サファイア

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 愛媛県越智郡岩城村産のサファイヤ。皆川先生によると、花崗岩の捕獲岩ということらしい。花崗岩といってもスカルン化したような堅牢なもので白雲母が散在しているところをみると、やはり高温高圧の特殊な生成条件が考えられる。ピンホール的な産出ですでに絶産とのことである。サファイヤはと見ると、これがまた眼の醒めるような深いブルーの味わいで、説得力は充分にある。右写真では六角形板状の結晶形もはっきりしており、広島県勝光山や奈良県二上山産のものと比べても、まったく遜色のない美しい標本である。サファイヤは、成分的には、ルビーと同じ酸化アルミニウムで、不純物に「チタン、鉄」を含むか「クロム」を含むかにより名前が異なっている。条件的に厳しいのは、やはり深紅のルビーのほうで、ピジョンレッドとも称される、いわゆる正真正銘のルビーの価値はダイヤモンド以上とも言われている。それ以外は、赤っぽくても「ピンクサファイヤ」とか「紫サファイヤ」と呼ばれ、ルビーより1ランク下に格付けされるが、宝飾を好む女性の趣味を除けば、どちらも貴重な愛媛のコランダム系宝石であることに変わりはない。そんなルビーによせる想いを、「愛媛労災病院山の会」の随想にちょっと過激に書いたことがあるので、またご高覧いただければ幸甚である。

 下に、皆川先生著「四国産鉱物種」(2003.1)に掲載されている、このふたつの美しい写真を転載させていただく。

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 第一発見者である先生も、ルビーについて、「世間をお騒がせしたルビーです。この標本はCr2O3 0.5wt% 含んでおり化学的にはルビーに属すると思われますが、色から判断した場合なんともいえません。だけども透明感があり、紫紅色を呈するなかなかのものと自負しております。」と気概を込めて述べておられる。深い谷に分け入って苦労の末に巡り会えた宝石は、先生にとっても何者にも代え難い恋人なのであろう。

 小生も、10年余りかかって、なんとかこの二つの恋人を入手して大切に秘蔵しているが、疲れた時や寂しい時に取り出してしみじみと見つめていると、囁くような妖しい輝きで、わがこころをそっと癒してくれるのが嬉しい。

 

 最近は、悲願の愛媛産ダイヤモンドも遂に発見されたと聞く。ダイヤモンド、ルビー、サファイヤと三拍子揃った愛媛県!「スゴいぞ、愛媛県!素晴らしいぞ、愛媛県!!」とおもわず快哉を叫ばずにはいられない。

 

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