アンサンブルで交流、交流〜!
平成6年卒 大元 佳奈
それは一本の電話から始まった。
「おーもっちゃん、こんにちは。」
男は普段と変わらぬ様子で話かけてくる。電話の向こうのかすかなざわめき。おそらくは職場からであろう。私は時計を見る。平日の夕方の5時30分。普通の社会人ならばまだ帰宅していない時間である。こんな時間に自宅に電話をかけてくるなんてこの人は私が働いていないと思っているのね、私の小さな自尊心がやや傷ついた。仕事といっても5時までのアルバイトの身。そんな不安定な生活のため過敏になっているだけなのだが。
そして男、井手会長(当時)はそんな私の気持ちを知りもしないで、唐突に用件を切り出した。「現役とアンサンブルをやるからプログラムを作って。」
「はいぃ〜!?」
まったくの寝耳に水だ。いつの間にそんな話があがっていたのだろう。
「アンサンブルって誰がやるんですか?」
会長の答えは愛響とウインドの音萌メンバーのアンサンブルを出すというものだった。
このときまだ私は他人事のように感じていた。まあプログラムを作るぐらいなら・・・。私はいつものようによく考えもせず、気軽に引き受けたのだった。
しばらくして私は自分の認識不足を思い知らされた。いつの間にやらホルン4重奏と現役・OB合同金管アンサンブルのメンバーに組み込まれていたのだ。何も聞いていなかったのはただ私が忘れていただけだったのだが、あまりの急な展開に戸惑いを隠せなかった。私の知らないところでどんどん話が進んでいく・・・。私はそんな不安を拭おうと真実を確かめに東高へと向かった。
そしてそこで私が見たものは現役といつの間にやらなじんでいる井手会長の姿だったのだ!しかも現役の名前をフルネームで覚え、彼女らとすっかり「お友達」であるとさえ言うのだ!そしてクラリネット6重奏を嬉しげに指導する井手さんはすっかり現役高校生の頃の少年の瞳である(当時のことは知らないけどね)。いままでにこんなに熱心な井手会長を見たことがあっただろうか。私は改めて井手さんのアンサンブルにかける意気込みと音楽への愛情の深さを知ったのであった。突然のアンサンブル大会の開催はひとえにこの井手さんの努力と情熱によるものだったのだ。
そしていよいよ12月23日、アンサンブル大会本番の日・・・。
道路も凍る寒い朝だった。東高の校舎にはもちろん暖房などない。指先がかじかんで運指もままならない、ましてやピッチはなかなか上がらないそんな中現役吹奏楽部と音萌の会の交流アンサンブル大会は開催された。OBが5団体、現役3団体、合同1団体による夢のようなひととき。練習不足が感じられるところもありはしたが、現役と森田先生と音萌の会の心が一つになったすばらしい演奏会であった。
演奏会の後の昼食会も楽しかった。教室でみんなで食べるおにぎり、暖かいお茶と薄墨羊羹・・・。私はもちろん誰かが言わねばという義務感にかられて例のギャグをかました。
「羊羹はよう噛んで食べないとね。」
ただでさえ寒い教室の温度がさらに下がった瞬間だった。
文化後進県と言われる愛媛県の県立高校で県内の主力吹奏楽団の重鎮たちが現役と美しいハーモニーを奏でる、まさに愛媛の音楽史に残る偉大な第一歩である。音萌の将来、東高吹奏楽部の将来のためにも是非このアンサンブルを冬の行事として定着させたいものだ。っていうか「第1回」ってことになってるから当然第2回、3回もしなくちゃ少年◯ャンプで1巻だけ出て打ち切られたマンガみたいでカッコ悪いし。
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