別子銅山関係

【住友別子鉱山史】

             住友金属鉱山  平成3年

別子開坑300年記念事業として編纂された「住友別子鉱山史」。住友家全体では、住友史料館の「泉屋叢考」「住友修史室報」があるが、別子鉱山だけでは絶対的存在である。第3巻の「別子鉱床群の地質と鉱床」は、鉱山地質の最高資料。

【別子300年の歩み】

             住友金属鉱山  平成3年

「住友別子鉱山史」と共に出版された。鉱山史が全3巻の大著であるのに対し、本書は320ページの読みやすいダイジェスト版となっている。それでも、明治以降の別子近代化の道程が、簡潔に要領良く纏まっており、必読の書である。

【別子開坑二百五十年史話】  平塚正俊編

              住友本社  昭和16年

発行は12月25日。日米開戦直後である。未曾有の国難に直面するのを直視し、今の栄光が、努力と苦難の上に成ることを切々と説いている。やや感情的な表現も多いが面白い。表紙は住友家秘蔵の開坑時の粗銅を7色刷にしたもの。

【日本の鉱床探査(全2巻)】

          日本鉱山地質学会  昭和56年

日本の鉱山のほとんどが閉山となった昭和56年、同学会の30周年記念誌として刊行された。別子および佐々連鉱山は第1巻に収録されている。鉱山末期に行われた最後の探鉱の赤裸々な記録である。技術者群の別子決別の書でもある。

【旧別子案内】

           別子銅山記念館  昭和53年

 別子銅山記念館が、旧別子訪問者用に作成した案内書。24ページの小冊子であるが、末尾の「旧別子案内図」はわかりやすい。発行から30年。別子も樹木に覆われ自然に帰りつつある。市が保存に乗り出すと言うが、やや遅きに失する。

【銅 山】

            岩波写真文庫  昭和26年

 「銅山」と名ずくが、すべて別子銅山の解説である。鉱工業の戦後復興を象徴するような力強い写真で埋め尽くされている。ヘルメットではなく「安全帽」であるのも面白い。鉱石から精銅まで、オリジナル写真による一大絵巻である。

    【明治の別子】  伊藤玉男 著

           銅山峰ヒュッテ  昭和48年

 銅山峰の主、伊藤玉男氏の労作。「明治の別子」ではあるが、主役は、広瀬宰平でも伊庭貞剛でもなく、無名の採鉱夫達である。いわば正史に対する野史的視点で、別子庶民の生活を伝える。先生は平成16年に逝去。痛惜の極みである。

【旧別子銅山案内】 石村修二郎 伊藤玉男編

            銅山峰ヒュッテ 昭和44年

 社会人山岳部長としてその名を馳せた「住友化学新居浜製造所登山部」石村氏と、「住友金属鉱山登山部」伊藤氏の夢の合作。後半の“旧別子銅山アルバム”は会社から提供された豊富な資料を駆使して考証を重ね、遂に脱稿した名作である。

【別子銅山と近代産業遺産 未来への鉱脈】

              新居浜市  平成11年

 別子銅山は、近代産業遺跡として貴重である!そんなことは昔からわかっているが、今も、旧別子は企業の所有で、史跡公園化ができないのが現状である。そんな中で、市がやっと重い腰をあげて作ったガイドブック。今後に期待したい。

【歓喜の鉱山】

               新居浜市  平成8年

 市の鉱山観光施設「マイントピア別子」を訪れる観光客のために編集された別子の総合解説書。この一冊を読めば、「住友別子鉱山」の全体像を俯瞰することができるが、市と住友側の書物との相違は、「鷲尾勘解治」翁の記述の仕方にある。

【広瀬宰平と伊庭貞剛の軌跡】

            広瀬歴史記念館  平成17年

 二人の言葉を一つづつ。広瀬「逆命利君、謂之忠」(ある時は主君に逆らうことも忠)、生涯の教訓。伊庭「住友の財産といった所で何程のものでもなく、たかが銅を吹いて儲けた位のものゆえ、潰してもらっても結構です。」友純の家長勧誘時。

【別子銅山近代化産業遺産

ふれあい めぐりあいガイドブック】

 愛媛県立新居浜南高等学校 情報科学部他 編 平成17年

 高校生の作った、総合ガイド。産業遺跡を八十八カ所になぞらえて詳細に解説。貴重な遺産が、未来に受け継がれるか否かは彼ら若い力にかかっている。大切に育ててゆきたい。

 

 

市之川鉱山関係

【資料集 市之川鉱山】  伊藤 勇 編著

          西条市教育委員会  昭和61年

 市之川鉱山の唯一の鉱山誌。江戸期の山主である曽我部氏の「市之川鉱山沿革誌」からの抜粋も多く、市之川研究のためには一度は読破しなければならない要書でもある。後半の「座談会」は、往年の鉱山の様子を物語る貴重な記録である。

【続資料集 市之川鉱山】  伊藤 勇 編著

           西条市教育委員会  平成6年

 本書は、伊藤先生が、世界中の博物館に照会して、どこにどのような輝安鉱が保存されているかを調査された労作である。やはり海外の標本はすばらしい。「市之川鉱山処分」は有名な「大山騒動」の公文書。藤田組の苦悩がよみがえる。

【市之川地区の歴史】  伊藤 勇 編著

           西条市教育委員会  昭和63年

 市之川の、伝承、聞き書き、民俗などを纏めた生活文化誌。鉱山関係者がほとんど鬼籍の人となった現在、二度と編纂することのできないかけがえのない記録集である。これら3部作を完成された伊藤先生のご努力に心から敬意を表します。

【市之川鉱山 豆知識】

          西条市教育委員会  平成13年

 市之川鉱山閉山から50年。鉱山跡は、度重なる土砂崩れや氾濫で、次第に荒廃の度を強めているが、全国からの見学者は依然絶えることはない。市之川公民館を訪れた人に配布される小冊子。今後の保全をぜひ一緒に考えてほしい。

 

                                              [1] [2]