者の約半数が禁煙席での食事を希望。ロビーなどでも、たばこの臭いに不快を訴える声が増えているほか、新郎新婦の希望で会場内禁煙の披露宴もあるという。
神奈川県、不特定多数利用の施設を全面禁煙・・年内にも条例
神奈川県の松沢成文知事は15日、不特定多数の人が利用するすべての施設を対象に、室内を全面禁煙とする条例案を年内にも提案すると発表した。喫煙者、施設管理者の双方に罰則を設ける。路上での歩きたばこを罰則付きで禁止する条例を持つ自治体はあるが、屋内対象は全国初。松沢知事は「すべての県民を受動喫煙から守る条例にしたい」と来春の施行を目指す。条例案の対象には、学校や病院、官公庁のほか、飲食店、宿泊施設、パチンコ店やマージャン店などの娯楽施設も含める。施設利用者に禁煙を義務づけ、施設管理者に<1>禁煙の表示<2>灰皿の撤去<3>喫煙者にはやめるよう注意する――ことを義務づける。金銭罰など罰則内容は今後、検討する。県は業界代表らと意見交換を重ねてきたが、飲食店などは「店内でたばこが吸えなければ客が困る」と反対が根強い。一方、意識調査を実施し、「規制が望ましい」と答えた県民の割合は、「飲食店」が56%、「宿泊施設」が49%、「娯楽施設」が32%だった。県は業界の意見や調査を踏まえ、全面禁煙を義務づける施設や完全分煙を認める施設などを検討する。海外では、英国・イングランドで2007年施行の禁煙法でパブやクラブなどが禁煙となった。違反者は50ポンド(約1万円)が科される。フランスでも今年1月、レストランやカフェなどで禁煙が義務化された。(平成20年4月)-読売新聞から
有害な喫煙 免許制にしては
何かを使用や利用するにあたり、使用者や周りの者、自然に害を与える場合、免許の必要なことがほとんどである。自動車運転免許しかり、劇物取扱者免許しかりである。有害なことが明らかなのに免許制でないものがある。20歳になってから使用しても半数がたばこ関連疾患で死亡し、周囲に受動喫煙被害を与えている。タスポなどという自動販売機でたばこを購入するためのカードが県内でも5月から導入される。いっそのこと、喫煙を免許制にしてしまい現在の喫煙者以外には許さないようにしてはどうだろうか。免許は更新制として、3年ごとにたばこの害の講義を受け、試験に通らなければ免許取り消し。また、免許不携帯、禁煙場所での喫煙、ポイ捨て等の行為が重なれば、やはり免許取り消しとする。駐車違反の取り締まり民営化にならい、市民による取り締まりを可とすればなおよい。国民の健康を本当に考える政治家ならできると思うが、どうだろうか。(医師)(平成20年4月)-愛媛新聞から
タスポ 喫煙防止効果に疑問
タスポ 喫煙防止効果に疑問
未成年者の喫煙防止を目的として、自販機からたばこを買うために必要なtaspo(タスポ)というICカードが導入されつつある。このシステムには二つの問題がある。一つは、2004年から種子島で導入実験をしたところ、親のカードを持ち出したり、成人の先輩からカードを借りたりして未成年者の補導件数が全く減少しなかった事実があり、未成年の喫煙を防止できるという目的に疑問がある。もう一つは、たばこを買うだけのカードに個人情報が集約されてしまい、一会社であるJTが管理するという個人情報保護の面である。喫煙者2千7百万人の個人情報がJTにつつ抜けになるのに、個人情報にうるさい世論が何も言わないのが不思議である。本気で子どもたちの喫煙を防止したいのなら、日本政府が締結した「たばこ規制枠組み条約」を順守し、たばこ自販機の早急な全廃を実行するべきである。また、わが国の「未成年者喫煙防止法」に従い、われわれ大人は子どもたちのために「たばこの対面販売」という多少の不便は受け入れるべきである。(医師)(平成20年3月)-愛媛新聞から
勤務時間中はたばこ禁止 橋下知事が検討指示
大阪府の橋下徹知事は18日、府議会の健康福祉常任委員会で、府職員の喫煙をめぐり「執務時間中は禁煙の方向で検討できないか指示した」と述べた。さらに条例で昼食時の休み時間とは別に1日15分ずつ2回取れることになっている休息も“喫煙タイム”となっている側面を踏まえ「民間ではありえない」として、廃止する意向だ。橋下知事は若手職員を対象とした朝礼でも「たばこの休憩」を認めない考えを強調していた。実施時期や条例改正の内容などについては今後、議会などとも協議して調整する。
委員会後、橋下知事は「職場の外に出て喫煙すると1回に10分はかかる。税金をもらっている職員が1日に何度もやっては府民の理解は得られない」と強調。さらに職員は休み時間も含め、庁舎内での喫煙は全面禁止する考えも打ち出した。(平成平成20年3月)-西日本新聞から
自販機設置禁止など要望 たばこ対策で学術会議
日本学術会議は4日、たばこの自動販売機設置の禁止や、職場、公共の場所での喫煙を罰則付きの法律で禁止することなどを柱とする要望をまとめ、厚生労働省に提出した。「喫煙による健康障害に議論の余地はなく、受動喫煙の影響も科学的根拠の論争に終止符が打たれた」として、喫煙率削減の数値目標も設定していない日本の現状を批判。対策強化を求めた。要望はこのほか(1)健康障害に関する一層の教育、啓発(2)たばこ税の大幅引き上げ(3)未成年者喫煙禁止法の順守―など。学術会議が今回、欧州30カ国のたばこ対策を研究者が評価した際に使われた項目を使い、2005年時点での日本の対策を評価すると、30カ国すべてを下回ったという。要望をまとめた学術会議の分科会委員長の大野竜三・愛知県がんセンター名誉総長は「今の対策で、日本が7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)に向けて、健康面でリーダーシップを発揮していると言えるのか。日本を世界が注視している」と話している。(平成20年3月)-共同通信から
県内タクシー全面禁煙に賛成
今年の8月5日から、愛媛県のタクシーがほぼ全車禁煙になるそうである。県タクシー協会の英断に拍手を送りたい。今後は、タクシーの乗客ばかりでなく乗務員の受動喫煙被害も防止できる。たばこには、約六十種類の発がん性物質、約二百種類の有害物質および約四千種類の化学物質が含まれており、喫煙者自身だけでなく周囲にも受動喫煙被害を及ぼす。世界を見渡せば、タクシー全面禁煙は常識で、日本でもこの禁煙の波は押し寄せている。「喫煙者はますます肩身が狭くなる」というコメントが本紙に載っていたが、たばこ規制枠組み条約により、今後は世界的に公共の場での喫煙場所はなくなるであろう。いくらたばこ問題をマナーやモラルの問題としてとらえようとしても、医学的には喫煙はニコチン依存症と関連疾患からなる喫煙病」で、嗜好ではなく病気であると定義されている。このタクシー全面禁煙を良い機会ととらえ、多くの喫煙者の方がこの大変な「喫煙病」から解放されることを期待したい。(医師)(平成20年3月)-愛媛新聞から
愛媛県内タクシー禁煙へ 8月5日から 協会決定
愛媛県内タクシー禁煙へ 8月5日から 協会決定
愛媛県ハイヤー・タクシー協会(県ハイタク協会)は20日、松山市内で役員会を開き、8月5日の「タクシーの日」から同協会に所属する全業者がタクシーを禁煙とする方針を決めた。県個人タクシー協会も同日から、追随する方針を固めており、県内のタクシーのほとんどは禁煙車となる見通し。昨年12月現在、県ハイタク協会の会員は189業者で2566台。県個人タクシー協会には216台が所属している。県ハイタク協会は会員以外の業者にも禁煙化を呼び掛けていくことにしている。タクシーの禁煙化は2003年の健康増進法施行を受けて全国的に進んでいる。県内では昨年10月、県ハイタク協会の役員会で議題に上り、会員にアンケートを実施するなどして導入の是非を検討していた。(平成20年2月)-愛媛新聞から
たばこで年間800万人死亡 WHO、2030年まで
世界保健機関(WHO)は7日、たばこに関連する世界の死者数が2030年までに年間800万人に上り、その約80%が発展途上国だけで占められる恐れがあると警告する報告書を発表した。先進国で喫煙の規制強化などを受け、たばこ会社が途上国に販路を拡大するためと指摘している。WHOによると現在、世界で推定約500万人が死亡。マーガレット・チャン事務局長は、途上国でのたばこ消費拡大は「病気や死者を増加させ、労働力の減少や医療費の増加につながる」と強調。報告書では、たばこ税の引き上げや禁煙支援の拡充、健康被害の警告強化など6項目の抑制策を提言した。
報告書によると、世界の喫煙者は10億人以上。約3割が中国で、インド、インドネシア、ロシア、米国、日本が続いた。代表的な27カ国の規制の現状も紹介。日本では通常、たばこ1箱の値段が約300円なのに比べ、英国では5ポンド23ペンス(約1090円)と高額だと指摘した。日本と米国の間では大きな差はなかった。広告・宣伝に関する13項目の規制についても、英国は(1)国内の雑誌、新聞(2)国内のテレビ、ラジオ(3)広告看板・屋外広告―など9項目をクリア。一方で日本は「販売促進目的の値下げ」をしていないという項目が認められただけだった。たばこ税に関しては、世界人口の3分の2をカバーする計70カ国の税収総額のうち、規制のために振り分けられる支出は0・2%しかないことが判明。規制に充てる支出を拡大するよう求めた。(平成20年2月)-共同通信から
「タスポ」導入の効果に疑問
日本たばこ産業(JT)は今月から、たばこを自販機で買うときに成人であることを証明する「タスポ(成人識別ICカード)」利用者への受け付けを開始した。これは住民台帳ならぬ、喫煙者台帳を作成することになり、購入した喫煙者の個人情報のみならず喫煙状況もJT側の手中に入るということになる。今後、新製品の紹介や喫煙本数が減った際の喫煙継続サポートがダイレクトメールで送られてくることが予想される。カードを持つことが大人のマナーであるとキャンペーンを行うようだが、タスポを試験的に先行実施した種子島では未成年者が親や友人のカードを使って購入し、補導件数には差がなかったとされている。マナーや購入方法のPRには力を入れて、生き残りをはかるJTであるが、たばこはそもそも毒物のようなものである。携帯灰皿を持ち歩けばよし、タスポを持っていればよし、という問題ではない。毒入りギョウザが大騒ぎされているが、たばこはそれ以上に深刻に国民の健康をむしばんでいる。(医師)(平成20年2月)-愛媛新聞から)
未成年の禁煙治療も保険で 医療現場から適用求める声
未成年者の喫煙防止策「taspo(タスポ)」だが、全国でも珍しい中高生の禁煙外来がある東北中央病院の大竹修一医師は「自動販売機がある以上、根本的な解決にはならない」と懐疑的で「成人の禁煙治療には2年前から健康保険が適用されているが未成年はまだ。未成年の喫煙も『ニコチン依存』という病気で、保険適用で受診・治療数を増やす必要がある」と訴える。
東北中央病院は2000年に中高生の禁煙外来を開設、年間約30人が受診する。治療は成人と同様、ニコチンを含ませたパッチを皮膚に張ることでニコチンを摂取させ、喫煙しなくても済むようにするのがメーンだ。しかし、保険適用外のため未成年はすべて自費。成人は標準的な治療(3カ月)で約1万2000円の自己負担だが、未成年は同期間でパッチ代やカウンセリング料など計3万―4万円掛かるという。04年度の厚生労働省研究事業によると、高3男子の喫煙経験率は42%。毎日喫煙する生徒も13%で、大竹医師は「未成年はニコチン依存がひどくなりがち」とも指摘する。治療を始めて約2カ月の中学2年の男子(14)は「前はたばこを吸わないと暴れたくなるほどいらいらしたけど、今はそんなことはない」と落ち着いた様子で話す。
ただ厚労省は「未成年は喫煙期間が短く依存症には該当しない」と保険適用に後ろ向きで「法律上、喫煙できない未成年の禁煙外来の状況についても把握していない」などと説明するだけだ。大阪府立健康科学センターの禁煙カウンセラー増居志津子さんは「成人の保険適用で禁煙治療が増えるのに伴い肺がんなどが減り、15年間で約900億円の医療費が削減できるとの試算もある。お金のない未成年は治療費が負担となることがあり、厚労省は適用を検討すべきだ」としている。(平成20年2月)-共同通信から
禁煙化進まない日本 非常識
禁煙化進まない日本 非常識
今月1日より、フランスの飲食店は全面禁煙となり、違反者には罰金が科せられるようになった。これで、ヨーロッパの主要国は、タクシーなど交通機関をはじめ、飲食店を含めた公共の場はすべて禁煙となった。日本を含め126カ国が批准しているたばこ規制枠組み条約第8条(受動喫煙防止条約)を順守するなら、2010年2月までには公共の場、職場、レストラン、交通機関など法律上完全禁煙にしなければならない。そのために、批准した各国はその取り組みを順次行っている。ところが、わが国はどうであろう。この条約を知っている日本人はどれほどいるのだろうか。民間レベルではやっとタクシーやJRの禁煙化が全国的に進んでいる程度で、行政では条約順守に向かっているように思われない。ほとんどの日本人は、世界保健機関を中心に世界規模でたばこを規制しようとするこの条約の存在さえ知らず、いまだに、「愛煙家」や「喫煙権」などという言葉を使用している。日本のたばこに関する常識は世界の非常識なのである。(医師)(平成20年1月)-愛媛新聞から
喫煙問題への行政対応甘い
新春の知事、松山市長のテレビ対談が放映された。観光客を呼び込み活性化を図りたいという内容であった。しかし喫煙問題に対する行政の対応の甘さが、県都松山の印象を悪くしていることも知らねばならない。昨年松山市が主催した「みんなの生活展」では、JTの大型トレーラー式喫煙車を誘致し、また大街道の街角にはわざわざ十数個の灰皿を設置して受動喫煙をあおるような愚行を行った。松山市の中心部である大街道、坊ちゃん広場、まつちかタウンなどでは、ポイ捨てをなくす意味であろうか、灰皿を設置している。これらは健康増進法を無視しているどころか、喫煙を助長していることを意味する。フランスでは今月2日から、カフェ、バー、レストランの喫煙が法的に禁止となった。「喫煙者と非喫煙者の双方の立場を尊重しー」という県や市の従来のスタンスは時代にそぐわない。県や市の保健行政は喫煙問題に関していえば怠慢を極めている。法律が悪いのであれば、変えていくべきであろう。保守よりも変革の時代を認識するべきだ。(医師)(平成20年1月)-愛媛新聞から
香川も3月1日からタクシー禁煙に
香川県乗用自動車協同組合(94社、1696台)は8日までに、協会に加盟するタクシーを3月1日から禁煙にする方針を固めた。個人タクシー145台も同調する方向で、県内のほとんどのタクシーは禁煙となる。国土交通省四国運輸局によると、タクシーの車内を一律禁煙とするのは四国で初めて。香川県内の多くのタクシーは昨年12月に値上げを実施。協同組合は、利用者から「たばこのにおいが気になる」との苦情が相次いでいることを踏まえ、値上げに伴うサービス向上の一環として禁煙を決断した。協同組合の猪塚明専務理事は「列車や飛行機を降りた愛煙家の方からは『車内で一服したい』という声もあるが、仕方ない」と話している。2月1日から高松空港やJR高松駅に看板を設置し、利用者に周知を図る予定。四国では高知県内で、運転手が禁煙し、乗客にも協力を求める取り組みが進んでいる。(平成20年1月)-日刊スポーツから
有効な禁煙法制化 日本でも
英国では、昨年7月よりパブやレストランを含めたすべての職場に禁煙法が導入された。医学専門紙によると、その結果、接客従業員の有害な受動喫煙への曝露が95%減少したと英国国立癌研究所会議で報告された。たばこを吸わない接客従業員は、ニコチンの代謝産物で、受動喫煙の指標となる唾液中のコチニン量が禁煙法施行前後1ヶ月で四分の一に減少したそうである。今回、確認された短期間の健康改善は禁止法推進の非常な励みになり、他国でも禁煙法法制化は有効で、即座に健康上の便益が得られると理解されることを期待したいと報告は結んでいる。また法制化前には、経営者の半数以上が禁煙法制化は収益にマイナスとなると述べていたが、法制化後は70%の経営者が「商売への影響がない、または好転した」と回答した。禁煙化は思ったより容易で、現在では経営者の91%が完全に店を禁煙化しようとしているそうである。日本もたばこ規制枠組み条約を順守し、早急な禁煙法制化を望みたい。禁煙法制化は非喫煙者の客はもちろん、従業員の健康を守り、さらに喫煙者に禁煙を促すことにつながり、すべての国民の健康増進に寄与するのである。(医師)(平成20年1月)-愛媛新聞から