おしりが痒い人は意外と多いものです。その前に「じめじめする」とか「しめっぽい」と訴える人もおります。

最近ウォッシュレット付トイレの普及で多くなっていますが、長時間の使用で皮膚が温熱湯でふやけたり、乾燥風でいたむことによると思われます。また「清潔にしなければ」という考えが強調され、必要以上にお風呂で洗ったり、ナイロンタオルでこすったりしてピカピカにしている人にもよく見られます。

肛門周囲の皮膚は粘膜と皮膚の境にあって薄く柔らかいため傷つきやすいのです。機械的・物理的・化学的刺激でその皮膚が炎症を起こし皮膚炎となります。

こすり過ぎると皮膚のリンパ液がにじみ湿っぽくなります。慢性化すると皮膚は肥厚し色も変わりますます痒くなり、ふとんに入るとさらに痒くなってかきむしることになります。

「清潔にしなければ」と風呂でますます入念にこすることになり悪循環に陥ります。いぼ痔や切れ痔の人はしばしばこの傾向にあります。皮膚表面の「あか」や皮脂は保護膜でもあります。これらをきれいに取ってぴかぴかにするのは不自然です。適当にしましょう。

 また肛門から脱出する痔核や、いぼ状のものや、しわ状のもののため拭き取り難く、人より多くこすることも原因になります。自己判断でいろいろな軟膏やクリームを使って、かえってひどくなるケースもあります。適切な外用薬の使用と上記の肛門管理が望まれます。