●スクラップ帳9へ(平成15年)
米たばこ訴訟 賠償1000分の1に減額 ロス地裁「280億ドルは過大で違法」
米たばこ訴訟 賠償1000分の1に減額 ロス地裁「280億ドルは過大で違法」
ロサンゼルス地裁は18日、同地裁の陪審団が米たばこ大手のフィリップ・モリス社に今年10月に命じた280億ドル(約3兆4000億円)の懲罰的損害賠償を「過大で違法性がある」と判断し、1000分の1の2800万ドル(約34億円)に大幅減額する判決を言い渡した。280億ドルは個人が起こした、たばこ健康被害訴訟としては史上最高額で、非現実的だとの批判が出ていた。(平成14年12月)−愛媛新聞から
特定扶養控除は存続=たばこ1円、発泡酒10円増税−与党税制改正大綱13日決定
自民、公明、保守の与党3党は12月12日、税制協議会、幹事長・政調会長会談を相次いで開き、2003年度税制改正の原案をまとめた。自民が廃止を打ち出した所得税の特定扶養控除は公明の主張を受け入れて存続させることになった。配偶者特別控除は予定通り04年1月に廃止され、その見返りに公明が要求していた児童手当の拡充など少子化対策で2500億円を予算化する。調整が難航していた発泡酒とたばこの増税は03年からの実施で合意。発泡酒は5月から1缶(350ミリリットル)当たり10円、たばこは7月から1本当たり1円引き上げる。13日に03年度税制改正大綱を決める。(平成14年12月)ー愛媛新聞から
庁舎内たばこ自販機是か非か 厚労省が撤去検討 愛煙家職員は困惑顔
職場にたばこの自販機は必要かー喫煙対策の旗振り役の厚生労働省は8日までに、庁舎内の自販機撤去に向け検討を始めた。「たばこの害を啓発する立場を踏まえ、足元から見直すべきだ」という外部からの指摘がきっかけ。(平成14年12月)−愛媛新聞から
増える子どものニコチン依存症 パッチやカウンセリング 医学的な治療必要 学校を全面禁煙に
たばこがやめられない子どもが増えているという。中学1年生の喫煙経験率が20%に達するという報告もあり、喫煙開始時期の低年齢化も指摘されている。15歳以下を対象に専門的な禁煙治療をする「卒煙外来」を始めた、静岡県立子ども病院の加治正行・内分泌代謝科医長に治療方針などを聞いた。「子どもはニコチン依存症になりやすい。依存症はアルコール中毒と一緒で禁断症状も出る。だからこそ医学的根拠に基づいた治療が必要である。」 学校現場では煙を「非行」とみなし謹慎処分などで対応することが多いが、「依存症の場合、治療しないでやめられることはまずないだろう。」 「卒煙外来」での診療はカウンセリングが中心。その上で、喫煙の害と、間接喫煙で周囲が受ける健康被害を説明。ニコチンパッチと呼ばれる張り薬を使った治療を勧める。(平成14年12月)−愛媛新聞から
たばこ増税、来年5月 税制改正 財務省素案 先行減税は1兆5000億円
03年度以降の税制改正について、増減税の実施時期などを示した財務省の素案が3日、明らかになった。素案によると、たばこ増税の実施は、値上げの周知や販売店の対応など「準備期間が必要」として、03年5月としている。(平成14年12月)−毎日新聞から
福岡市も歩きたばこ禁止へ 罰則付き、全国2例目
自民党福岡市議団は4日までに、罰則付きの歩きたばこ禁止規定を盛り込んだ「人に優しく安全で快適なまち福岡をつくる条例案」をまとめた。11日開会の12月市議会に提出、可決される見通し。市議団によると、罰則付きの禁止条例制定は東京都千代田区に次いで全国2例目。合掌造り家屋の白川郷で知られる岐阜県白川村でも来年、同様の条例を制定する予定で、自治体による歩きたばこ規制の動きが各地に広がっている。条例案は、市長が指定する「路上禁煙地区」で「歩行中または自転車に乗車中に喫煙してはならない」と定め、違反者には2万円以下の過料を科す。禁止地区はまだ決まっていないが、人込みの激しいJR博多駅周辺や、天神地区などが想定されるという。罰則のない努力規定ながら(1)市内全域で歩きたばこをしない(2)屋外で喫煙する際は吸い殻入れを携帯する−など喫煙者のマナー向上を促す規定もある。(平成14年12月)−共同通信から
<禁煙>全国のレストランやバーなど公衆施設を ノルウェー
ノルウェー政府は29日、全国のレストランやバーなど公衆施設を禁煙にする方針を決めた。法案は来年初めに議会に提出されるが、成立すれば04年から実施される。米国、カナダ、オーストラリアなどの州や市で同様の禁煙条例が施行されているが、全国規模の法的規制はノルウェーが世界で初めてとなる。 ノルウェーは禁煙運動に熱心な国として知られ、すでに自治体レベルではレストラン、バー、ホテルなどでの禁煙が奨励されている。さらに、レストラン従業員の労働組合からの「客の吸ったたばこの煙で従業員の健康が害される危険が高まっている」という訴えが政府を動かしたという。法案が成立すれば、喫煙は自宅か戸外を除いてできなくなる。禁煙運動団体は歓迎しているが、飲食業の経営者団体は「客の入りが悪くなる」と反対し、法案をめぐって議会で激論も予想されている。(平成14年12月)ー毎日新聞から
10代の喫煙
10代で喫煙を始めた男性は、肺がんを早く発症する危険性が高まることが、愛知県がんセンターの調査で分かった。特に傾向がはっきり出たのは、肺の奥にできる腺がんと大細胞がん。同センターは「肺の組織が成熟しないうちに、たばこの有害物質にさらされるのが原因では」としている。調査の対象は、1988−2000年に同センターを受診した成人肺がん患者のうち、受診時点で喫煙を続けていた男性785人。21歳以降に吸い始めた人の平均発症年齢が64・1歳だったのに対し、10代から吸っていた人は57・6歳と、発症が6・5年早かった。腺がん、大細胞がんに限ってみると10代喫煙開始グループの発症は8−10年も早かった。 (平成14年12月)−東奥日報から
『たばこ』の表記片仮名に戻せ
『たばこ』の表記片仮名に戻せ
先日の本欄に“納得できない「愛煙家」の名”と題する意見が掲載された。全面的に賛成する。喫煙者自らが、そう表現してきたことの異常さも認識すべきだ。ところで、喫煙をめぐる表現で不可解なものがほかにもある。「たばこ」の表記だ。共同通信社発行の「記者ハンドブック・新聞用字用語集」では、植物を「タバコ」、製品は「たばこ」と表記するよう示している。だが、昔はそんな区別はなかった。手元の辞書(昭和二十七年・三省堂発行・明解国語辞典)は、植物、製品の区別なく「タバコ」と表記している。「たばこ」になったのは、日本人の生活に深くかかわり、外来語は片仮名表記という原則をねじ曲げた結果といえる。平仮名で表記すると、柔和な感じだが、片仮名に戻して、その恐ろしさをかみしめるべきだ。(平成14年11月)−東京新聞から
県立2高校、校舎・敷地内全面禁煙に
山形県東根市にある県立東根工業高校(武田吉弘校長、590人)が校舎、敷地内を12月1日から全面禁煙にする。尾花沢市にある北村山高校(堀米幹夫校長、652人)も同様の禁煙を来年1月から実施する。県教委スポーツ保健課は、全面禁煙は県立高校では初めてではないか、という。両校とも「禁煙教育は教師が率先垂範する必要がある」が理由。東根工は26日開いた職員会議で了承した。教職員69人のうち約10人が喫煙者だが、事前に武田校長が協力を要請していた。動きは9月から。東北中央病院で禁煙外来を担当する大竹修一放射線科部長がたばこの害を訴える禁煙教育の講演をし、地元の東根第一中学校(石山忠之校長、534人)も全面禁煙を実施したのも刺激になった。11月初め、校医も含めた衛生委員会で検討して、校長が決断した。同校は分煙を昨年4月から始め、新校舎2階の中央職員室そばの部屋を喫煙室とした。しかし、実習棟などが多く、体育教官室を含め職員室が七つもあり、喫煙室に遠い教員は、身近な場所で喫煙していた実態があったという。また、北村山高は教職員66人のうち喫煙者は15人ほどという。3年ほど前から、会議室や理科準備室など順次、生徒と接触する場所での喫煙を抑制してきた。今月21日、生徒やPTAを対象にした大竹部長の講演の後で、教員が同部長を囲んで学習会も開いた。25日の職員会議で全面禁煙が認められたという。(平成14年11月)−朝日新聞山形版から
「納得できない“愛煙家”の名」
たばこを吸う人を「愛煙家」と呼ぶのはやめよう。財務省やたばこ会社は、たばこは嗜好品であり、喫煙は個人の嗜好だと固執するが、WHO(世界保健機関)をはじめ世界の医学はそんなまやかしを認めない。たばこに含まれるニコチンには依存性があり、人をニコチン依存症に仕立てて病苦や死に追い込んでいるからだ。この恐ろしいたばこの病みつきの果てに、日本だけでも厚生労働省推計で年間9万5千人もの命が奪われているではないか。たばこが喫煙者の生命健康を脅かしている以上、たばこを吸う人を愛煙家などと褒め上げるのは、筋違いも甚だしい。 新聞が社会の木鐸(ぼくたく)であるなら、人命とたばこ税収とどちらが大切であるかのメリハリを、こんな用字事例の改善を通して示してほしいものだ。(平成14年11月)−東京新新聞から
ブロモクリプチンが喫煙の欲求を抑制 「ヘビースモーカーはドパミン濃度を高い状態に保ちたいためにニコチンを欲するのだろうか。もしそうだとすると、なんらかの方法でドパミン濃度を高めることができれば、患者の欲求を減らせるのでは」との仮説に基づき、復員軍人局グレータロサンゼルス保健医療システムのNicholas Caskey博士は、パーキンソン病患者のドパミン濃度を増加させる目的で用いられるブロモクリプチンが、ヘビースモーカーに有益な効果をもたらすのではないかと推測。同薬をヘビースモーカーに投与した成績をNicotine & Tobacco Research( 4:259-266)に発表した。同博士はカリフォルニア大学ロサンゼルス校David Geffen医学部の神経精神病学研究所と共同で、20例のヘビースモーカーを対象に臨床試験を行い、ブロモクリプチンがヘビースモーカーの喫煙欲求を減らすことを発見した。一方、ドパミンの放出を妨げる薬剤を投与した場合には、喫煙回数が増え、喫煙時間も長くなるといった逆の効果が見られた。コカインやアンフェタミンなどの薬物に対する嗜癖に関連したドパミンの役割は知られているが、今回の研究以前にはヒトのニコチン嗜癖に対するドパミンの役割を調べる研究はほとんど行われていなかった。なお、同博士はブロモクリプチンの副作用の 1 つである嘔気に関しても検討しており、「喫煙欲求を減少させる作用はドパミンの放出以外の薬剤の副作用ではないことも明らかにした」と付け加えている。 (平成14年11月)−MedTribから
仙台市が市立学校を禁煙に 幼稚園含め来年4月から
たばこの煙による健康被害から子どもたちを守ろうと、仙台市の藤井黎市長は19日、市立の幼稚園と全学校を来年4月から全面禁煙とする方針を発表した。対象となるのは、市立の幼稚園、小中学校、高校、養護学校の計195施設。「敷地内から一切の煙を排除し、分煙も認めない」という。仙台市教育委員会によると、公立学校の全面禁煙は和歌山県が本年度から全県的に実施しており、宇都宮市も来年度から導入する方針だが、幼稚園まで対象に含めたのは初めて。外部からの来訪者も禁煙で、運動会などの行事でも禁煙を徹底。来年4月から半年間かけて周知を図り、2学期が始まる10月14日から完全実施するという。(平成14年11月)−共同通信から
たばこ有害物質除去困難 空気清浄機会社へ警告 表示法違反で公取委
インターネットのホームページ(HP)に「タバコの煙問題をすべて解決します」と、実際の能力以上の記載をして、空気清浄機などの分煙システムをPRしていた大手メーカーに、公正取引委員会が景品表示法違反(優良誤認)の恐れがあるとして、警告していたことが18日、分かった。たばこの煙に含まれる発がん物質など約2百種といわれる有害物質は、煙のほとんどを占めるガス状物質中にある。しかし、清浄機が除去できるのはガス状物質以外の粒子状物質で、有害物質の多くは、現在の技術では除去困難とされている。このため、兵庫県で禁煙指導をしている山岡雅顕医師が、オフィスや公共施設向けの機器を製造、販売する「トルネックス」(東京)の記載について「不当表示だ」として今年4月、公取委に申し立てていた。山岡さんによると、HP以外にカタログにも、ガス状物質を除去できないことには触れずに「クリーンな空気を約束する」などとの記述があった。山岡さんは、こうした表示について昨年から会社側に抗議していたが、公取委への申し立て以降、同社は記載を一部修正したという。18日現在、HPの記載は「タバコの煙問題の解決を提案します」となっている。山岡さんは、同社以外の大手電機メーカー二社についても不当表示の申し立てをしていた。公取委は警告などの措置はとらなかったが、業界団体による改善措置がとられたという。トルネックスの話 屋内の分煙対策で最も効果的なのは、煙を漏らさず排気することだが、建物の構造上の理由などでこうした措置が難しいところもあり、当社のシステムを提案している。一酸化炭素などのガス成分を除去できない機器の限界については、販売員が直接説明し、承知していただいた上で販売している。今後も、業界団体などと歩調を合わせ、広告やカタログで適切な表現をするよう努めるとともに、機器の性能を向上させたい。申し立てをした山岡雅顕医師の話 警告の具体的内容は分からないが、たばこの煙の有害物質のほとんどが空気清浄機を素通りしていることは、どのメーカーも分かっていたこと。商品の性能を正確に伝えず、消費者を誤解させるような広告には問題がある。受動喫煙対策のうたい文句で、既に清浄機は市場に広まっていることにどう責任をとるのか。
<路上禁煙>東京・千代田区で過料徴収開始 違反2000円
人通りの多い指定地区で路上喫煙やたばこのポイ捨てをした人から過料を取る全国初の条例「生活環境条例」を10月に施行した東京都千代田区は1日午前8時から、違反者から2000円の過料徴収を開始した。同区鍛冶町2では、歩きたばこの20代の男性が巡回の職員に2000円を支払った。「ポイ捨てなどを禁止する条例はご存じですか」と職員が尋ねると、男性は照れながら「はい、すみません」。同区神田須田町1では、20代の女性が、たばこを道路に投げ捨てた。女性は用紙に住所と氏名を記入したが、「遅刻したら責任とれるの」とイライラし始め、ついに「払えばいいんでしょ」と財布から3万円を取り出し、投げ捨てるようにして立ち去った。職員は慌てて散乱した紙幣を拾い集め、女性を追い掛けて返したが、女性は過料処分通知書の受け取りは拒否した。また、同区麹町4の路上では、前方からたばこを吸いながら歩いてくるスーツ姿の男性(47)に職員が声をかけた。ここは路上禁煙地区。2000円いただくことになっているのですが……」。「(条例を)知らなかった」という男性は「払ってもいいですよ」と、職員が示した告知・弁明書に「大阪府茨木市」と住所を記入した。職員は「(徴収は)2回目以降にということで」と過料は取らなかった。同区神田練塀町の歩道で喫煙中だった背広姿の中年男性に、職員が注意。男性は告知・弁明書へのサインを求められると拒否。職員は氏名欄に「練塀一郎」と仮名を記入して処分通知書と納入通知書を渡した。男性は「うっかりしていた。でも払うつもりはない」と話した。同地区で1時間30分の間に取り締まられたのは男性6人。中には「遅刻しちゃう」と言い残して逃げる男性もいた。靖国通りを巡回するグループは、歩きながらたばこを吸っていた作業服姿の男性(46)に注意。男性は素直に財布から1万円を出したが、「第1号ですか」とつぶやく。男性は路上の喫煙禁止マークがない場所を選んですっていたが、指定地区が分かりにくかったようだ。(平成14年11月)−毎日新聞から
<たばこ政府間交渉>「マイルド」付きの商標、規制対象に復活
<たばこ政府間交渉>「マイルド」付きの商標、規制対象に復活
たばこの広告・販売を規制する「たばこ対策枠組み条約」の策定を目指す第5回政府間交渉は25日、規制強化を目指す途上国や欧州主要国と、規制に消極的な日米独との対立が解けないまま終了した。一時容認されかけたJT(日本たばこ産業)の「マイルドセブン」に使われている「マイルド」の表現は、途上国などの巻き返しで再びその「商標」も含めて規制対象に復活した。来年2月後半の次回交渉で条約の内容について最終合意を目指すが、交渉の行方は不透明になってきた。パッケージ表示の規制をめぐっては、「害が少ないとの誤解を与える」として「マイルド」や「ロータール」「ライト」「ウルトラライト」を明確に規制すべきだとの多数派と、各国の裁量を認めるべきだとの日本などが対立。その溝は最後まで埋まらなかった。ただ25日までに各国の意見を総合した中間案では、これらの表現が「たばこ製品を奨励することにならないよう」求めたものの明確な禁止対象としておらず、使用できる余地を残している。交渉を統括するコレア議長(ブラジル)は今回の議論をもとに1月半ばまでに妥協案をまとめる方針を表明したが、「反たばこ」の非政府組織(NGO)は、消極派の日米独を交渉から除外するよう主張している。このほか、焦点の一つだったたばこの広告規制は、全面禁止を求める多数派と、自国の憲法規定などに抵触するとして反対する日米独などの対立が解けなかった。(平成14年10月)ー毎日新聞から
喫煙とうつ病の関連をミシガン大学で調査
米疾病管理センターの統計によると、煙者は男女ともに非喫煙者と比べて平均で約13〜14年早死にし、年間約43万人の米国人が喫煙関連疾患で死亡している。そこで、ミシガン大学保健システム(アナーバー)ニコチン研究所は、人生をたばこで台なしにしてしまいそうな人を特定しようと多くの研究を実施している。その
1つが喫煙とうつ病の関係を見るものである。
喫煙に“自己投薬”説
ミシガン大学行動医学プログラムの責任者で精神医学心理学のOvide
Pomerleau教授によると、喫煙はさまざまな観点から見て深刻な問題である。喫煙関連肺癌で死亡する女性の数は、乳癌で死亡する女性の数を上回り、喫煙関連疾患の治療や労働損失など、経済的損失は年間1,000億ドルにのぼる。さらに喫煙関連疾患の多くは、肺気腫、肺癌、膀胱癌、口腔・喉頭癌などのように、喫煙者に多大の苦痛を引き起こす。喫煙を始める理由としては、(1)新しい経験を求める気持(2)仲間のプレッシャーに弱い(3)ニコチンがもたらす感覚が好き−などが挙げられるが、うつ病の傾向があることもその
1 つである。同教授らは、うつ病と喫煙の関連を解明しようと研究中であるが、1
つの説明として“自己投薬”説を挙げている。ニコチンは、うつ病に関与する神経伝達物質系に短期の有益効果を及ぼす。このため、たばこを吸うことで抑うつ的気分が軽減されるというものだ。
禁煙でうつ病が悪化も
Pomerleau教授は「一般にたばこの効果は非常に短く、もちろん処方された抗うつ薬の比ではない」と述べた。一方、禁煙はうつ病を引き起こしたり、悪化させることもある。喫煙とうつ病双方に、おそらく遺伝子レベルで影響を与える共通の因子の存在を示唆する証拠(うつ病になりやすい人は喫煙の感受性も高いなど)もある。この仮説が正しいとすると、うつ病患者が禁煙を試みることにより、うつ状態が悪化してしまう。同教授は「とりわけ臨床的に診断されたうつ病の既往がある人が禁煙する場合、なんらかの介入策と予防策を付け加える必要があろう。医療従事者と禁煙について話し合ったうえで、上市されている薬剤による介入を考えるべきだ」と述べた。同大学保健システム・ニコチン研究所は、多くの喫煙に関する研究を実施中だが、特にニコチン依存症になりやすい人とそうでない人がいるメカニズムの解明に焦点を当て、喫煙の感受性が高い人とそうでない人の違いを解明しようとしている。現在進行中の試験では、うつ病の既往のある喫煙者とない喫煙者を対象に、ニコチンに対する行動的反応や喫煙または禁煙するときにうつ病の有無により反応が異なるか否かなどを突き止めようとしている。
(平成14年10月)−MedTribから
やせ願望が女児で喫煙開始リスク高める
米国立心肺血液研究所が主導した新しい研究によると、体重を気にしてやせたいと考えている女児の願望は、19歳までに毎日喫煙するリスクを高めている。これはアフリカ系米国人と白人の女児双方に認められた。(平成14年10月)−MedTribから
<たばこ>男性の喫煙率が初めて5割切る JT調査
日本たばこ産業(JT)が24日発表した喫煙率調査によると、男性(20歳以上)の場合、初めて5割を切り、過去最低の49.1%になった。男女を合わせた喫煙率も30.9%で過去最低。女性は昨年から0.7ポイント減って14.0%だった。推計喫煙人口は男性が2414万人、女性が738万人。JTは「高齢化、景気低迷に加え、喫煙と健康の意識の高まりが背景にあるのでは」と分析している。調査は専売公社時代の65年から年に1度実施。男性は66年の83.7%、男女計も66年の49.4%をピークに低下傾向が続いている。女性もピークは66年の18.0%だったが、86年に12.6%まで下がった後、10%台前半で横ばい。男性で「毎日吸う」と答えた人の1日当たり喫煙本数も91年の25.1本をピークに漸減傾向にあり、今回は23.3本だった。年代別では男性は30代(59.6%)、女性は20代(24.3%)が最も多かった。今回の調査は5月に全国1万6000人を対象に実施し、1万1079人から有効回答を得た。(平成14年10月)−毎日新聞から
<たばこ枠組み条約>「マイルド」の表示容認へ
たばこの広告・販売を規制する「たばこ対策枠組み条約」の策定を目指す政府間交渉は23日までに、「マイルド」という表示を禁止しないことで合意する見通しになった。世界的な銘柄「マイルドセブン」を抱えるJT(日本たばこ産業)は、条約での「マイルド禁止」を強く懸念していた。当初提示された議長案では、「害が少ないとの誤解を与える」表現として「ロータール」「ライト」「ウルトラライト」「マイルド」を例示し、これらの表示を使用しないよう求めていた。しかし、23日までにまとまった中間案では、このうち「マイルド」だけを条文から削除した。最終合意ではないが、日本などの「“マイルド”は味を表すもの」との主張が受け入れられた形だ。一方で、規制強化を求めるノルウェー、カナダ、途上国などは、当初案にあった「各国の能力や国内法に応じて(有効な措置をとる)」とのただし書きを削除し、より拘束性の強い表現にすることや、パッケージ表面の半分以上を有害警告で埋めることなどを主張。規制に消極的な日米独などとの対立が続いている。今会合は25日まで。条約を主導する世界保健機関(WHO)は、来年2月の次回会合で最終合意し、5月のWHO総会で採択することを目指している。(平成14年10月)−毎日新聞から
[間違いだらけの健康管理]ガムやテープでニコチン吸収 ◇禁煙は寿命とお金の両得
「私はコレでたばこをやめました」というCMで禁煙パイプが有名になったが、今は低濃度のニコチンをガムやテープで吸収する代替療法が主流となっている。1年前に政府がようやく市販を許可したニコチンガムは48個で3950円もするのに、売上高が90億円に達する大ヒット商品となった。ところで1箱20本入りのたばこがイギリスでは560円、ニューヨークでは840円するのに日本では250円とまだまだ安い。とはいっても、1日2箱吸うと20年で365万円、50年なら912万円にもなる。財布の問題だけではない。実は全国3400万人の喫煙者の64%はたばこをやめたいと思っている。咽頭(いんとう)がんが30倍、肺がんが5倍の確率になることはわかっていても、ニコチン依存症から抜け出せないのである。「吸わないと頭がスッキリしない」とか「かえってストレスになる」というのは麻薬中毒と同じだ。ニコチンは脳の中の情報を伝えるアセチルコリンの肩代わりとなって働いてくれるのだが、いつのまにかすべてニコチン任せになってしまう。そのため、ニコチンが切れると体のだるさやイライラを感じるようになる。しかし、1週間我慢すればアセチルコリンが回復し始め、2カ月で禁断症状は消失する。これまで1〜2割だった禁煙の成功率はニコチンガムによって5割、テープでは6割以上となった。「ずっと吸っているのに長生きする人がいる」あるいは「今さら手遅れだ」とやけっぱちになっている人も多い。しかし、禁煙すれば5年で発がん率が半分に下がり、15年で健康人と同じになれる。「禁煙すると太る」という人もいる。しかし、たばこは多量の活性酸素を発生するので30キログラム以上太るのと同じ動脈硬化をもたらす。舌にこびりついたヤニが取れれば禁煙3日目から食事がおいしくなるのは当然で、太ったとしてもそれまで有毒物質の処理に使われていたエネルギーが不要になるための2〜3キログラムだけである。大人がうまそうにプカプカ吸うカッコ良さに男の子はあこがれ、女の子はファッション気取りやダイエット、便秘対策などで吸い始める。中学生の喫煙経験は男子で39%、女子で23%といわれ、9月には静岡県立こども病院に禁煙指導外来が新設されるという異常事態である。まず大人が禁煙の見本を示すべきではないか。たばこによる死者は10万人を超えているというのに、禁煙を指導すべき医師の喫煙率は27%、肺がんや慢性肺疾患を治療する日本呼吸器学会員ですら20%で、看護師は25%とむしろ一般女性よりも高い。しかも、病室で火事を出されるよりはまだましと考えたのか、病院には空調完備の喫煙ルームまである。コーヒーをすすりながら食後に一服味わいたくなるが、金沢にオープンした外国資本のコーヒーチェーン店は店内を完全に禁煙としている。コーヒー店の方が病院よりも真剣に健康のことを考えている。(平成14年10月)−毎日新聞から
先生も吸いません 地域ぐるみの禁煙活動へ 奈良・伏見中が「校内禁煙宣言」
奈良市西大寺野神町の市立伏見中学校(森田一男校長、682人)が、「校内禁煙宣言」を行った。校内全体を禁煙にし、同区内でもたばこ自動販売機による販売の自粛を呼びかけるなどの取り組みを行う予定。学校が主体となって喫煙防止活動を進めるのは、県内では初めてという。同校では以前から校内での分煙を進め、喫煙と健康の問題、問題行動との関連性から喫煙防止を訴える指導を行ってきた。しかし、まず教師自身が禁煙してモデルを示すべきとの立場から、校内での全面禁煙に踏み切った。校内の灰皿はすべて撤去。保護者ら来校者にも理解を求める。今月18日に行われた全校集会では、校内で火がついたままのたばこを発見したショックを生徒がつづったメッセージを、1年生学年委員会委員が代読。「たばこ追放のアピール」を行い、森田校長が校内禁煙を宣言。取り組みがスタートした。森田校長は「以前は喫煙していた先生もいたが、子どものために禁煙してもらった。今後は子どもにたばこを吸わせない環境づくりを、地域ぐるみで進めていく。一過性のものではなく、伏見中がある限り続けていきたい」と話している。(平成14年10月)−奈良新聞から
3人に2人「初産」機に退職
働く女性の3人に2人は初出産を機に退職する――。厚生労働省は21日、2001年生まれの子どもの生活状況や家族の意識などを追跡調査していく「21世紀出生児縦断調査」の第1回調査結果を発表した。同年1月と7月に生まれた子の家庭5万3575世帯に調査票を配布、4万7007世帯(回収率87・7%)から回答があった。 それによると、同年に初めて出産した母親の73・5%は、出産1年前まで仕事を持っていたが、うち67・4%が出産半年後までに仕事をやめていた。また、従業員500人以上の大規模企業勤務の女性の85・8%が育児休業を取得しているのに対し、従業員4人以下の小規模企業では47・8%と半数以下しか取得していなかった。官公庁勤務の女性は、94・9%が育児休業を取っていた。このほか、同年中に子供が生まれた父母の喫煙率は、父親が63・2%、母親が17・4%で、父母ともに喫煙していないと回答した家庭は35・6%しかなかった。(平成14年10月)−読売新聞から
マナーに期待できない だからルール作った 路上禁煙条例を施行 東京都千代田区長
ーーたばことの出合いは、都首都整備局時代の24歳。「あの時代、石原裕次郎など映画スターが道でたばこを吸う姿が格好よくてね。自分もやったかな」。禁煙も何度か試みたが「だめだった」。34歳からの5年間、千代田区に企画課長として出向。昨年2月、約20年ぶりにトップとして復帰した区で、「ポイ捨てが目に余る」 「歩きたばこが多くて危険」など区民からの深刻な声を聞き、改革に乗り出した。同区には「ポイ捨て」 「歩行喫煙」とも禁じる条例があったが、努力規定のみで効果はゼロ。新条例は、携帯灰皿持参の喫煙も許さない厳しい内容になった。「手間ひまかけた、区民参加型の条例」と自負がのぞく。「条例施行で街がきれいになった、とワイフに言われます」ーー(平成14年10月)−毎日新聞から
”喫煙大国”日本 浮き彫り
世界保健機関は10月15日、各国のたばこ消費などをまとめた「世界たばこ地図」を発表、日本のたばこ輸入量は世界最大の年間約835億本に達した。また、男性の喫煙率は52.8%と、先進7カ国(G7)の中でも群を抜いて高かった。ジュネーブで同日始まった「たばこ規制枠組み条約」の交渉に合わせ発表した。大手たばこ会社を抱え、拘束力が強い規制に反対する日本や米国などの「たばこ大国」ぶりを浮き彫りにする狙いもあるようだ。「たばこ地図」によると、日本の女性喫煙率は13.4%と、男性とは対照的にG7の中で最低。このため、男女の合計では33.1%となり、ドイツ(35.0%)やフランス(34.5%)をやや下回った。男女合計の喫煙率が一番高かったのは、ナウルの54.0%。たばこ輸入では、日本の後はフランス(約676億本)、イタリア(約565億本)と続いた。たばこ葉の作付面積では中国が約144万ヘクタールと、二位のインド(約46万ヘクタール)を大きく引き離しトップとなった。(平成14年10月)−愛媛新聞から
道後温泉本館 全面禁煙へ 文化財防火が理由
松山市道後温泉審議会の2002年度会合が15日、同市道後湯之町の椿の湯であり、重要文化財の道後温泉本館を禁煙とすることを決めた。本館は現在、神の湯女性脱衣場は禁煙だが、男性脱衣場や廊下、玄関休憩所などは分煙となっている。委員からは「重要文化財を火災から守る意味からも当然」などの意見があり、審議会として禁煙とする方向性を決めた。これを受け、市側は11月1日から利用者の意見を聞いた上で、早ければ2003年4月から禁煙とする方針。−−(平成14年10月)−愛媛新聞から
「マイルド」禁止 自販機追放 免税制限 たばこ条約交渉大詰め 撲滅目指すWHO 企業抱え日米守勢
たばこの広告・販売を世界規模で規制する「たばこ対策枠組み条約」の締結に向けた第5回政府間交渉(192カ国参加)が、14日から25日までジュネーブで開かれる。たばこ撲滅を目指す世界保健機関の主導で、来年5月の成立を目指す。交渉は大詰めを迎えており、たばこ産業を抱えて守勢の日本は、米国とともに厳しい立場に立たされる。7月の政府間交渉のコレア議長(ブラジル)が全38条の第2次草案を公表。1.「ライト」 「マイルド」など誤解を与える表示はしない、2.客が自由に取れる陳列棚などでのたばこ販売を禁止、3.自販機を次第に追放、4.免税販売を段階的に制限、5.(未成年者など)弱者を対象とする広告・販促行為を厳しく制限、6.スポーツ・文化事業へのたばこ会社の後援を次第になくすーなどを盛り込み、このために各国が必要な措置を取るよう定めた。昨年出された当初案には、自販機や免税販売の禁止、未成年者への広告・販促行為の禁止、たばこへの課税強化などが明記されていたが、2次案では緩やかな表現に後退した。これに対し「反たばこ」の非政府組織(NGO)は強く反発。一方で、日米は表現・経済活動の自由を理由に一層の規制緩和を求め、日本は特に「ライト」 「マイルド」の表現禁止や自販機追放に反対している。最終合意は来年2月の次回交渉にもつれ込む可能性が強いが、WHOのブルントラント事務局長は今交渉を「正念場」と位置付け、各国に規制強化を働き掛けてきた。インドと中国が「自販機追放」支持を打ち出し、欧州連合(EU)が「マイルド」表示に禁止を決めるなど、大勢が規制推進に動く中、抵抗する日米の対応が焦点だ。(平成14年10月)−毎日新聞から
たばこ消費削減に“ノー” 財務省、規制条約で方針
世界保健機関(WHO)の主導で世界的なたばこ規制の一本化を目指す「たばこ規制枠組み条約」で、日本政府が規制について「消費削減そのものを目的としない」との基本方針で政府間交渉に臨む方向で調整していることが10月7日、明らかになった。財務省の財政制度等審議会・たばこ事業部会がこの方針で報告書をまとめ、近く塩川正十郎財務相に提出する。たばこ事業を所管し、関係省庁の中核である財務省が、世界規模でたばこの消費、生産を減らして健康被害の低減を進めるという条約の理念に真っ向から異を唱えることになる。日本に対しては、先進国の中でたばこ対策に最も消極的との批判があるだけに、厳しいたばこ規制を主張する非政府組織(NGO)を中心に政府への風当たりが一層強まりそうだ。 関係者によると、報告書は総論でたばこについて、麻薬などと異なり禁制品ではなく「大人の嗜好品」と定義。この上で規制に関し「喫煙規制は消費削減そのものを目的とせず、健康リスク情報の提供、未成年者の喫煙防止、公共の場での受動喫煙防止などの観点から行うべきだ」と主張する。たばこ規制枠組み条約は来年5月の合意を目指しており、10月の交渉では7月に示された新議長案を基に議論する。日本政府の方針については現在、外務省を中心に財務、厚生労働、農水など関係省庁が意見調整している。財政審・たばこ事業部会は、自動販売機や広告規制など条約案に盛り込まれた個別策への対応での調整を急ぎ、14日からジュネーブで行われる第5回政府間交渉までに報告書をまとめる方針だ。(平成14年10月)−共同通信から
肺がん女性に「3兆4千億円払え」…米たばこ訴訟評決
たばこが健康に与える被害を十分に説明していなかったとして、肺がんになった米カリフォルニア州の64歳の女性が、米たばこ大手フィリップ・モリスに対し損害賠償の請求を求めていた裁判で、同州ロサンゼルス上級裁判所の陪審は4日、同社に対し280億ドル(約3兆4000億円)の損害賠償の支払いを命じる評決を下した。個人のたばこ訴訟での賠償額としては過去最高となる。 この女性は、同社が喫煙とがんの関係などの情報を隠していたため、長期間喫煙を続け肺がんになったと主張していた。 この評決を受け、ダウ工業株(30種)にも採用されている同社株に大量の売りが出て、株価は7・3%も急落した。 同社は評決を不服とし、裁判所に対して新たな審理や賠償額の大幅な減額を求める方針を示している。 (平成14年10月)−読売新聞から
消費抑制へ値上げ提言 禁煙フォーラムに200人 松山
喫煙の低年齢化や受動喫煙など、子どもを取り巻く喫煙環境の問題が指摘される中、将来にわたって子どもたちをたばこの害から守ろうと「禁煙フォーラム 子どもとたばこーたばこのない世代をめざしてー」(県医師会など主催)が開かれた。学校や医療関係者、看護学校の生徒ら約200人が、禁煙社会を実現するための方策に耳を傾けた。国立保健医療科学院研究情報センターの望月友美子情報デザイン室長ら2人が基調講演。望月室長は、日本においてたばこは「担税品」として、国家財政における重要な位置を確立してきたことを指摘。「現行の価格から一気に百円値上げすると、総消費量や未成年の消費が減り、税収は約4百億円増収となる。この財源を、さまざまな健康政策に充てることが、財政も生命を確保する方策になる」と提言した。県内の歯科医師や保健所、学校関係者ら9人が「子どもとたばこ」のテーマでパネルディスカッション」。妊婦と喫煙に関する調査をした医師は、若年からの喫煙が妊婦の喫煙を継続させる傾向にある、と説明。「中学生以前からの喫煙防止教育が重要」と強調した。小学校校長は、「喫煙や禁煙に対する児童生徒の認識は、身近な家族や教師の影響が大きい。そのためには学校が無煙環境になるよう、意識改革が必要」と話した。(平成14年10月)−愛媛新聞から
松山東雲女子大・短大、全面禁煙に 研究室でも吸えません
松山東雲女子大・短大は、後期が始まった9月30日から、研究室を含む全館禁煙に踏み切った。学生の禁煙教育を徹底するための措置。同大・短大では「研究室を含む全館禁煙は、全国的にも珍しいのではないか」と話している。同大・短大では、健康教育や嫌煙権の保障、短大で多くの学生が未成年者であることなどから館内禁煙を進めてきたが、95の研究室、応接室、非常勤講師控室などは対象外になっていた。当面の措置として、校舎外に喫煙可能な4カ所の木造あずまやを設置。将来的には「あずまやを含む学内の全禁煙を目指したい」(門屋紘一・同短大学長補佐)との方針で、禁煙プログラム作成などによる禁煙教育をさらに進めていく。(平成14年10月)−愛媛新聞から
路上喫煙禁止条例」施行、千代田区職員が街頭指導
東京都千代田区の「路上喫煙禁止条例」がいよいよ1日から施行され、禁煙地区をパトロールする区職員らが、歩きたばこや吸い殻・空き缶のポイ捨てといった違反行為に目を光らせた。JR神田駅前では、午前9時半過ぎから、区職員と民間の警備員計5人が、「きょうから歩きたばこや吸い殻のポイ捨てをすると、罰則を受けることがあります。注意して下さい」と通勤客や学生ら一人一人に声をかけた。注意を受けた年配の男性は「条例のことは知らなかった。今後は気を付けるようにします」と驚いた様子で話していた。条例では、再三にわたって注意しても、違反行為をやめない場合、2万円以下の過料を科すことができるが、区では、10月はPRに充てたいとして注意だけにとどめ、11月からも当面の間は、過料の最高額を2000円にすることにしている。近くの飲食店主(65)は「店の前の交差点で信号待ちをする人が吸い殻を捨てるので、掃除が大変」と話し、「条例ができたことが報道され、最近は吸い殻も少なくなった。今後は苦労しないで済みそう」と少し安心した様子だった。(平成14年10月)−読売新聞から
秒読み「歩きたばこ禁止」、禁煙の路面表示始まる
秒読み「歩きたばこ禁止」、禁煙の路面表示始まる
繁華街などで歩きたばこを罰則付きで禁止する条例が来月1日から施行される東京都千代田区で27日、「禁煙地区」などを示すマークを歩道に表示する作業がJR秋葉原駅前などで始まった。交通標識に似せた、赤い縁取りの円(直径約30センチ)のデザインで、喫煙の禁止と、空き缶や吸い殻のポイ捨ての禁止を呼びかける2種類がある。今後、有楽町駅や神田駅周辺など、約1000か所でも行われる。(平成14年9月)ー読売新聞から
未成年者の喫煙→50代で肺がん危険
未成年から喫煙を続けていると、50代の若さで肺がんになる恐れが著しく高くなるこ とが、愛知県がんセンターが明らかにした。彼らが肺がんになる年齢は平均57.6歳 で、21歳以上から吸い始めた人(64.1歳)より7年も若かったという。この結果は10月1日からの日本癌学会で報告される。未成年で喫煙を始めた平均年齢はほぼ18歳。肺がん患者の半数を占める線がん、大細胞がんに集中。未成年で吸い始めた人が線がん、大細胞がんになるのは、平均でそれぞれ54歳、 52.2歳の若さで、21歳以上で喫煙を始めた人(線がん62.9歳、大細胞がん62.6歳)よりも10歳近く若くして発症。(平成14年9月)−愛媛新聞から
肺の奥の腺がん喫煙で増加ー厚労省調査ー「低ニコチン」に落とし穴?−無意識に深く吸う傾向
肺の奥にできるがんで、喫煙との関連が比較的少ないとされてきた「腺がん」でも、喫煙者は非喫煙者に比べ男性で2.8倍、女性でも2倍もなりやすいことが、厚生労働省研究班の大規模追跡調査で分かった。肺がんに腺がんの占める割合は近年、世界的に増える傾向にあるが、アジアの状況を追跡調査で明らかにしたのは初めて。研究班は「普及している軽い低ニコチンたばこを吸う人は、ニコチン摂取量を増やそうと無意識に深く吸い込む傾向があり、原因のひとつではないか」としている。10月1から東京で開かれる日本癌学会で発表する。研究班は、全国11域の40―60代の男女計約9万人を、7−8年間追跡。肺がんになった約420人について、最初の時点に調査した喫煙状況との関連を調べた。がんの種類別で喫煙者が発症する危険性が高いのは、太い気管支にできて喫煙と関連が深い「扁平(へんぺい)上皮がん」と「小細胞がん」で、合わせると喫煙者は非喫煙者より男性で12.7倍、女性で17.5倍もなりやすかった。肺がん全体では男性で4.5倍、女性で4.2倍。肺がん患者の男性の7割、女性の2割は、たばこを吸わなければ発病しなかったことになるという。日本人が喫煙で肺がんになる危険性は欧米に比べ低いが、非喫煙者の肺がんの傾向は逆に高く、相対的に喫煙者の危険性が下がった可能性もある。研究班は今後、受動喫煙や遺伝的要因などとの関係を検討するとしている。研究班の祖父江友孝・国立がんセンター研究所部長は「肺がんへの喫煙の影響は圧倒的だ。禁煙すれば何歳であっても、吸い続けた場合より肺がんの危険性は下がる」と話している。(平成14年9月)−愛媛新聞から
少量喫煙でも心疾患リスクが増大ー受動喫煙でも同等の内皮障害
Ambrose博士は「一般にたばこを少しぐらい吸っても問題ないと思われているが、それは間違いだ。われわれの結果は、少量喫煙でも血管系に損傷を与えることを示している」とコメントした。これまでの研究は、血管内皮の拡張能を喫煙が低下させることを示唆している。同博士らは今回の研究で、アテローム動脈硬化として知られる危険なプラーク形成の第 1 段階である内皮の障害が、たばこの本数に比例するか否かを検討した。対象は非喫煙者 8 例、1 週 1 箱未満の少量喫煙者 7 例、および 1 日 1 箱以上の大量喫煙者 7 例で、喫煙以外のアテローム動脈硬化リスクファクターを有する者は皆無だった。対象者における血管内皮の機能不全を評価するため、in vivoおよびin vitroの実験を用いた。その結果、たばこを何本吸ったかは重要でなかった。大量喫煙者と少量喫煙者間の内皮機能に有意差は認められず、喫煙者全例が非喫煙者に比べて有意に内皮機能が障害されていた。これは、能動喫煙曝露は少量でもアテローム動脈硬化の初期の病態生理学的指標の 1つに有意な影響を及ぼすことを示す。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のStan Glantz博士によると、今回の研究は、少量の喫煙に対しても血管の感受性が非常に高いという説に重要な根拠を付け加える。同博士は「軽度の喫煙、,そして他の研究によると、受動喫煙は、大量喫煙と同等に内皮機能を障害する。内皮機能が障害されると、心筋の酸素需要の変化に対処しきれなくなり、心臓発作のリスクを増大させる。この影響はたばこの本数に比例するわけでなく、たばこ曝露は少量でも有害である」と説明した。(平成14年9月)−MedTribから
愛媛大学医学部・同附属病院は、人々の健康を守ることを使命として、教育・研究・医療を行っており、他の公共施設よりも先んじて禁煙・分煙対策を講じる必要があると考えます。そこで、重信団地全体を原則禁煙とすることを前提として、下記に示したような、喫煙対策を実施することにしました。実施は、平成14年10月1日からとします。(平成14年9月)−愛媛大学医学部HPから
未成年喫煙者、肺がんも早発=「成長期はリスク増」−愛知がんセンター
10代から喫煙を始めた男性ほど肺がんにかかるのも早い−。愛知県がんセンター(名古屋市)が9日、こんな調査結果をまとめた。21歳以降にたばこを吸い始めた男性に比べると、発症年齢は平均6年半も早く、調査に当たった同センターの田島和雄疫学・予防部長は「成長期の喫煙がリスクを増大させる」と警告している。同センターは、1988年から2000年にかけて受診した肺がん初発患者のうち、がん発見の1年以内まで喫煙していた男性773人について、喫煙開始の年代別に発症年齢の分布を調べた。(平成14年9月)−時事通信から
<橋本元首相>禁煙を決意 買い置きたばこを青木参院幹事長に
政界有数のヘビースモーカーだった橋本龍太郎元首相が、たばこと絶縁する決意を固めた。8月末、買い置いていたふろしきいっぱいの「チェリー」を、同じチェリー愛好家の青木幹雄参院幹事長にプレゼントして未練を断った。髪をオールバックにして紫煙をくゆらす姿は橋本氏のトレードマークになっていた。久美子夫人は以前から禁煙を勧めていたが、「たばこを止めたら生きがいがなくなる」と1日1〜2箱は欠かさなかったという。ところが、橋本氏は今年2月、心臓の弁が閉まらなくなる「急性僧帽弁閉鎖不全症」で入院。手術を受けて、4月に退院後は「吸う気がしない」と禁煙を続けていた。愛煙家の橋本氏がたばこと絶縁するほど健康を気遣うようになったのは、「抵抗勢力」とのレッテルに対抗して積極的に政局にかかわっていく決意の表れとのうがった見方も。 (平成14年9月)−毎日新聞から
たばこの値上げ一石三鳥 1箱1000円なら「やめる」63%−医療経済研機構が調査
たばこが1箱300円に値上げされると喫煙者の16%がたばこをやめ、1000円なら63%が禁煙するというアンケート結果を厚生労働省所管の医療経済研究機構がまとめた。禁煙者が増えても、1000円になればたばこ税などの増収が1兆円を超え、医療費削減、健康増進も進むという”一石三鳥”の結構ずくめの試算結果で、増税論議を後押ししそうだ。
「300円たばこ」だと、現在2千8百万人余に上る喫煙者が約4百70万人減り、10万人を超すと考えられる死亡者も約1万7千人減少して8万人台に。医療費は2千億円余り削減される。これが「1000円たばこ」なら、喫煙者1千780万人減って、死亡者も3万人台まで減少。医療費は約8千億円以上減って今の3分の1近くに削減できる。これに対し税収は「300円たばこ」だと現在の約2兆3千億円から僅かに減少するが、「500円たばこ」では4千億円、「1000円たばこ」では1兆円余りそれぞれ増えるという。(平成14年9月)−愛媛新聞から
紫煙の中の会合”拒否”を宣言
紫煙の中の会合”拒否”を宣言
「私は禁煙ないし分煙が確立されていない会合へは、原則として出席しません」、「禁煙は愛です」−−。県宇和島中央保健所長の寺本辰之さん(55)は、名刺の裏側にこう印刷してたばこの健康への害や、禁煙・分煙を訴え続ける。受動喫煙の排除が進まない理由の一つに自らの優柔不断さがあり、県民の健康を守るべき保健所長としてとるべき態度ではないと、4月に紫煙の中での会合”拒否”を決め、宣言文を県保健福祉部や県内の各保健所長らに送った。(平成14年8月)−愛媛新聞から
医師として喫煙問題自覚を
医学に無知な者でも、たばこは「百害あって一利なし」と物心ついたときから知っている。ところが生命を守る医師のなかには、喫煙に無関心な方がいる。ある病院では診察室で医師が喫煙していた。また別の病院では待合室に灰皿が備え付けられて喫煙自由になっている。喫煙者本人よりも副流煙を吸う人の方がより害が大きいと聞いている。これでは病院で病気になるようなものだ。医師としての自覚を持って欲しい。(平成14年8月)−愛媛新聞「門」欄から
たばこ増税し医療費に回せば
現代社会では、健康であるためには自己管理が必要である。病気に対してきちんと自己管理する人に比べ、しない人の医療費負担率は上げるべきではないだろうか。当たり前ではあるが、きちんと自己管理をすれば、しない場合と比べて病気の治癒率は向上し、再発率は減る。したがって、必要な医療費は確実に減少するのである。現実的にはこのような税負担を実行するのは難しい。しかし少なくとも、万病の原因であるたばこは増税して、医療費に回すべきであると思う。たばこに起因した病気に使われる医療費は年間3兆2千億円で、たばこの税収入1兆9千億円をはるかに上回っている。喫煙率が下がれば病気も減り、必要な医療費も減少する。(平成14年8月)−愛媛新聞「門」欄から
8月12日、岩手県立沼宮内高校生3名と教諭1名が、当町のいわゆるたばこ条例について、その制定経緯等について学びたいと来町されました。同校では、岩手インターハイ(平成11年開催)が開催されることに伴い、職員会において大会前後の2〜3ヶ月を「屋外のタバコ・酒自動販売機の停止や屋外移動を要請する決議」を採択し、岩手町青少年健全育成中央協議会を通じて町内商店にお願いしたもののなかなか協力が得られなかったことと、今年1月に岩手町少年議会において、生徒会執行部が未成年者の喫煙を問題視し、屋外のタバコ自販機撤去を提起したがいまだ実施に至っていないということから、タバコ自販機を認めない条例を持つ当町を訪れたものです。町長、福祉課職員からいろいろなお話を聞いた沼宮内高校の生徒達は、未成年者の喫煙を防ぐためにも条例が必要だとの認識を再確認し、「実現に向けて粘り強く働きかけていきますと話していました。(平成14年8月)−青森県深浦町から
マレーシア たばこ広告禁止
マレーシア政府は来年1月から、たばこ関連の広告を原則的に全面禁止する。たばこメーカーによる製品のみの広告を禁止してきたが、旅行の画像とともにブランド名だけを訴求するTV広告や、たばこ会社によるスポーツイベント後援などにも禁止の枠を広げる。チュア保健相によると日本たばこ産業、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、米フィリップ・モリスの三社が既に広告の年内取りやめを申し出たという。ただ、自動車レースとサッカーへの後援については「協議が必要」として、禁止の例外とした。(平成14年8月)−日経新聞から
たばこの解毒酵素GSTM1の遺伝子多型、喫煙妊婦の子供の喘息発症率を左右
母親が妊娠中にたばこを吸うと、生まれてきた子供が喘息を発症しやすくなるとされるが、この「喘息の発症しやすさ」に、子供のグルタチオン抱合酵素(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ;GSTM1)の遺伝子多型が関与していることがわかった。興味深いことに、生まれた後の間接喫煙状況による喘息発症率は、この遺伝子多型と強い相関は認められなかったという。GSTM1の遺伝子多型は、肺癌や口腔癌など、喫煙と関連する各種の癌の発症リスクに深く関連していることが知られている。この遺伝子には野生型と欠損型の2種類があり、日本人では半数弱の人が欠損型の遺伝子を持つとされる。喫煙関連癌の患者では、一般の人よりGSTM1遺伝子が欠損型の人の頻度が高く、「欠損型の人では喫煙により誘発される発癌物質を解毒できず、発癌リスクが高まる」と考えられている。つまり、GSTM1が欠損型の人は「たばこに弱い」体質だと考えられるわけだが、小児の喘息も喫煙環境と関連の深い疾患。母親が妊娠中に喫煙していたり、出生後に間接喫煙を受ける環境で育った子供では、喘息の発症率が高いとの報告がある。そこで、米国Southern California大学附属Keck医科大学予防医学部門のFrank D. Gilliland氏らは、地域の小中学生2950人の喘息発症状況と喫煙環境との関係を、GSTM1の遺伝子多型という観点から分析した。すると、GSTM1が欠損型の子供(全体の45.2%)では、母親が妊娠中に喫煙していると喘息の発症率が高いことが判明。母親が喫煙していなかった場合と比べ、喘息の早期発症が1.6倍、持続性喘息の発症が1.6倍、運動時の喘鳴が2.1倍、薬物治療が必要な喘鳴が2.2倍、救急外来の受診が3.7倍、いずれも有意に多くなった。ところが、GSTM1が野生型の、つまり「たばこに強い」体質の子供では、母親の妊娠中喫煙と喘息の発症率との間には、特に有意な相関が認められなかった。一方、子供が生まれた後の受動喫煙に関しては、GSTM1の遺伝子多型に関わらず、強い相関は認められなかったという。今回の研究結果が示唆するのは、GSTM1が欠損型の子供の場合、生まれた後の喫煙環境よりも、胎内にいる時の喫煙環境の方が悪影響が大きいということ。生まれてくる子供の健康を考えるなら、少なくとも妊娠中のたばこは止めるべきだろう。(平成14年8月)−MedWaveから
受動喫煙妊婦から生れた新生児の尿中ニコチン濃度について
受動喫煙もしくは自身の喫煙の明らかな妊婦から出生した新生児の尿を母乳授乳開始前の生後24時間以内に採取し、尿中ニコチン濃度を測定した。母が受動喫煙のみの5例のうち、父が母のそばで1日5本以上吸う4例では、尿中ニコチン濃度は3.3〜25.3ng/mlであった。母が喫煙する2例では、174.4と176.2ng/mlと高値であった。受動喫煙の児でも、最大で、自身が喫煙する妊婦の児の約7分の1の値に達していた。(平成14年8月)−日本小児科学会雑誌から
妊婦喫煙、代謝性遺伝子多型と出生体重の関係
タバコ煙に対する遺伝的感受性と妊娠転帰不良の関連についてはほとんど解明されていない。母親の2種類の代謝遺伝子CYP1A1およびGSTT1の多型が、妊婦喫煙と出生体重の関連に影響を及ぼすかどうかを検討した結果、母親のCYP1A1およびGSTT1遺伝子型は、妊婦喫煙と子どもの出生体重の関連に影響することが示唆された。(平成14年8月)−JAMA日本語版から
飲食店の全面禁煙条例を提出へ NY市長
ニューヨークのブルームバーグ市長は9日、市内の飲食店の従業員の健康などを守るため、市内のバーとレストランを全面禁煙にする方針を決め、8月12日に市議会へ条例改正案を提出する考えを明らかにした。18年前に禁煙した市長は、今年7月にたばこにかける税金を20倍近くに増やすなど、嫌煙運動に執念を燃やしている。同市では、公共の施設やオフィスビル、劇場、中規模以上のレストランが既に全面禁煙の対象になっている。しかし、バーやレストランの中に設けられたカウンター席や、席数が35以下の小さなレストランは例外とされ、条例改正はこの特例も廃止する。対象は1万軒以上に達する見込み。市長は最近のラジオ会見で、「たばこは人間を殺す。米国だけで毎年、35万人もがたばこ関連の病気でなくなっている。どうして禁煙運動に立ち上がらないのか不思議でしょうがない」などと主張していた。しかし、同市のレストラン協会などは、地元経済に悪影響を与える恐れがあるとして条例の成立阻止に動く構え。「喫煙には厳格な州に既になっており、さらに厳しくする必要があるのか」などと反発している。(平成14年8月)−CNNから
禁煙フォーラム
平成14年10月3日(木)に愛媛県医師会館で禁煙フォーラムが開かれる。基調講演 は、「たばこの健康被害」 :日本医師会雪下國雄常任理事と「たばこのない世代をめざして」 :望月友美子国立保健医療科学院研究情報センター情報デザイン室長である。パネルディスカッション「子どもとたばこ」 は、6人のパネルメンバーから、それぞれ「教育行政の立場から」 、「学校現場から」 、「喫煙の社会的環境と子どもへの影響について」、「小児の成長過程における喫煙の影響」 、「若い女性や妊婦の喫煙の危険性」 、「喫煙による歯科口腔衛生上の問題」 と題し発言される。(平成14年8月)
医師とたばこ
禁煙キャンペーンに取り組む日本医師会が刊行したたばこ対策のマニュアル。英国医師会たばこ対策センターが2000年に発行したものを翻訳した。A4判163ページ。医師ら医療従事者やその団体が人々の喫煙を減らしていくために何をしたらよいか、最新資料を基に具体的に示している。25歳から69歳までに喫煙者の4人に1人は喫煙のため命を落としていると指摘。「たばこは疾病原因のうち予防可能な最大のもの」「喫煙という保健医療問題では医師の役割が極めて重要」という視点で書かれている。日本医師会は全国の医師会に配布し、自らのホームページでも公表している。アドレスはhttp://www.med.or.jp (平成14年8月)−愛媛新聞から
職場の禁煙化で、たばこ消費量が3割減少
職場を全面禁煙にすると、喫煙者がたばこをやめたり量を減らし、結局たばこ消費量は29%まで削減することが、26報の論文を分析した結果で明らかになった。また税金を上げて同じ効果を得るには、たばこの値段を1.73倍にまで引き上げる必要があることもわかった。この結果を発表した米国California大学のCaroline M. Fichtenberg氏らは、副流煙など受動喫煙が原因の疾患を減らすには、職場での禁煙化が有効であると考えている。この内容はBritish MedicalJournal(BMJ)7月27日号に掲載された。現在、米国では約7割の職場が、英国では約半数の職場がすでに全面禁煙といわれる。だがFichtenberg氏らによれば、米国では副流煙など受動喫煙が原因の癌や心疾患、呼吸器疾患で死亡する禁煙者が、年に5万3000人以上に上り、この数は喫煙者8人につき、禁煙者一人がたばこに関係する病気で死亡していることになるという。研究グループは職場での禁煙化がたばこ消費量にどれだけ影響するのかを調べるため、医学論文検索エンジンMedlineやScience Citation Indexなどを使って論文を検索した。そして職場での喫煙に関する論文26報を選び出し、職場内で禁煙化が施行される前後での、喫煙率やたばこ消費量の変化を調べた。その結果、職場の禁煙化で喫煙率は3.8%減少し、喫煙者によるたばこ消費量は1日当たり3.1本減ったことがわかった。また喫煙者がたばこをやめる、または量を減らすという効果を合わせると、従業員(禁煙者と喫煙者を含める)一人当たりの消費量が29%も減少していたことも明らかになった。欧米ではすでにたばこ税の増額で喫煙率の低下に成功しているが、上記と同じ効果を得るには、たばこの値段を1.73倍にまで上げる必要がある、と研究グループは述べている。つまりたばこ一箱の値段を、米国では現在の3.12ドルから5.41ドルに上げることになり、この差額2.29ドルが税金の増加分になる計算だ。国内では職場内に喫煙所を設けるという「緩やかな規制」をとることが多い。だがFichtenberg氏らによれば、喫煙所を設けただけでは、たばこ消費量も喫煙率も、全面禁煙化の半分もの効果しかなかったという。職員の健康を考えて職場の禁煙化を目指すなら、徹底的に行うことが禁煙への近道のようだ。(平成14年8月)−MedWaveから
妊婦の3分の2 受動喫煙 原因は「夫」82% 厚労省機関1600人調査
妊婦の3分の2 受動喫煙 原因は「夫」82% 厚労省機関1600人調査
妊婦の3人に2人が、夫らのたばこの煙を日常的に吸い込む受動喫煙の危険にさらされていることが26日、厚生労働省の付属機関、国立保健医療科学院のアンケートでわかった。全国の約1万6千人が対象で、妊婦とたばこの関係に絞ったこれだけの大規模な調査は国内で初めて。厚労省の検討会が昨年まとめた報告書は、妊婦の受動喫煙が赤ちゃんの出生時体重を減少させるほか流産のリスクを高める可能性を指摘しており、多くの妊婦が周囲の人による”煙害”に直面している深刻な実情が明らかになった。一方、全体の約10%は妊婦本人が喫煙しており、そのうち10人に9人は胎児への影響を知りながら、喫煙を続けていた。(平成14年7月)−愛媛新聞から
肺癌患者の最期の姿を CM放送(フランス)
フランスは喫煙者にショックを与えるため肺癌患者の最期の姿を放送しました。フランスのテレビ局は月曜日、タバコが家庭にもたらす被害を知らせるため、健康団体がホームビデオで撮影した、犠牲者となり、やせ衰えた肺癌患者の衝撃的な最後の日々を放映しました。この27秒間のフィルムは、ある50歳男性の死ぬ直前の姿を妻が撮影したものです。彼がタバコを吸い始めた年齢は14歳でした。14歳当時に撮影された若く健康的な彼の写真のイメージとは対照的に、彼の肉体は無残な姿を呈しています。フィルムを製作したNational Committee Against Smokingは言います。「これは俳優ではありません。実際の犠牲者です。このようなキャンペーン放送は英語圏では広く行われていますがフランスでは新しい試みです。」「このフィルムは病気に侵され死にかけている男性の自発的な証言です。家族の支援の下で作成されました。」このフィルムは民間放送TF1のmain evening news の直前に放映されました。映画とカフェという長年の文化を背景に、フランスでは反タバコ活動家がタバコの危険を喚起してきた米国や他の国々と比べると喫煙に寛容です。毎年2万人のフランス人が肺癌で死んでいます。その他のタバコ病でも数千人が死亡しています。未成年の喫煙率の増加に伴い、タバコによる死亡率は今後も増加すると考えられています。この放送は、「水銀、アンモニア、その他化学物質が含まれている商品に関する情報を提供する電話番号」を放映した6月のキャンペーンに引き続いて行われました。百万人近くがその電話番号に電話し、その「答えはタバコである」と告げられました。フランスのメディアはこのような騒動を引き起こすことに疑問を抱いています。しかし、キャンペーンを支持するINPES健康教育会議は良い方法であると言いました。ショック戦術は、フランス人の危険な性癖であり、ヨーロッパ最悪の死亡原因の1つであるシートベルト未着用に焦点を当てた最近の安全キャンペーンでも利用されました。(平成14年7月)−ロイターニュースから
オランダもタバコ広告禁止
オランダ厚生省はヨーロッパタバコ規制指令の実施に伴いオランダでは今年11月からタバコ広告が禁止されると言いました。オランダの上院rは4月にEUの規制を採択しました。この法律は木曜日に厚生省が定めた予定に従って有効になります。11月7日から全ての印刷物以外の広告とタバコ会社のイベント、スポンサー活動が禁止されると厚生大臣は言いました。来年の1月からは印刷広告も禁止されます。2004年の初めには職場での喫煙と公共交通機関での喫煙が禁止されます。隣国のドイツでは政府の努力もむなしく、ヨーロッパ指令がタバコ産業に妨害されました。ドイツのタバコ産業は大きな影響力を持っています。(平成14年7月)−ロイターニュースから
喫煙の危険性知って 市教委に漫画本贈呈 新居浜市医師会
新居浜市医師会は16日、市教育委員会に禁煙漫画本「たばこってな〜に?」(B6版、32ページ)を3千冊贈呈した。同医師会では、低年齢で喫煙の危険性を知ってもらおうと、昨年から市内の小学6年生と中学2年生(計約2千7百人)に配布。来年以降も両学年生に贈呈を続ける予定で、中学卒業までに1人が2回、同じ本の配布を受けるようにする。(平成14年7月)−愛媛新聞から
県内の公立学校 93%が分煙化 完全禁煙は15校で実施 愛媛県教委調査
愛媛県教育委員会は、県内の公立学校(小・中・高校・特殊学校)593校を対象に初めて行った教職員の喫煙に関する調査結果をまとめた。15校が完全禁煙にしていたほか、全高校を含む555校(93.6%)が分煙を行っていることが分かった。反面、何も対策をしていない学校も小学校で21校、中学校で2校あり、県教委は「2010年度の完全禁煙を目標に指導していきたい」としている。(平成14年7月)−読売新聞から
たばこの怖さ知って 外科医の大橋さん 学校など講演行脚 新居浜
新居浜市船木の外科医大橋勝英さん(58歳)は、2年半前から同市周辺の小、中、高校などで、たばこの危険性を訴える禁煙教育の講演を続けており、4日の南中学校での講演で、42回目となった。大橋さんは「子供たちが喫煙の怖さを知ってくれるだけでなく、父親に禁煙を勧めてくれる」と、その成果を喜ぶ。医師歯科医師らの日本禁煙推進連盟愛媛支部(42人)の代表を務め、学校や医療機関の禁煙化にも取り組んでいる。(平成14年7月)−愛媛新聞から
副流煙中の有害物質量はニコチン含有量と相関せず、厚生労働省がデータを公表
厚生労働省は7月3日、「1999〜2000年度たばこ煙の成分分析」の結果概要をホームページ上に掲載した。国内で販売されているたばこのうち、消費量が多い7銘柄を選んで分析した結果、主流煙に含まれる有害物質などの量は、ニコチンの含有量が多いたばこだと、増える傾向にあることがわかった。一方、副流煙に含まれる有害物質などの量は、ニコチン含有量と必ずしも相関しないことも判明した。分析対象は、「フロンティアライト」「マイルドセブン・エクストラライト」「マイルドセブン・スーパーライト」「マルボロ・メンソールライト」「キャビン・マイルド」「マイルドセブン」「セブンスター」の7銘柄。主流煙の分析に際して、「標準的」と「平均的」の二つの燃焼条件を設定した。副流煙については、「標準的」な条件下で検査を行っている。(平成14年7月)−MedWaveから
日本たばこ8工場閉鎖 需要の減退に対応
日本たばこ産業(JT)は4日、たばこ需要の落ち込みに対応するため、国内25工場のうち8工場で、2005年3月末までに段階的に生産を中止し、工場を閉鎖すると発表した。生産を中止するのは03年3月末に仙台、名古屋、橋本(和歌山県橋本市)の3工場。04年3月末が広島、府中(広島県府中市)、松山、那覇の4工場。05年3月末が上田工場(長野県上田市)。JTは生産体制の効率化でコスト削減を図る。閉鎖する8工場は、いずれも従業員が100人前後で、退職者の募集や配置転換を行う予定。また同社は子会社の四国ジェイティエス電装(徳島県池田町)を来年3月末で解散する。(平成14年7月)−共同通信から
たばこの煙迷惑 法整備検討を
6月24日、東京都千代田区で、全国初の罰則付き路上禁煙条例が制定された。4月から5月にかけて本欄でも「公共の場所での喫煙の可否」をめぐる論争が繰り広げられたが、今や喫煙の是非をめぐる論議が、全国的な広がりをみせているようだ。かってJRで禁煙車が少なかったころ、私は、満席のため仕方なく喫煙車に乗ったことがあった。隣の席に座った男性がヘビースモーカーで、流れてくる煙にむせたものだ。現在でも分煙になっていない待合室などでは、例え先に座ったとしても、隣の席に喫煙者来ると私の方から席を移らなければならないこともあった。喫煙者の自由を奪うことはできないが、矛盾している。発がん性の高いタールは、たばこよりも煙に多く含まれるという。喫煙者が病気になるのは自分の責任だが、たばこが嫌いで目をそむけている人までもが受動喫煙で、その弊害に巻き込まれては割りに合わない。喫煙のマナーだけでなく、国民の健康を守るためにも、法整備を検討してみる必要があるのではないだろうか。(平成14年7月)―愛媛新聞「門」欄から
WHO:世界のがんの現況と対策指針をまとめた報告書を発表
世界保健機関(WHO)は1日、世界のがんの現況と対策指針をまとめた報告書「がん抑制国家計画―政策と管理の指針」を発表した。それによると、2000年に発覚したがん患者は世界で約1000万人。がんによる死者は約600万人と全死者の約12%を占めた。患者の発生は年々増える傾向にあり、20年後のがんによる死者は年約980万人になると予測している。発覚したがんの部位は男性が(1)肺(90万人)(2)胃(55万人)(3)前立腺(54万人)の順。女性では(1)乳(105万人)(2)子宮(47万人)(3)結腸・直腸(44万人)だった。報告書では、がん治療の研究が注目される一方で、患者数を減らすためには予防対策や早期発見がより効果的だが、軽視されていると指摘。喫煙や飲酒の抑制、肥満防止などで「少なくとも新規患者の3分の1は予防が可能」として、こうした側面も視野に入れた総合的ながん抑制計画の必要性を訴えている。また、早期発見のための集団検診に関し、乳がんと子宮がんを除くがん検診は「費用対効果の観点からまだ有効とは立証されていない」と指摘。日本で行われている特殊なX線技術を使った胃がん検診は「高価なため日本でしか実施されていない」と述べている。今回の報告書は、91年に発表されたものを10年ぶりに改訂した。(平成14年7月)−毎日新聞から
沖縄県内たばこ自販機の違反設置が1割
沖縄県内たばこ自販機の違反設置が1割
沖縄総合事務局財務部は26日、過去5年間に許可したたばこ自動販売機の設置状況の実態調査結果を発表した。調査2471件のうち、許可条件違反が約1割の242件あった。同部によると、県内のたばこ自販機設置台数は1万7500台余。四国全県に匹敵する数で、1人当たりの台数は全国一という。違反に対し許可名義人に設置場所改善や撤去など文書による行政指導を行っているが、悪質な違反業者には刑事告発も視野に入れ厳しく対処する構え。たばこ事業法では未成年者喫煙防止の観点から(1)販売機を店舗に併設する(2)販売機および購入者を直接、容易に視認できる―を設置許可の条件にしている。違反の内訳は「店舗内から自動販売機や購入者が確認できない位置にある」が165件、「店舗から離れている」が49件、「店舗閉鎖にかかわらず販売機が稼働している」が25件、「店舗ではない位置に設置」が3件となっている。江口祐治部長は「これまでに1400台余りの無許可販売機を撤去した。許可を受けても条件に違反している自販機を取り締まる段階だ」と語った。(平成14年6月)―琉球新報から
両足切断の男性に賠償金支払い命令 米たばこ会社に
米カンザス州の連邦地裁は21日、喫煙が原因の病気で両足を切断したのはたばこ会社の責任として損害賠償金の支払いを求めていた同州の男性の主張を認め、会社に1500万ドル(約18億2000万円)の支払いを命じる決定を下した。訴えられたのは、米たばこ持ち株会社大手、RJレイノルズ・タバコ。10代の時から喫煙を始めた男性は、同社が健康被害の危険性を知らせなかったため、循環器系の病気を患い、両足を切断する羽目になったなどと主張、1994年に訴えていた。連邦地裁は決定の理由について、「たばこの中毒性を隠したレイノルズは悪意に満ちている。裁判を通じ反省の姿勢も見られなかった」としている。一方、同社は、病因は男性の食生活の乱れと関係があると主張、上訴する方針を明らかにした。(平成14年6月)−CNNから
全ての県立体育施設、禁煙・分煙化へ
香川県教委は7月から、高松市生島町のオリーブスタジアム(県営野球場)など、これまで分煙化が図られていなかったすべての県立体育施設で、禁煙・分煙化をスタートする。各施設とも観客席を全面禁煙とし、客席から離れた場所に喫煙コーナーを設ける。県が昨年度末に策定した「健やか香川21ヘルスプラン」では、公共施設における完全禁煙・分煙化を盛り込んでいる。新たに禁煙・分煙化するのは、オリーブスタジアムなど県総合運動公園の全施設(県営第二球場、県営球技場、同サブグラウンド、県営生島コート、県営相撲場)と高松市屋島中町の屋島陸上競技場。体育館や県立丸亀競技場などは既に分煙化されている。オリーブスタジアムは、内・外野席への出入り口に観客席の禁煙を知らせる看板を設置。喫煙コーナーは内野スタンド下などに設ける。保健体育課は「倉敷市のマスカットスタジアムなど最近建設された野球場は対応済み。客席での喫煙について、観客から不愉快との声も寄せられていた」と説明。7月から各施設では、場内放送などで試合中にも分煙への協力を呼び掛ける。(平成14年6月)−四国新聞から
路上喫煙に初の罰則条例
東京都千代田区内の特定地域の路上喫煙を禁止する条例案が24日の同区議会本会議で可決・成立した。歩きたばこや路上喫煙に罰則を設けた条例の成立は全国初めてで、今年10月1日から施行される。禁止地域は、繁華街の有楽町、神田、御茶ノ水、水道橋、飯田橋、市ヶ谷、電気街・秋葉原の7駅周辺や、通学路の多い地域などが対象。施行日までに確定する。指定地域の路上でたばこを吸って、区職員らの再三の注意に従わないと2万円以下の過料(行政罰)に科せられる。また、同区は、区内全域を対象に、吸い殻や空き缶のポイ捨てを繰り返すなどの悪質なケースでは、所属企業名や氏名を公表することも考えている。(平成14年6月)−読売新聞から
うつ病とたばこ広告受容性の高さが思春期の喫煙に関与
ペンシルベニア大学の研究者らが行った米国立薬物中毒研究所の助成研究がこのほどまとまり、うつ病とたばこ広告受容性の思春期喫煙に及ぼす相互作用」と題して、Journal of Pediatric Psychology(27:145-154)に発表された。それによると、たばこ広告を容易に受け入れやすい傾向に加えて、思春期うつ病を発症していることは、思春期の若者が喫煙するかどうかに大きな役割を果たしているという。 Audrain博士は、うつ状態の強い若者は、そうでない若者と比べてたばこ広告のうたい文句に引かれやすいと指摘。喫煙を予防するためには、たばこ産業が心理的に喫煙に無防備な若者を巧妙に操作していることを教えるべきであると述べている。(平成14年6月)−MedTribから
ニコチン禁断症状は炎症反応と類似
ペンシルベニア州立大学(ハーシー)看護学部・大学間生理学プログラムのElizabeth Corwin助教授らは、中等度〜重度の喫煙者が禁煙中に示す症状は炎症反応と似ていることを、ニコチン・タバコ研究学会の集会で発表し、ニコチン禁断症状が抗炎症薬の投与によって緩和される可能性を示唆した。Corwin助教授は「ニコチン摂取の中止は、精神的にも身体的にも大きな有害因子となり、免疫系を含む身体のさまざまなシステムに影響を与えることが今回の研究で示された。これらの炎症類似反応を軽減することで抑うつなどの望ましくない症状を緩和できれば、中等度〜重度の喫煙者の禁煙成功率を上げられるかもしれない」と述べた。(平成14年6月)−MedTribから
6畳間でたばこ1本 有害物質濃度、環境基準4倍に
換気していない6畳間でたばこを1本吸うだけで、副流煙によって発がん物質やシックハウス症候群の原因物質などが基準値を大幅に上回ることが分かった。厚生労働省が国産たばこの人気7銘柄について調べた結果で、換気や分煙の重要性を裏付けた。実際に分析にあたったのは、委託先のカナダの検査機関。たばこ1本の吸い方は、1分間隔で1回2秒、35ミリリットル吸引とした。売り上げ1位のマイルドセブン・スーパーライトでは、ベンゼンは1本から0.303ミリグラム放出。換気されていない6畳間(約25立方メートル)では、環境基準の4倍の濃度に汚染される。シックハウス症候群の原因だけでなく発がん性も疑われるアセトアルデヒドは1.789ミリグラム。同省が定めた指針値の1.5倍。アセトアルデヒドは違法に使用された香料を含む食品が問題化したが、例えば回収された大塚製薬のウエハース2枚中に数ナノグラム(ナノは10億分の1)。たばこ1本の副流煙に含まれる量はこの10万倍以上だ。マイルドセブン、セブンスターなどほかの6銘柄でも、ベンゼンとアセトアルデヒドはいずれも基準、指針値を超えた。たばこの先から出る副流煙の方に、喫煙者が吸い込む主流煙よりたくさん含まれる有害物質も多い。いずれも発がん性が疑われるホルムアルデヒド(シックハウス症候群の原因物質でもある)、ベンゾピレン、イソプレンは、それぞれ37倍、20倍、18倍だった。厚労省の分煙効果判定基準策定検討会は、今回の調査とは別の報告書で、ベンゼン、アセトアルデヒドなどは、空気清浄機では除去不十分のまま再放出されると警告している。(平成14年6月)−朝日新聞から
ガンバレ日本!
・・なお、5月の末から2回に分けて書いたたばこ問題について、随分反響があった。禁煙を推進する上で特に未成年対策の重要性を強調したつもりが、喫煙者にたばこを勧めているような誤解や、禁煙対策に取り組んで方々への心証を害するような表現があったことをお詫びしておきたい。(平成14年6月)−愛媛新聞から
主張 課税率の義務付けは問題
【たばこ対策条約】
禁煙への関心が高まる中、世界保健機関(WHO)は2003年をめどに「たばこ対策枠組条約」の策定作業を行っている。喫煙を抑制し健康の増進を図るという趣旨に異論はないが、原案には税率を定め、各国に課税義務を課す条項がある。これは国家の主権に関する重大な問題ではないか。たばこが健康に及ぼす影響については各方面で論議されている。とくに発がん物質など有害物質の含有量は吸い込む煙より吐き出す煙のほうに高いことが明らかになるとともに、たばこを吸わない人の受動喫煙被害が注目されている。また未成年者の喫煙問題も重要な課題になっている。WHOという国際機関が条約をつくってたばこ対策に取り組むこと自体異例だが、それだけたばこ被害が深刻化しているということだろう。ただ事務局原案には看過できない点がいくつかある。なかでも「たばこ需要減少のための価格及び課税措置」の条項には異議を唱えなければならない。国際的税率(たとえば小売価格の三分の二など)を定め、それより低い税率適用の国に引き上げ義務を課すという。課税権は国の主権にかかわる問題である。たとえ人類共通の課題といえども権利侵害は認められまい。 また世界的規模でのたばこ自販機廃止を求めている。未成年者の喫煙防止に有効というのが理由だ。だが商業文化の違いは容認されるべきで、全廃は行き過ぎた対応というしかない。総論は賛成でも、国として反対すべき点は明確にしなければならない。今国会で審議中の健康増進法案で、多数が利用する施設の管理者は「受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない」とある。しかしたばこ関連がこの程度では、厚生労働省の問題意識が希薄だと批判されても仕方ない。「喫煙者に寛容過ぎる」との批判やモラルで解決できる状態でないとの指摘もある。不特定多数が集まる施設や歩行中の喫煙、投げ捨てなど、罰則を含めた厳しい対応も検討する段階にきている。それと同時に、学校でたばこと健康の問題を教えることや、年齢チェック機能を持つ自販機の早期導入など未成年対策も急がねばならない。(平成14年6月)−産経新聞から
厚生労働省の検討会、分煙効果の判定基準まとめる
厚生労働省は6月12日、分煙効果判定基準策定検討会がまとめた報告書を同省のホームページに掲載した。公共の場所や職場など分煙を実施する施設は増えてきているものの、その形態は様々で、分煙そのものが実効性を伴う形で行われているかどうか、十分に判定されていない現状を踏まえたもの。旧厚生省が1996年にまとめた報告書で分煙方法を提示していたが、数値的な評価基準については示していなかった。 新しい分煙効果判定の基準では、受動喫煙の防止ときれいな大気環境の維持という観点から、屋内における基準と屋外排気装置周辺の大気の基準をそれぞれ定めている。さらに、屋内の判定基準は、排気装置(屋外への強制排気)による場合と空気清浄機による場合に分けて示した。ただし、屋内に設置された現在の空気清浄機については、煙の中に含まれる粒子状物質の除去には有効であるが、ガス状成分の除去には不十分であるため、その使用にあたっては、喫煙場所の喚起に特段の配慮が必要であるとしている。また、受動喫煙防止の観点からは、屋内に設置された喫煙場所の空気は屋外に排気することが有効と述べている。今後の課題として、煙に含まれるガス状物質も除去できる空気清浄機の開発と、ガス状成分の除去率を定量する手法の確立を挙げた。(平成14年6月)−MedWaveから
禁煙ワクチンの臨床試験 米企業が商品化目指す
たばこを吸ったときに体内に入るニコチンが、脳に達して興奮を引き起こすのを防ぐことで、たばこの習慣性をなくす「禁煙ワクチン」の臨床試験を、米国の製薬会社が始めると12日、発表した。安全性の確認が目的で、商品化されるのはまだ先になりそうだが、ワクチンを開発したナビ・バイオファーマシューティカル社は「ニコチン中毒を治療するこれまでにない方法となるはずだ」としている。NicVAXというこの薬は、免疫細胞を刺激して、血液中のニコチンと結合する抗体を作らせる。抗体と結合したニコチンは脳に達しにくくなり、快感を感じさせることがなくなるため、人間のニコチンへの依存性を抑えることができるという。動物実験では、脳に達するニコチンの量を60%以上少なくすることができたという。第一段階の臨床試験では20人のボランティアを対象に、ニコチンに結合する抗体のでき方や、副作用などを調べることにしている。(平成14年6月)―共同通信から
非喫煙者は割引 AIGスター生命 最大31.8%がん保険で日本初
AIGスター生命保険は10日、たばこを吸わない加入者は、喫煙者に比べて保険料が最大31.8%割り引かれるがん保険の販売を始めたと発表した。がん保険の非喫煙者割引は日本で初めて。海外の研究データなどを分析し、喫煙者と非喫煙者の健康に対するリスクに違いがあると判断した。「たばこを吸わない人はそれだけがんになるリスクが小さい。吸う人と吸わない人の不公平をなくした」(広報室)という。商品名は「がんケア」。40歳男性(保険期間10年、がん診断給付金2百万円、がん入院給付金1日2万円など)の場合、加入者保険料は喫煙者が月額3,276円、非喫煙者は「すわナイス割引」が適用され、19.5%安い2,638円。60歳の非喫煙者男性の場合は、喫煙者の31.8%引きとなる。2年以上たばこを吸っていない人が対象で、実際に吸っていないかどうかを確かめる検査も必要だ。(平成14年6月)−愛媛新聞から
たばこは腰痛にもいけません 日大教授らが学会で発表へ
たばこを吸う人ほど腰を痛めやすい、という喫煙と腰痛の因果関係を、日本大学医学部の松崎浩巳教授(整形外科)らのグループが突き止めた。背骨でクッションの役目を果たす椎間板がニコチン摂取によってつぶれやすくなることを、動物実験で確認。6日から宮崎市で始まる日本脊椎脊髄病学会で発表する。実験は、たばこを1日20本吸う人とほぼ同じ血中濃度のニコチンを、ウサギの体に4〜12週間続けて注入した後、解剖して椎間板の変化を調べた。ニコチンを長く与えたウサギほど、椎間板は弾力を失うことがわかった。弾力のない椎間板は弱い力でもつぶれやすい。つぶれた椎間板は背骨周辺の神経を刺激して腰の痛みをもたらす。これまで米国の大学の調査などで、腰痛患者の喫煙率が高いことは指摘されていた。だが、その理由は詳しくわかっていなかった。松崎教授は「椎間板の変化は、ニコチンによって血流障害が起き、コラーゲンが破壊されたためだろう。たばこへの疑惑は『灰色』から『クロ』に近づいた。腰痛に悩む人は、ぜひ禁煙を」と話している。(平成14年6月)−朝日新聞から
ーー子供の健康について栄養過多や運動不足など小児生活習慣病が取りざたされているが、まずは防煙対策と言いたい。子供を抱いてもしくは目の前にして、煙を吹きかけている親を見るとさすが情けなくなる。「子供の健康を祈る」もないだろう。「たばこ文化」と主張する愛煙家の強気の姿勢も、本音は自分の子孫まで受け継がせたいとは思っていないはずだ。ーー−(平成14年6月)−愛媛新聞から
愛媛県医師会館全館禁煙に きょうから
愛媛県医師会館全館禁煙に きょうから
県医師会(村上郁夫会長)は31日の世界禁煙デーを機に、同日から松山市三番町四丁目の県医師会館で全館禁煙を実施する。3月の代議員会で大橋勝英医師が「医師が率先して高い理念で禁煙に向けて努力すべきだ」と提案した際、村上会長が「全館を禁煙にしたい」と表明した。全館禁煙を提案した大橋医師は、日本禁煙推進医師歯科医師連盟愛媛支部の代表も務めており、「今後も医療機関の禁煙やたばこ自販機の撤去などに向け、積極的に提言していきたい」と話している。(平成14年5月)−愛媛新聞から
禁煙宣言 患者や一般市民にも呼びかける
喫煙は冠動脈疾患の確立した危険因子であること、禁煙することで冠動脈疾患死亡率を低下できることはよく知られているが、わが国の喫煙率は欧米と比べて依然はるかに高く、喫煙に対する認識の甘さと喫煙対策の著しい立ち遅れが指摘されている。こうしたなか、日本循環器学会は禁煙推進委員会を設置して「禁煙宣言」を発表、循環器医療の専門家集団として、禁煙、受動喫煙防止活動を自らの足元から積極的に推進し、その重要性を社会に発信するとしている。禁煙推進は
3 つの基本方針と10の到達目標から成る。
学会員の14%が現在も喫煙
今年 2 〜 3 月、日本循環器学会会員および所属施設にアンケート調査を行った結果を、岐阜大学第
2内科の飯田真美氏が禁煙推進委員会主催の「禁煙推進セミナー」で報告した。喫煙者は理事・評議員14%、一般会員14.6%、過去喫煙者はそれぞれ37%、27.1%であった。また、循環器内科より循環器外科のほうで喫煙者や過去喫煙者が多い傾向にあった。現在喫煙者のうち
7 割が「たばこをやめようと考えたことがある」と回答し、うち
3分の 2 は真剣に禁煙に取り組んだことがあったが、現在喫煙者の
3 割は禁煙に「無関心」であった。また、喫煙者のうち43%は「循環器医師という立場であっても、たばこは吸ってもよい」と考えていた。ちなみに、非喫煙者で同様の考えは11%と低かった。患者へ禁煙すべきと伝えている学会員の割合は、心筋梗塞や冠動脈器質性病変のある狭心症などは
9 割と高いが、弁膜症や肥満などでは 4割と低かった。その他の疾患でも
5 〜 6 割程度であった。禁煙指導を行うときの障害として最も多いのは「時間がかかる」だが、「患者が初めから指導を拒否している」との回答も
3 割あった。さらに、禁煙支援を専門に行う「禁煙外来」も
5 %しか開設されていないことがわかった。学会指定循環器研究施設はほとんどが禁煙対策を行っているが、建物内が休憩室・ロビーも含めてすべて禁煙であるのは
5 %で、最も多いのは不完全分煙であった。循環器内科の患者スペースで喫煙できる施設も7.4%存在した。外来では禁煙でも、医局や研究室では禁煙度が低いこと、半数以上の施設が施設内でたばこを販売していることも明らかとなった。(平成14年5月)−MedTribから
「たばこの表記「タバコでは」」
31日は世界禁煙デー。世界保健機関は毎年世界で400万人(日本では10万人)の人たちがたばこの犠牲になって死亡している、と警告している。今年の標語は「スポーツはたばこと無縁(無煙)で、きれいにやろう」というものだ。折からの「W杯」にもあてはまる標語だ。ところで、たばこはコーヒーなどと同じく外来語であるのに、新聞などでは「たばこ」とひら仮名表示される。「こーひー」とは表示しないのに矛盾がある。これは日本たばこ産業という会社の表記にもみられる。ひら仮名のほうが、日本古来から親しまれている優しい印象を与えやすいためであろう。しかし、たばこはコーヒーなどと同じく戦国時代に西洋から伝えられたものだ。「たばこ」産業の意図はともかく、正しい日本語表記の観点からも「タバコ」と表示すべきであろう。(平成14年5月)−読売新聞から
「甲子園球場でも禁煙実施を」
プロ野球の阪神タイガースがよく頑張っている。関西人としては甲子園球場に駆けつけて応援したいところだが、二の足を踏んでしまう。観客席が禁煙でないからだ。観客席で喫煙されると逃げるすべがない。わたしはぜんそくがあるので、発作がおきそうになる。関西ではグリーンスタジアム神戸、大阪ドームともに禁煙だ。甲子園球場では高校野球も開催される。高校生の選手は喫煙すると出場停止だ。一方、応援する側は観客席で吸い放題ではたまらない。たばこは周囲に迷惑をかけずに吸うことは出来ない。5月31日は世界保健機関の定めた世界禁煙デーだ。今年の標語は「スポーツはたばこと無縁(無煙)で、きれいにやろう」。オリンピックもサッカーのワールドカップも禁煙だ。甲子園球場も禁煙にしてほしい。野球とは「野蛮な球技」の略ではないはずである。(平成14年5月)−産経新聞から
「スポーツ会場 禁煙にすべき」
5月31日はWHOが呼びかけている世界禁煙デーで、今年のスローガンは、「スモークレス・スポーツ」である。運動選手にとって喫煙は運動能力を低下させるため、たばこを吸わないことは常識である。しかし、日常的に我々が楽しんでいるスポーツの現場ではどうだろうか。例えばボウリング。喫煙そのものが成績を低下させることはないと思うが、喫煙者の両隣のレーンには容赦なく副流煙が流れていく。ボウリング場そのものの空間は大きいが汚染された空気は全体に拡散している。ドーム球場は禁煙となっているが、野外の球場やサッカー場のスタンドは禁煙となっていない。野外とはいえ観衆が決まった席についている場合は、風向きによってはたばこの煙は同じ方向に流れるため、そこにいる人は屋内と同様の受動喫煙の被害を受けることになる。ましてや妊婦、赤ちゃん、子供の場合は健康への影響は大きい。学校の運動会での父兄席は教育現場という観点からも禁煙にすべきだ。野外のコンサートも含め、不特定多数の人が集まる場所は屋内屋外に関係なく主催者は禁煙の方針を打ち出して欲しい。(平成14年5月)−長崎新聞から
公立周桑病院の中川秀和医師がFMバリバリ 78.9MNzで「ラジオ禁煙教室」を担当する。6月1日から、毎週土曜日、あさ8時45分から15分番組で3ヶ月間の予定。(平成14年5月)ーuenMLから
校内は全面禁煙 新庄の明倫中年内に実施
「子供たちにたばこの害を教えるのに先生が吸っていては説得力がない」と、31日の世界禁煙デーを前に新庄市の明倫中学校は年内に全面禁煙にすることを決めた。校医の三條典男医師(45)が10年にわたり禁煙教育を続ける全面的な協力があった。同校は26人の教職員のうち3人がたばこを吸っている。職員室は2階にあるが、管理棟3階の物置を喫煙室として利用してきた。今回、この喫煙室も年内に閉鎖して完全禁煙を実現させる。三上校長によると、喫煙派の3人からは反対はなく、協力を約束してくれた。PTA役員らにも説明し、学校行事には灰皿を出さないことを了承してもらった、という。全面禁煙への動きは徐々に進められてきた。3年前からは職員室が禁煙になった。校長室が喫煙場所になったが、2年前に赴任した三上校長が禁煙派になったため、教室棟から廊下でつながっていない物置に移した。三上校長が禁煙したのは、三條医師から「禁煙教育を進めている学校なので校長が率先して禁煙なさっては」と助言されたためだ。同医師は10年前から校医を務め、講話の際にビデオなどを使って具体的に喫煙の危険を必ず訴えてきた。三條医師は「1年生が特に大事。先輩の『吸ってみろ』の「喫煙教育」の前に禁煙教育」と話す。以前はトイレに吸い殻が落ちていたこともあったが、最近は聞かないという。産婦人科医として市内で医院を開業するが、若い女性の喫煙率上昇に危機感を抱いている。県教委福利課によると、校内全面禁煙は今年4月からの松山町立松山中が最初で、分煙も完全でない学校もあるのでは、という。米英からの外国語指導助手の中には「子供が出入りする職員室でたばこを吸っているのが信じられない」という声がある。(平成14年5月)−朝日新聞から
ーー人は健康のためにだけ生きているのではなく、豊かな人生を目指して生きているのである。大人の喫煙は法律で禁じられているわけでもなく、他人に迷惑をかけなければ、医者であろうと誰も禁煙を強制することはできない。たばこの害を承知ならば(十分承知している人はそう多くないかもしれないが)、喫煙することは本人の自由である。むしろ喫煙者に対してたばこを安心して吸える環境を確保することが大切だ。分煙化、禁煙サポート、CTを用いたより精度の高い肺がん検診など、喫煙者が利用できる受け皿を提供できる体制を整えれば、何も喫煙者狩りを目的に禁煙キャンペーンを行う必要はない。世界禁煙デーが嫌煙者や禁煙できた優等生?のためのものにならないことを期待したい。そのキーワードは未成年者対策にあると考える。ーー(平成14年5月)―愛媛新聞から
未成年者の喫煙 たばこ予防教育肝要 習慣つけば禁煙困難 大人の無理解が阻害
31日はWHO(世界保健機関)が提唱する「世界禁煙デー」。日本人の喫煙率は全体では減少傾向ながら、未成年者への喫煙の広がりが近年、新たな問題として浮かび上がってきた。喫煙習慣は一度身につくとニコチン依存症により禁煙が困難となるため、県内でも児童生徒への予防教育が進みつつある。
アジアの厳しい喫煙規制を要求、業界批判 WHO
マニラ――世界的な禁煙キャンペーンを実施中の世界保健機関(WHO)は30日までに、アジア地域の各国政府に対し、喫煙に関する厳しい規制を打ち出すことを求める声明を発表した。域内で最大5万人の若者が毎日喫煙を始めており、カンボジアではたばこに絡む疾患で百万人もの子供が死亡する恐れがあると警告している。たばこ業界についても、がんなどで死亡する数百万人に代わる喫煙者を補充するため、若年世代の喫煙者を求めているとその在り方を厳しく非難。アジアの一部諸国では、多国籍のたばこ企業が年間数十億ドル単位の広告出稿額で上位10位以内に名を連ね、スポーツ行事や音楽コンサートのスポンサーとなって製品を宣伝していると主張している。WHOによると、アジアは世界でも喫煙率が最も高い地域で、中国では25歳以下の人口層の3分の2が吸い、フィリピンでは7歳―17歳層の半分以上が喫煙。世界的に見ても、13歳―15歳層で5人のうちの一人がたばこを口にしている。また、シンガポール、香港、タイを除いたアジア諸国は世界で最も貧弱なたばこ規制条項を実施していると指摘、低いたばこ税、たばこ会社による宣伝やスポンサーシップにはほとんど制限がないと批判している。(平成14年5月)−CNNから
「たばこ自販機は違法」と刑事告発へ 大阪の嫌煙団体
未成年者がたばこを自由に買える自動販売機は未成年者喫煙禁止法に違反するとして、大阪市の市民団体「たばこれす」は、日本たばこ産業(JT)などを30日に同法違反容疑で大阪府警へ刑事告発することを決めた。告発状によると、昨年12月の同法改正で、たばこ販売業者は年齢確認などの措置を取ることが義務づけられたのに、自販機で年齢確認がされていないのを知りながら流通させているとしている。2月に、大阪市中央区のJR大阪城公園駅構内の自販機で、制服姿の男子高校生がたばこを買っている写真を証拠として添え、設置者であるJR西日本の関連会社も告発する。「たばこれす」は同法改正後、JTのほか、日本たばこ販売協同組合連合会などに自販機の撤去を申し入れたが是正されず、告発に踏み切った。日本たばこ産業IR報道部は、改正された未成年者喫煙禁止法にある「年齢確認その他の措置」は、「未成年者の喫煙は法律違反」と自販機のステッカーで呼びかけることも含まれると解釈しており、自販機そのものが違反とはいえない。08年までに自販機に年齢確認装置を取り付ける準備を進めるなど、未成年者の喫煙防止には業界あげて取り組んでいると話している。(平成14年5月)―朝日新聞から
肺癌患者、治療中だけでも禁煙すると延命効果あり
治療中も喫煙している小細胞肺癌の患者は、治療開始前に禁煙した患者よりも生存期間が明らかに短くなる−−。米国Harvard医科大学Dana-Farber癌研究所のGregory MM Videtic氏らが5月20日、米国臨床癌学会の一般口演「Small-Cell and Other Thoracic Malignancies」で発表したもの。小細胞肺癌の主原因は喫煙とされているが、治療中の喫煙行為が治療効果に与える影響については、これまでほとんど研究されていなかった。Videtic氏は、「喫煙者の生存率が下がっているという事実は、喫煙そのものが治療効果を減らしていることを示しているのだろう。過去の喫煙歴によらず、患者は治療中、たばこを吸うべきではない」と強調した。(平成14年5月)−MedWaveから
禁煙で分裂病患者の認知機能が障害
エール大学精神科のTony P. George助教授は、精神分裂病患者が禁煙すると認知機能に障害が起こることがわかったとNeuropsychopharmacology(26:75-85)に発表した。今回の研究結果は、ニコチンが前頭前皮質(PFC)の認知機能を向上させるという従来の説を裏づけるもので、分裂病などの精神病の新治療法につながることが期待されている。
ニコチンが空間視覚を改善
今回の研究では、精神分裂病患者が喫煙すると、認知機能の
1 つである視空間作業記憶(VSWM)能が向上することがわかった。しかし、健常者では、この認知機能に関して喫煙は何の影響も与えない。George助教授は「分裂病患者はVS
WMに障害のあることが知られているが、この機能にニコチンが好影響を与えるという研究はほかにもいくつか報告されており、今回の研究はそのうちの
1 つと言える」とし、「今回の研究結果では、非喫煙患者のVSWM能は喫煙患者よりも劣っていたが、喫煙習慣のない分裂病患者のVSWM能をニコチンが改善するかどうかにはまだ疑問が残る」と述べている。さらに、同助教授は「ニコチンの中毒性を考慮すると、非喫煙患者へのニコチン投与は倫理的な問題もあり、その効果を証明するのは困難である」とも付け加えている。
分裂病患者の喫煙率が一般人口よりも高いことは、これまでの研究によって明らかにされている。過去の動物実験ではニコチンはVSWMに複雑な影響を及ぼすが、ほとんどの場合、改善を示すことが知られている。同助教授は「大脳のPFCはVS
WMの働きに関係していると思われるが、分裂病患者ではこの部位に異常が見られることが知られている。分裂病患者の脳はPFCの神経伝達物質ドパミンが低活性であるため認知機能に障害があり、患者はこうした障害を緩和するための自己治療として喫煙するのではないか」と述べている。ニコチンがPFCのドパミンレベルを向上させることは既に知られており、分裂病患者では喫煙がPFCのドパミンレベルを正常化し、VSWMの欠損を改善するものと思われる。
害のないニコチン様薬剤開発へ
George助教授らは、精神分裂病患者23例と非分裂病患者29例(すべて喫煙者)を対象とし、被験者に禁煙用薬剤を投与して最長10週間にわたり禁煙させた。VSWMに及ぼす影響の測定にはコンピュータを用いた試験を行った。また、常習的な喫煙がVSWMに与える影響を比較するために、喫煙習慣のない分裂病患者
8 例と対照群16例についても、VSWMを調べた。同助教授は「現在ニコチン様薬剤の研究が進行中であり、これが完了すれば、喫煙と異なり健康を害さずに分裂病患者の認知機能障害を改善する新薬の開発につながるだろう。そうしたニコチン受容体刺激薬が、将来的には分裂病などの精神病患者の認知機能不全に対する新治療薬になると思われる」と述べている。(平成14年5月)−MedTribから
甲子園球場も禁煙に 市民団体が要望書
31日は、世界禁煙デー。今年のスローガンは「たばことスポーツは無縁(無煙)です」で、間もなく開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)では、この趣旨に沿い、いずれの試合会場も客席での喫煙は禁止だ。プロ野球の球場でもスタンドでの禁煙化が定着してきたが、甲子園球場は広島市民球場と並び今も喫煙が自由。タイガースの快進撃で例年になく盛り上がるスタンドだが、「煙を気にせず応援させて」という声もあり、兵庫県の市民団体はこのほど、球場に禁煙化を求める要望書を送った。プロ野球球団の本拠地では現在、火災予防条例などで禁煙になっている東京、大阪など五つのドーム球場以外にも、グリーンスタジアム神戸、横浜スタジアムなどほとんどがスタンドでの喫煙を禁止している。2年前、禁煙に踏み切ったグリーンスタジアム神戸は「家族で楽しんでもらうのが球場のコンセプト。子供たちにも煙を気にせず観戦してほしいので」とその理由を説明。昨年から始めた千葉マリンスタジアムでは、来場者アンケートで寄せられた意見なども参考に、「時代の流れ」と決断したという。いずれも球場内に喫煙スペースを設置。多くがそこでも観戦できるようモニターテレビを備え付けている。甲子園などが禁煙に踏み切れない大きな理由の一つは、こうしたスペースを設けられない球場施設の狭さ。甲子園球場を所有する阪神電鉄は「78年前にできた球場で、スタンド以外の空間が非常に少なく、喫煙所をつくるのが難しい」と話す。今のところ禁煙化の予定はなく、「掲示などで引き続きマナー向上を呼びかける」とするだけだ。しかし、紫煙のひどさは新聞の投稿欄などでも指摘され、インターネット上には「甲子園も禁煙に!」というホームページもあるほど。この現状に、医療関係者らでつくる「兵庫県喫煙問題研究会」は今月中旬、阪神電鉄などに対し、甲子園球場の禁煙化を要望。事務局の山岡雅顕医師は「高校野球も行われる球場。子供も安心して観戦できるようにしてほしい」と訴えている。 一方、広島市民球場は、近く喫煙問題についての検討を開始。「アンケートで市民の意見を聞きたい」といい、甲子園に比べ、対策は“一歩リード”のようだ。禁煙ではなかなか足並みのそろわない日本のプロ野球界。これに対し、禁煙デーに開幕するサッカーW杯はWHO(世界保健機関)とFIFA(国際サッカー連盟)が連携した“分煙大会”。日韓の20会場はすべて、客席での喫煙が禁止される。(平成14年5月)−神戸新聞から
松山中が本年度(平成14年)から敷地内すべてを禁煙に
山形県松山町の松山中(160人)は本年度から、校舎、敷地内すべてを禁煙にした。教師はもちろん、学校を訪問、利用する各団体などにも呼び掛けを徹底している。県教育庁福利課によると、「和歌山県の全公立小中高校で本年度から学校の敷地内すべてを禁煙としているが、県内では聞いたことがない」と話している。全国的に喫煙の低年齢化が進行する中、「子どもたちに吸ってはいけないことを理解させるためには、まず大人が変わる必要がある」と和根崎校長が職員に提案。全員の賛同を得て、4月から実施に踏み切った。これまで職員室奥に設けていた喫煙室をなくし、校門そばに学校長名で「敷地内禁煙です。ご協力ください」との看板を設置した。父母、地元民には、PTA総会や学校通信を通し、運動会などの学校行事や会議などで学校を訪れる際に禁煙するよう協力を呼び掛けている。喫煙室を利用していた男性教諭の1人は、「吸えない時間が増えて初めはつらかったが、自然にたばこをやめる域に達しました」と苦笑い。もともとたばこを吸わない教師は、「教育現場からたばこのにおいがなくなることはいいこと」と大歓迎する。県教委では今後、学校敷地を全面禁煙にすることを最終目標に、県立高校での実施に向けて研究をスタートさせたいと考えており、市町村立の小中高校についても指導したいとしている。和根崎校長は「今後、全町や各方面に禁煙の輪が広がっていけば」と語っている。(平成14年5月)−山形新聞から
いろ歯にほへと たばこと口の健康 歯周病の進行が加速
歯周病とは、歯周組織(歯を支えている歯ぐきや骨などの組織)に起こる炎症を主な症状とする病気です。歯と歯ぐきの間にバイオフィルムと呼ばれる歯周病病原菌とその副産物の塊が付着し、歯周組織を破壊し、歯ぐきが腫れて出血したり、膿(うみ)が出て、さらに進行すると歯がグラグラになり、やがて抜けてしまいます。この歯周病の進行を、速める要因が危険因子と呼ばれ、たばこも重要な危険因子です。(平成14年5月)−愛媛新聞から
目指せ未成年の喫煙ゼロ 医師や教員スクラム−禁煙推進の会えひめ 25日新居浜でシンポ
世界禁煙デー(5月31日)を前に、新居浜市の医師らが中心の「禁煙推進の会えひめ」(真鍋豊彦代表)と、日本禁煙推進医師歯科医師連盟愛媛支部(大橋勝英代表)主催のシンポジウム「未成年者の喫煙ゼロをめざして」が25日午後1時半から同市繁本町の市民文化センターで開かれる。(平成14年5月)−愛媛新聞から
公共スペースで危険な喫煙に罰則 民主が議員立法へ
歩きたばこは「犯罪」です−−。民主党は周りの人にやけどを負わせかねない公共スペースでの喫煙に、1万円以下の罰金を科す軽犯罪法改正案を近く議員立法として国会に提出する。自民党議員にも関心が広がりつつあり、超党派の「禁煙推進議員連盟」にも働きかける予定だ。法案は「公共の場所または乗り物で、他人の身体又は物件に対して熱による危険を及ぼさせるような喫煙」を禁じるとしている。歩きたばこで目をやけどした女児が救急車で運ばれる事件があったと聞き、法案化に乗り出したという民主党の長妻昭代議士は「子どもの目の高さに、たばこの火が降ってくる。自分の子どもと歩くたびに冷や冷やしていた」と語る。歩きたばこに関しては、東京都千代田区が通学路や人通りの多い場所に限定して、過料を取る条例案を6月議会に提出する方針。(平成14年5月)−朝日新聞から
たばこの煙で日航機が緊急着陸
16日午後8時、ソウル発関西行き日航964便DC10(乗客255人、乗員13人)の機長から「機内後方のトイレで煙が出ている」と国土交通省関西空港事務所に緊急着陸の要請があった。同機は同6分、同空港に着陸した。乗客乗員にけがはなく、機体に損傷もなかった。日航によると、最後部トイレ内のごみ箱にたばこの吸い殻が捨ててあり、乗客の1人がトイレ内でたばこを吸ったのが原因とみられる。同機は当時、関空に着陸直前で、最終の着陸体勢に入った直後にセンサーが煙を感知。着陸前に乗務員が点検したところ、煙がトイレ内に充満していたという。同機内はトイレを含めて全面禁煙となっている。(平成14年5月)−産経新聞から
術前の禁煙で合併症リスクが低下
喫煙者が手術前の 6 〜 8 週間に禁煙すれば、その努力は術後合併症発現率の明らかな低下という形で報われそうだ。Bispebjerg大学病院(デンマーク・コペンハーゲン)麻酔科のAnn M. Moller氏らは、人工膝関節置換術もしくは人工股関節置換術を控えた患者120例を対象に、術前の禁煙ないしは節煙が術後の合併症発現率に及ぼす影響を検討し、その成果をLancet(359:114-117)で報告している。被験者の半数には、手術予定日の 6 〜 8 週前から禁煙指導やニコチン補充療法を行い、禁煙させるか少なくともニコチン摂取量を50%以上減少させるという“介入”を行った。その結果、介入群では術後の合併症発現率が18%だったのに対し、対照群では52%であった。介入効果が最も著明だったのは、術創関連の合併症( 5 % vs. 31%)および心血管系の合併症( 0 % vs. 10%)であった。さらに平均入院日数は、介入群では11日だったのに対し、対照群では13日であったという。 (平成14年5月)−MedTribからから
〜低出生体重児〜喫煙以外に特定の遺伝子も関与
ボストン大学小児科のXiaobin Wang博士らは、通常たばこの煙に含まれる環境毒を抑制する役割を持つ 2つの遺伝子CYP1A1とGSTT1に変異が存在する場合、妊婦は低出生体重児を出産する可能性が高いとJAMA(287:195-202)に発表した。このことは、妊娠中に喫煙していた女性すべてが低出生体重児を出産するわけではない理由の 1 つとなりそうだ。 同博士らが1998〜2000年に出産した741例の女性を調査したところ、出生体重が最も小さい、もしくは妊娠期間の短い乳児の母親は、妊娠中も喫煙を続けていただけでなく、CYP1A1とGSTT1に変異が認められた。また、同博士はこのような変異型遺伝子を有していても喫煙経験のない女性には低出生体重児の出産はなかったと報告している。研究をサポートしたMarch of Dimesのメディカル・ディレクター代理、Nancy Green博士は「これは喫煙と特定の遺伝子、低出生体重児出産との関連性を証明した初めての研究だ」と述べている。 (平成14年5月)−MedTribから
人気たばこのタール・ニコチン実測値公開 厚労省
セブンスターはショートピースの表示を超えるニコチンとタール、フロンティア・ライトのタールは表示の6.7倍。厚生労働省の分析で日本たばこ産業(JT)の人気たばこ7銘柄の箱に表示されているタールとニコチンの値(表示値)が、実際に近い吸い方で測った値(実測値)と大きく異なる問題で、厚労省は銘柄名を朝日新聞記者に情報公開した。開示内容によると、セブンスターは、タールの実測値が1本当たり31.4ミリグラム、ニコチンは2.66ミリグラムと表示値の2倍以上で、ともにショートピース(フィルターなし)の表示値を上回っていた。マイルドセブン、キャビン・マイルド、マールボロ・ライト・メンソールもタールは表示値より10ミリグラム以上多かった。また、フロンティア・ライトの発がん物質の一部はセブンスターより1割少ない程度など、「軽い」たばこでも有害成分によっては、比較的多いこともわかった。JTはカナダでは、タールとニコチンの実測値も併記。さらに、心臓病などの原因になる一酸化炭素など4項目の値も表示している。JTは「カナダの連邦法で定められた通りにしている」と話している。表示の法令を管轄する財務省たばこ塩事業室は「世界保健機関でも表示法を取り上げている。今後の議論をみて対応したい」としている。実測値の測定法は、フィルター周囲の通気孔が指でふさがれるなど現実の吸い方を想定、米国やカナダで採用されている方法。日本の表示値の測定法は、1分間に1回しか吸い込まないうえ、通気孔を開放しているため、煙が外気で薄まる。厚労省は「日本の表示値は、現実離れしている」と説明している。(平成14年5月)−朝日新聞から
坂口厚労相に20万人の署名提出
大阪の「子どもに無煙環境を」推進協議会は、昨年来「非喫煙者保護法」制定を求める署名活動に取り組んできたが、4月22日、20万4千人の署名簿を坂口厚労相に提出した。坂口大臣は趣旨を理解、前向きに対処する姿勢を示した。(平成14年5月)−禁煙ジャーナルから
喫煙は健康を害す 世界の常識
26日付本欄の「非喫煙者と愛煙家譲り合おう」にいささか違和感を感じる。喫煙は 健康を害し老化を早め、短命に関与するのは議論の余地のない常識となっている。世 界の保健機関や医学会は喫煙の危険性に早くから警鐘を鳴らし、多くの国が公共施設 の禁煙化を進めている。他人が吸うたばこの煙にさらされる受動喫煙による健康被害を防ぐため、すべての公共場所を禁煙にするのは、行き過ぎではなく当たり前となっ ているのだ。日本は喫煙対策の後進国である。そのため問題意識の高い人々が禁煙を 説いて禁煙を啓発している。吸う自由はあってもも、所かまわず吐く自由はない。たばこが存在することで生じる経済波及効果にくらべ、喫煙に伴う早死にや医療費、ごみ対策、火災などの社会的、経済的損失は約2倍に上るとの統計もある。また たばこ自販機が氾濫しているのは日本だけである。喫煙が常習化すると、ニコチン依存症となり麻薬と同様にやめにくくなる。喫煙者の約7割ができたらやめたいと思っており、愛煙家と美化するの間違っている。(平成14年5月)−愛媛新聞「門」から
日本循環器学会が禁煙宣言 医師の喫煙率4分の1に
日本循環器学会が禁煙宣言 医師の喫煙率4分の1に
日本循環器学会は24日、「禁煙宣言」を行い、同日札幌市で開幕した同学会総会・学術集会を全面禁煙にした。循環器関係の医師の喫煙率を、5年後に4分の1に減らすなど具体的な目標を定めた。喫煙は肺がんや脳卒中を引き起こす原因となるため、医療機関は禁煙を勧めている。しかし同学会が全国の会員を対象に今年行ったアンケート調査では、循環器医療に携わる医師の喫煙率は男性が14%、女性が13%と高く、全面禁煙の医療施設は5%に過ぎなかった。 宣言に合わせ10項目の到達目標を設定。今後医師の喫煙率の低減、病院の全館禁煙とたばこの販売自粛の呼びかけ、禁煙啓発講演会の実施などに取り組んでいく。(平成14年4月)−北海道新聞から
「たばこ対策ガイドライン」の達成率、臨床研修指定病院や高度専門医療機関では依然低く
旧厚生省が1996年に策定した「たばこ対策ガイドライン」では、医療機関は原則禁煙を基準にした対策が求められた。ところが、市立堺病院の大成功一氏らが臨床研修指定病院や高度専門医療機関を対象に行ったアンケート調査によると、依然として対策が進んでいない現状が明らかになった。研究グループは、臨床指定研修病院と高度専門医療機関348施設を対象に、呼吸器内科担当医師あてにアンケート用紙を郵送。220施設(63.2%)から回答を得た。その結果、敷地内禁煙を実施している施設はゼロで、館内禁煙も24施設(11%)にとどまっていた。館内分煙を実施していると回答した施設は194(88%)に上ったが、ガイドラインが望ましいとした分煙ランク(注)を病棟と外来で患者と職員すべてに実施していたのは29施設だけだった。望ましいとされた分煙ランクを病棟と外来で患者のみに適用していたのが79施設、病棟と外来で医師と看護師に適用していたのが32施設だった。なお、禁煙の規制なしが2施設あった。(注)望ましいとされる分煙ランクA:喫煙場所を完全に分割された空間とする。B:喫煙場所を設置し、分煙機器により環境たばこ煙が完全に流れ出さないようにする。(平成14年4月)−MedWaveから
JR西日本の車掌ら、間接喫煙の被害で会社を提訴
JR西日本明石車掌区の車掌ら2人が、乗務員詰め所や休憩所などで他の乗務員が吸うたばこの煙で間接喫煙を余儀なくされ、非喫煙者としての人格権を侵害されたとして、同社に対し、乗務の際に主に利用する詰め所など12か所の禁煙と慰謝料計1100万円の支払いを求める訴訟を23日、大阪地裁に起こした。 訴状によると、同社の乗務員待機所や休憩所などは、一部を除いて分煙対策が取られていないため、室内には常にたばこの煙が充満。たばこを吸わない車掌らは息苦しさや頭痛などの症状を感じ、食事も快適に取れない状態が続いている。同車掌らは、一昨年5月、同社に対し詰め所などの分煙対策などを求め、明石簡裁に調停を申し立てたが、不調に終わり、その後も改善が図られないとして、提訴に踏み切った。 (平成14年4月)−読売新聞から
「非喫煙者健康保護法」署名簿提出
「非喫煙者健康保護法」の制定署名簿が、4月22日に坂口厚生労働大臣に手交され、22時のNHKニュースでとりあげられた。204,000人余の署名が集まり、衆議院議長,各党にも署名の一部が手渡された。(平成14年4月)−NHKニュースから
飲む人高給、愛煙家はダメ 英研究所が発表
適度に酒をたしなむ人は飲まない人より約10%収入が多く、愛煙家は吸わない人より約10%少ない。オランダの勤労者男性650人を対象にした調査でこんな結果が出た。飲酒、喫煙を習慣にする男性グループと習慣にしないグループの平均給与を比較。飲酒も喫煙もする人は影響が相殺され、どちらもしない人と給与は同水準だった。適度に飲酒する人の給与が高いのは、より社交的で心臓疾患になりにくいため健康とみられることが好影響を与えている、愛煙家は病気などで欠勤する回数が多くなりがちで生産性が低下し、待遇が悪くなる、と分析されている。調査対象者の喫煙率は40%、飲酒率は93%で、1日グラス1杯の適量をたしなむ人は40%だった。(平成14年4月)ー毎日新聞から
喫煙習慣のある妊婦、妊娠判明後も半数近くが喫煙を継続
喫煙習慣のある妊婦のうち、約半数が妊娠判明後も喫煙を継続していた。谷口病院の鈴木氏らは、2001年3月1〜31日の間に同病院産科外来を受診した妊婦で今回の妊娠中に喫煙歴があった227人を対象に、アンケート調査を実施した。その結果、48.9%(111人)もの人が妊娠判明後も喫煙を継続していたことが明らかになった。(平成14年4月)−MedWaveから
たばこ税:「健康のため03年度には上げてもらう」 財務相
塩川正十郎財務相は12日の閣議後の会見で、たばこ税について「03年度には上げてもらおうと思っている。その方が国民の健康のためによいでしょう」と述べ、03年度税制改正でたばこ税引き上げを検討する考えを示した。たばこ税は02年度税制改正でも引き上げが検討されたが見送られた経緯がある。財務相は11日の参院財政金融委員会での答弁でも「喫煙者はある程度、理解してくれるのでは」と述べ、国民の健康管理の観点から喫煙者への負担を増やす考えを示している。(平成14年4月)−毎日新聞から
喫煙者の子供の喘息罹患率、日本人では非喫煙者と変わらず
間接喫煙は小児喘息の危険因子の一つで、海外では喫煙者の子供で喘息の罹患率が高いとのデータが報告されているが、日本人では喫煙者でも非喫煙者でも子供の喘息罹患率は変わらないことがわかった。その背景には、「子供の前ではタバコを吸わない」という、日本人に特有の喫煙行動があるようだ。仙台市と福岡市の小学生(6〜12歳)1596人と、就学前の3〜5歳の児童545人について、学校医や園医から喘息の罹患状況を聴取。併せて、子供の親に質問票を配布し、喫煙の有無や喫煙量、喫煙パターンなどを回答してもらった。 その結果、親の喫煙率は61%で、欧米などと比べ極めて高いことが判明。ところが、子供の喘息罹患率は、就学前の児童では非喫煙者の子供が8%、喫煙者の子供が7%となり、小学生では同様に7%と6%で、親の喫煙の有無は子供の喘息罹患率に影響しないことがわかった。喫煙者の親の場合、1日に吸うタバコの本数は平均20本程度。しかし、家で吸う本数は5本前後であり、特に子供が同じ部屋にいる場合の喫煙本数は0.1〜0.2本と、日本人の親は「子供の前ではほとんどタバコを吸わない」ことが明らかになった。こうした喫煙行動は、子供が喘息に罹患していてもいなくても変わらなかった。(平成14年4月)−Medwaveから
病院の禁煙は患者に厳しく医者に甘く…全国調査で判明
患者には禁煙を勧め、医師は裏でスパスパ。先進国の病院は、全面禁煙が常識だが、日本では患者に厳しく、医師ら職員には甘い“二重基準”がまかり通っている実態が全国調査でわかり、日本呼吸器学会で発表される。市立堺病院の医師が、全国348の厚労省研修指定病院にアンケートし、220病院から回答を得た。建物内を全面禁煙にしているのは24病院、一方、全く規制のない病院も2か所あった。 9割近くに当たる194病院は、何らかの分煙を行っていると答えた。だがその実態を見ると、喫煙場所を完全に区切るとか、分煙機器で煙が漏れ出さないといった国のたばこ対策の基準を達成しているのは、外来や入院患者向けに限っても、79病院(40・7%)しかなかった。さらに医師や看護婦、事務職ら職員も含めて同様の規制をしているのは29病院(14・9%)に過ぎず、患者には厳しく職員に甘い二重基準が見られた。医師ら職員には何の規制もない病院も20%前後あった。(平成14年4月)−読売新聞から
周囲からのたばこの煙、母親通じて胎児に影響
妊婦自身はたばこを吸わなくても、周囲からわずかに受動喫煙の被害を受けただけで、たばこの煙に含まれるニコチンは胎児の体内にも入ることが、静岡県の県立こども病院と島田市民病院の研究で確かめられた。ニコチンは血流を悪化させ、低体重など胎児の成長に悪影響を及ぼすことがわかっており、家庭内だけでなく、職場などでも妊婦に対する一層の配慮が求められそうだ。研究グループは、夫が喫煙者で、妊婦本人は吸わない5例について調査。生後24時間以内で、母乳を与える前の新生児の尿を分析した。この結果、夫が1日2、3本を吸う場合では尿からニコチンは検出されなかった。だが1日5本以上の場合は、妊婦自身が1日20本を吸う場合の7分の1程度にあたるニコチンが検出された。(平成14年4月)−読売新聞から
和歌山県立医大付属病院内を全面禁煙に 喫煙スペースや自販機も撤去
和歌山県立医大付属病院内を全面禁煙に 喫煙スペースや自販機も撤去
医療現場からたばこの害をなくし、よりよい医療環境を目指そうと、和歌山県立医大付属病院は4月1日から、院内を全面禁煙にすることを決めた。院内の喫煙スペースや自動販売機を撤去する。県健康対策課によると、県内の大規模な病院が全面禁煙を実施するのは初めて。99年5月に移転して以来、同病院の病棟各階や外来患者を受け付ける2階ロビー付近などに喫煙スペースが設けられている。院内の喫茶店や職員食堂でも喫煙が可能。売店でもタバコを販売していたが、既に2月末で中止している。4月からは喫煙スペースに置かれた灰皿はすべて撤去し、院内に2カ所あるたばこの自動販売機も撤去。また喫茶店、職員食堂でも全面禁煙を実施する。院内に禁煙を示す掲示を行い、面会者などにも理解を求める。また、吸いがらのポイ捨てを防ぐため、病院の入り口付近に灰皿を設置し、たばこを捨ててから院内に入れるようにする。同病院管理課は「県立医大としての立場を考え、他の病院より率先して全面禁煙に踏み切った」としている。 (平成14年3月)−毎日新聞から
低タールたばこでも肺がん死、米で200億円賠償評決
禁煙を断念して低タールたばこを吸い続け、肺がんで死亡した女性の遺族が、米たばこ会社に賠償を求めた訴訟で、米オレゴン州の地裁陪審団は「軽いたばこなら病気になりにくいと宣伝したたばこ会社のせいだ」と認定し、1億5000万ドル(約200億円)を支払うよう命じる評決をした。勝訴したのは3年前に53歳で亡くなったミッシェル・シュワルツさんの遺族。18歳で吸い始め、何度も禁煙に失敗し、代わりに減煙することを決意。30歳で米たばこ最大手フィリップ・モリス社の低タールたばこに切り替えた。評決は、吸い続けた本人にも責任はあるとしながら、「低タール低ニコチンのたばこは人体に害が少ないかのように喫煙者を錯覚させたたばこ会社が、死の全責任の51%を負う」と結論づけた。4700万人と推定される全米の喫煙者の9割が、禁煙の失敗や健康不安をきっかけに軽いたばこに切り替えている。(平成14年3月)−朝日新聞から
子どもを受動喫煙から守ろうと、日本小児科学会は同学会雑誌3月号で国民に向けた具体的な提言を発表した。子どもの生活環境改善委員会(委員長、杉原茂孝・東京女子医大教授)が、橋本正史委員(大阪府立公衆衛生研究所公害衛生室長)の研究などをもとにまとめた。まず、受動喫煙は喫煙者の横で直接吸わされる煙よりも、閉め切った室内に滞留している目に見えない煙による影響が大きいことを指摘。子どもに煙を吸わせないようにするには、家族の禁煙が望ましいが、それができない場合は(1)できるだけ屋外で吸う(2)室内で吸った場合は、必ず窓を開けて換気するよう呼びかけている。同学会は99年、子どもの喫煙を防ぐため、小児科医に喫煙予防活動・教育をするよう勧め、たばこ自動販売機の規制や広告の禁止なども盛り込んだ提言を発表している。今回はそれに含まれなかった受動喫煙に焦点をあてた。(平成14年3月)−朝日新聞から
「記者は考える」「たばこのリスク正確に伝えよ」
85年に「マイルドセブンライト」が発売されてから、「軽い」たばこが主流になった。売り上げベスト10の中で「ライト」「マイルド」とついた銘柄が9つもある。だが、箱に明記された軽さを示す数値、すなわちニコチンやタールの量に問題があった。最大でその数値の約7倍も吸い込む可能性があることが厚生労働省の調べでわかった。メーカーが採用しているたばこの吸い方モデルが実態とかけ離れているためだ。発がん物質の種類によっては、「軽い」たばこの方が重いものより多い場合もあった。健康を考えて軽さを求めていた人は、だまされたと感じるのではないだろうか。化学物質を減らす活動に取り組むNGO(非政府組織)の事務所で、たばこをすぱすぱ吸う人を見て驚いたことがある。タバコの葉にはもともとニコチンが含まれているが「火をつけると化学反応でタールなど多くの有害物質を生じる。焼却炉でダイオキシンができるようなものだ。 煙の中には約4千種類の物質が混在し、少なくとも60種類は発がん性がある。味や香りの調合などのために約600種の添加物も使われている。厚労省の「たばこ白書」は、国内で喫煙によるがんや心臓病で年間約9万5千人が死ぬとの推計を取り上げた。肺がんでは年に約5万2千人死ぬ。8割はたばこが原因と国立がんセンターは推測する。非喫煙者も周辺に漂う煙が影響して年千〜2千人が肺がんで死んでいるという。喫煙者が他人に迷惑をかけないようにたばこを吸うのはかまわない。ただし、健康へのリスクを正確に知っていることが前提だ。表示の問題が改まらない限り、正しい知識は得られない。表示と実態のずれは、研究者が以前から指摘していたが、それを国が調べて確かめた意味は大きい。ただ、取材でその事実を明らかにするまで、厚労省は発表をしていなかった。また、調査した銘柄の名前も「商業上不利益になるおそれがある」「メーカーに訴訟をおこされる」などとしてまだ明かしていない。喫煙に関する問題は空気清浄機にもある。ガス状の有害物質を取り除く能力はなく、喫煙者のそばにいる人を守ることはできない。業界も昨年秋ごろからその事実を認め始めた。厚労省はもっと前から清浄機の限界を知りながら、分煙場所への設置に歯止めをかけてこなかった。環境問題の専門家によれば、分煙用の清浄機が普及しているのは日本ぐらいという。たばこによる年間死者は推定で交通事故死の約10倍。たばこの危険を知らせることにもっと力を入れてもいいはずだ。厚労省は業界の利益より国民の健康を配慮し、リスクをきちんと伝えて欲しい。(平成14年3月)−朝日新聞から
「イタリア便り」「禁煙と罰金」
総人口5千6百万のイタリアには、常習喫煙者が1,400万人、毎日これら喫煙者のたばこの煙を吸わされている非喫煙署が1,500万人いるそうだ。また、毎年たばこが原因の病気で9万人が死亡しているのに、とくに若い女性の喫煙者が増えているという。以前、ローマの葬儀屋のカードライバーを対象とした道路広告に「どうせいつかは死ぬのになぜそんなにあの世に急ぐのですか」というのがあったが、不作法に吸い殻を捨てる人を見ると同じ言葉を投げ掛けたくなる。イタリアでは先ごろ、あらゆる職場内、学校施設、病院、公共の乗り物、駅、空港、劇場、博物館、図書館などが禁煙となり、違反者には25から250ユーロまでの罰金が定められた。この罰金は妊婦が居合わせた場合には倍になる。また、今月初め、ミラノ裁判所は、「ぜんそくの女子行員をたばこの煙が渦巻く行内に配置し死に至らしめた」として、銀行の幹部2人に対し、執行猶予付き3カ月の刑と損害賠償を言い渡した。世の中は急速に禁煙に向かっている。喫煙者の皆さま、そろそろおやめになる準備をしてはいかがですか。 (平成13年4月)−産経新聞から)
「軽い」たばこ、表示の7倍のタール吸う可能性
低タール、低ニコチンを売り物にしたたばこでも、銘柄によってタールは表示の約7倍、ニコチンも約5倍の量を吸い込む可能性が大きいことが、厚生労働省の分析でわかった。同省は「販売に影響を与えるおそれがある」と銘柄を明らかにしていない。売り上げが多い中から7銘柄を選び、カナダの検査機関に2000万円で分析を委託。煙に含まれるタール、ニコチンなどの発がん物質を含む約30項目を測った。たばこの成分は、1本を消費したときに吸い込むと想定される量で示される。分析の前提とした吸い方は(1)65年当時の吸い方に基づく国際基準で、メーカーが現行の表示に採用しているもの(2)今の現実の吸い方に近くて米国やカナダ保健省で採用されているもの――の2つ。表示と最もかけ離れていたのは「タール1ミリグラム、ニコチン0.1ミリグラム」という銘柄。(2)の吸い方では、タールは表示の6.7倍、ニコチンは4.8倍だった。差が最小の銘柄でも、同じ吸い方ではいずれも2.2倍だった。有害物質量が少なく表示された銘柄ほど(2)との食い違いが大きかった。ベンゾピレンやベンゼンといった発がん物質も「軽い」銘柄の方が「重い」銘柄より多い場合があった。国立公衆衛生院の望月友美子主任研究官は「たばこが軽くなるにつれ、喫煙者はニコチンを求めて強く頻繁に吸い込むようになってきた」と食い違いの背景を説明する。メーカーの表示は、これに目をつぶった形だ。フィルター側面にあけた通気孔から吸い込む空気で煙を薄め、基準上の数値を低くしている銘柄も多い。しかし、「吸う際に指や唇で通気孔がふさがれ、効果が薄れる」との指摘もある。JTは「今回の報告書は最終的に固まったものではなく、現段階ではコメントできない」としている。<渡辺文学・たばこ問題情報センター代表の話> 喫煙のリスクをきちんと伝えるのが厚労省の仕事。税金で調べておいて、たばこの売り上げを心配して公表しないとは言語道断だ。◇たばこ1本の有害物質測定法 フィルターから3ミリになるまで人工吸煙装置で吸って測る。メーカーが採用する国際基準は、フィルター側面の通気孔を開放し1分間隔で1回に2秒かけて35ミリリットルを吸引する。今の吸い方に近い方法では、通気孔を半分閉じて30秒間隔で1回に2秒、45ミリリットル吸引する。(平成14年3月)−朝日新聞から
愛知県がんセンター総長・富永裕民氏の投稿
厚生労働省が打ち出した「健康日本21」の当初の計画には、成人の喫煙率を半減させるという目標が含まれていた。しかしこの計画は結局撤回されてしまった。その際にはタバコ業界の圧力があったと推測されている。そして昨年末のタバコ税の増強も土壇場で見送られてしまった。確かにタバコにかかる税金のみを増強すれば、価格上昇に伴う禁煙者の増加によってタバコ業界の利益は減少するだろう。税率を変えるえるのではなく、タバコ1箱の価格そのものを欧米先進国並みの500円程度に引き上げれば、たとえ2〜3割の喫煙者が禁煙しても、タバコ税とタバコ業界の純利益は大幅(数千億から1兆円以上)に増加すると推計される。この増加分を喫煙による過剰医療費の補償や禁煙指導料などの財源にすればよい。この方法は、未成年者の喫煙防止にも役立つし、禁煙者がタバコ代相当額を旅行や食事などに回せば、家族サービスにもつながる。タバコ販売価格の引き上げは、財務省、地方自治体、タバコ業界、禁煙希望の喫煙者やその家族など”多方一両得”の取り組みといえよう。ー(平成14年3月)−日経メディカルから
地域住民による環境美化・浄化協定の締結、区長の改善命令、罰則など
千代田区では、安全で快適な都市環境を実効性のある形で維持向上させていくために新たな条例を制定する方針を固め、このたび骨子案をまとめた。従来の「ポイ捨て条例」等を発展的に改め、新たな条例のもと、千代田に関わるすべての人々が協力して、安全で快適な都市環境づくりに取り組んでいくために総合的な条例を制定していくよう考え方をまとめた。 路上喫煙制限地区を指定する例はある(神戸市など)が、路上喫煙に対して罰則(過料)を定めるのは全国で初めてある。路上禁煙地区は、通学路で人通りの多い場所などを想定している。) 「ポイ捨て条例」に罰則を規定する例は、全国的にもあるが、そのほとんどが、ポイ捨てなどの行為に対し2万円以下の罰金を定めたものである。しかし、刑事罰ということから「伝家の宝刀」として発動されにくい難点がある。千代田区の骨子案では、ポイ捨てのほか落書きや置き看板等の放置、チラシの散乱などで生活環境を著しく阻害する行為に対しては、改善命令及び公表をもって臨むとともに特に重点的に取り組むべき「環境美化・浄化推進モデル地区」内では新たに罰則を設ける。罰則は、まず行政罰(2万円以下の過料)を科すこととし、改善命令に従わない場合に5万円以下の罰金を科すこととしている。(平成13年4月)
喘息の吸入ステロイド治療、喫煙者では無効か
軽症の喘息患者を対象としたプラセボ対照二重盲検試験で、吸入ステロイドによる治療効果が、喫煙者には現れないことが明らかになった。ピークフロー値や喀痰中の好酸球比率など、気道の狭窄や炎症を反映する指標が、非喫煙者のみでプラセボよりも改善がみられたという。喫煙は喘息の増悪因子だが、吸入ステロイドの治療効果に影響を及ぼし得ることがわかったのは初めて。喘息患者に対しては、薬の効きを高めるためにも、厳格な禁煙指導が必要となりそうだ。この研究を行ったのは、英国Western病院呼吸器部門のG. W.Chalmers氏ら。(平成14年3月)−MedWaveから
禁煙推進議連発足 超党派の国会議員64人が参加
喫煙による健康被害から国民を守ろうと、「禁煙推進議員連盟」が3月7日、発足した。超党派の国会議員64人が参加、職場や公共の場所での禁煙・分煙、禁煙教育の推進、妊婦の喫煙防止などの目標を挙げ、実現のための法制化を進める。この日開かれた設立総会で、衆院議長の綿貫民輔氏が会長に就任。「私も30年間吸い続けたが、思い切ってやめた。たばこが健康にいかに悪いか身に染みて知っている」とあいさつした。「たばこと健康について、科学的根拠に基づいた情報を共有しよう」が合言葉。さっそく、国立がんセンターの津金昌一郎部長を招き、喫煙と死亡率に関する最新の疫学研究を勉強した。総会は公開で行われ、非政府組織(NGO)関係者も多数参加した。副会長は津島雄二(自民)、宮下創平(同)、松あきら(公明)、岩佐恵美(共産)、大島令子(社民)、江田五月(民主)、武山百合子(自由)、鶴保庸介(保守)の各氏。事務局長は、呼びかけの中心となった小宮山洋子氏(民主)が務める。まずは国会内の禁煙・分煙の徹底を働きかけるほか、5月31日の世界禁煙デーに向けてイベントを企画。歩行喫煙やポイ捨ての禁止、たばこ広告の規制なども検討する。「議連に参加するのをきっかけに禁煙しようという議員も歓迎します」と小宮山氏。(平成14年3月)−朝日新聞から
<禁煙>英たばこ会社会長が「健康によくない」と呼び掛け
ラッキー・ストライクやケントなどで知られる世界第2のたばこ会社英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)のマーチン・ブロートン会長は、1日付の英紙タイムズのインタビュー記事で「たばこは健康によくない。私も控えている」と禁煙を呼び掛けた。たばこ会社トップの異例の発言に英国の嫌煙運動家らは「会社が若者をターゲットに売り込んでいる間に、自分の子どもがたばこに脅かされていたことを彼自身がよく理解している」と指摘している。ブロートン会長は「子どもにたばこを吸うなと忠告した」と告白。父親の忠告を聞き入れた娘と息子は吸わず、会長自身も「たばこは健康を害する」ため夕食後に時々喫煙する以外は控えているという。BATは昨年、全世界で8000億本のたばこを販売。01年12月期決算の税引き前利益は、20億ポンド(約3800億円)と前年に比べ36%の大幅増益となった。 (平成14年3月)-毎日新聞から
2月23日(土)、24日(日)に国立公衆衛生院で開かれた日本禁煙推進医師歯科医師連盟総会で、兵庫県喫煙問題研究会が「半減目標は実は賛成多数だった− 健康日本21決定の真実−公表された議事録の検討と委員へのアンケートから−」をポスター発表し、注目された。
喫煙の死者、途上国に7割集中も=たばこ税引き上げ提言−WHO
世界保健機関は2月27日発表した最新の調査結果で、多くの開発途上国で販売されているたばこの価格は過去10年間に比べ低下しており、このまま放置すれば、喫煙被害による2020年時点での世界の推定死者数約840万人のうち、7割以上が途上国に集中しかねないとして、各国政府にたばこ税を大幅に引き上げるよう訴えた。(平成14年2月)−時事通信から
<路上喫煙>罰則を科す条例制定へ 全国初 東京都千代田区
東京都千代田区は、通学路などでの路上喫煙を禁止し、違反者に罰則を科す条例を制定する方針を明らかにした。同区によると、路上喫煙に対する罰則は全国で初。従来の空き缶などのポイ捨て禁止条例などに、路上喫煙禁止やピンクチラシ配布規制を加えた総合条例で、区は早ければ6月にも条例案を区議会に提出する。(平成14年2月)−毎日新聞から
非喫煙率男70%、女90%目標 仙台市の健康プラン答申
仙台市が本年度中の策定を目指す「市民健康プラン(仮称)」で、市地域保健・保健所運営協議会は19日午後、市長に答申書を提出した。賛否両論があり、その行方が注目されていた非喫煙率の目標値は結局、男性70%、女性90%と明記された。これに対し、たばこ関連団体は「業者の生活に大きな打撃を与える」などと強く反発しており、市に慎重な対応を求めている。 (平成14年2月)−河北新報から
超党派の国会議員が、「禁煙議員連盟」を結成へ
たばこの害から国民の健康を守ろうと、超党派の国会議員による「禁煙推進議員連盟」が、結成されることになり、14日、準備会合が参院議員会館で開かれた。米国に比べて20年遅れともいわれる日本のたばこ対策にカツを入れるのが狙い。未成年の喫煙対策や公共の場所での分煙などの政策提言をまとめ、議員立法を目指す。中心となって各議員への呼びかけをした元NHK解説委員の小宮山洋子氏(民主)は「国会議員になって一番驚いたのは、会議中にたばこを吸う議員の多さ。参議院では、いまだに委員会ごとに禁煙にするかどうか決めている状態」と話す。まず、国会内での会議中の禁煙徹底を働きかける。たばこの警告表示の強化や広告の規制、たばこ価格の適正化などについても検討する。これまでに武見敬三(自民)、江田五月(民主)、松あきら(公明)、岩佐恵美(共産)、山口わか子(社民)、東門美津子(同)、武山百合子(自由)、鶴保庸介(保守)ら各氏が賛同している。今月中に発足集会を開く予定。各党の国会議員に広く参加を求めていく。今後、たばこ規制に対する「抵抗勢力」とのバトルも予想されるが、小宮山氏は「絶対、かけ声だけにはしません」と決意を表明している。(平成14年2月)−朝日新聞から
たばこ税を19倍増=1箱1000円に−NY市長提案
ブルームバーグ・ニューヨーク市長は、13日に発表した2003会計年度(02年7月−03年6月)予算案の中で、たばこ税を約19倍に引き上げる方針を示した。議会で承認されれば、市内で販売されるたばこの値段は1箱当たり平均7ドル(約930円)以上と、1000円近くにまで跳ね上がる。今でもたばこの値段が高いニューヨークは、喫煙家にとってますます住みにくい場所になりそうだ。(平成14年2)−時事通信から
たばこの危険性 喫煙対策へ自覚を高めたい
たばこを吸わなければ男性の5人に1人は死亡を防げたはず、というショッキングな研究結果がまとまった。がんなど生活習慣病を予防するには、どんな生活をすればいいのか。その答えを出そうと、厚生労働省研究班が全国の4万人以上を10年間にわたって追跡調査した成果である。1960年代にも同様調査が行われ、喫煙者と非喫煙者、緑黄色野菜をよく食べる人とそうでない人で、がん死亡の危険性に差があることが分かった。今回は喫煙の影響を量的レベルで明らかにしたのが特徴だ。研究によると、たばこを吸う人は吸わない人に比べ、がんや循環器疾患による死亡率が男性で1.6倍、女性で1.9倍高かった。喫煙者が1人もいなかったと仮定したら、10年間で男性の22%、女性の5%の死亡が予防可能だった。たばこの害について、実地に裏づけられたデータがまとまった意義は大きい。先進国で最も遅れているといわれる日本の喫煙対策を進めるために、有効活用しなければならない。 専門家によると、たばこの煙には約40種類の発がん物質が含まれている。肺がんをはじめとして影響は深刻だ。日本で肺がんが急増している背景には、70年代ごろから本格化した喫煙の流行があると指摘される。喫煙の健康被害は喫煙の流行から約30年遅れて出るという。だから喫煙率が減少していても、決して安心できる状況ではない。欧米では強力な喫煙対策の結果、がんによる死亡が減少傾向にある。日本では年間約11万人が喫煙によって死亡していると推定されており、当然、がん予防対策の中で最重視されるのは喫煙対策だ。喫煙率を半減すればがんの8・8%は予防できるとした研究もある。しかし、行政の及び腰が目立つのも事実だ。国が策定した長期的な健康づくり指標「健康日本21(健康プラン)」は、原案にあった「成人喫煙率とたばこ消費量を半減させる」数値目標を撤回してしまった。同プランの地方版でも、本県は喫煙率「半減」の目標を決めたものの、数値化を見送る県が目立っている。行政の及び腰は、日本たばこ産業(JT)などが「個人のし好は自由な選択に任すべきだ」と反発した影響とみられる。しかし、がんの急増は医療費の高騰に拍車をかけており、受動喫煙の被害も深刻だ。「受動喫煙の発がん性はアスベストと同程度のレベル」と指摘する専門家もいるほどだ。女性の妊娠中の喫煙は早産や流産の危険性を高めるとされ、未成年の喫煙も憂慮すべきだ。決して「個人のし好」といってすまされる問題ではない。国際的な「たばこ規制枠組み条約」の政府間交渉も始まっている。日本は全力を挙げて対策の遅れを取り戻さなければならない立場にある。もちろん、個人や職域でも真剣な取り組みが必要だ。研究の発表を機に自覚を新たにしたい。(平成14年2月)−愛媛新聞から
男性死亡5人に1人防げた たばこ吸わなければ
喫煙する人は、吸わない人に比べ死亡率が男性で1・6倍、女性で1・9倍高く、たばこを吸わなければ男性死亡の5人に1人は防げた、との研究結果を厚生労働省研究班(主任研究者、津金昌一郎・国立がんセンター研究所部長)がまとめ、このほど発行された日本癌(がん)学会誌に発表した。全国4地域の4万人以上を10年間にわたって追跡したもので、これだけの大規模な研究は同センターが1960年代から80年代にかけて行って以来。今回は飲酒など喫煙以外の生活習慣の影響などを区別した科学的厳密さが調査の特徴で、喫煙そのものが健康に非常に悪いことをあらためて明確にした。(平成14年2月)−共同通信から
測定しやすい尿中コチニン定量法を開発、感度と特異度はともに95%以上
尿中コチニン定量法の一つであるバンビツール酸吸光光度法は、安価で短時間に多くの検体を定量でき疫学調査に適している。しかし、褪色しやすいため、正確な判定結果を得るためには素早く判定する必要があった。岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座の佐藤徹氏らは、これまでよりシアン化カリウムを減らし、エタノールを加えることで、吸光度を大幅に安定させ褪色を遅らせることに成功したと、日本疫学会学術総会の1月24日のポスターセッションで報告した。(平成14年2月)−Medwaveから
スポーツ観戦 たばこ規制を
スポーツ観戦 たばこ規制を
今年のWHO世界禁煙デーのテーマは、「たばこのないスポーツ、きれいにプレーしよう」(直訳)と発表された。強さ・スピード・優雅さ・成功・喜び・興奮などをもたらすスポーツにとって、病苦や死をもたらす「たばこ」は全く相いれない存在だ。特に今年は世界中が注目するサッカーワールドカップ、地元坊ちゃんスタジアムではプロ野球オールスター戦が行われる。子どもたちも楽しみにしており、大勢が観戦に出かけることだろう。ところが、観戦する人がたばこを吸ったり、受動喫煙させられると、病気にかかりやすくなったり、ゲームを楽しむことが妨げられる。最近の調査では、未成年喫煙者の三分の一は、十歳にならないうちに喫煙を始めている。喫煙開始が早ければ早いほど、重いニコチン依存症となり、やがてたばこ関連疾患に苦しむことになる。未成年の喫煙を防ぐためには、大人が喫煙している姿を子どもたちに見せないことが最も大切です。ワールドカップ日本組織委員会、プロ野球オールスター実行委員会、松山市など関係機関にこのたばこ問題に対する毅然とした態度表明をお願いしたい。(医師)(平成14年1月)−愛媛新聞から
W杯に求めたい禁煙対策の徹底
サッカーのワールドカップ(W杯)開幕日の5月31日は、世界保健機関(WHO)による「世界禁煙デー」でもあります。このため、今年の世界禁煙デーでは、W杯などを意識して、「タバコの無いスポーツ/きれいにプレーしよう」という趣旨のスローガンが掲げられました。もともとスポーツと、健康を害するタバコは相いれない関係にあります。今年の冬季五輪でも、会場などの全面的な禁煙がすでに打ち出されています。ところが、W杯日本組織委員会では、スタジアムの全面的な禁煙に対して態度を留保しています。消防法により、客席ではタバコを吸えないことになっていますが、客席以外の場所に喫煙コーナーを設けるかどうかが「未定」となっているのです。 もし、スタジアムを「分煙」にとどめたなら、日本のタバコ対策の遅れを全世界にアピールすることになります。世界が注目しているイベントをタバコの煙で台無しにしないよう、W杯日本組織委員会には毅然とした態度表明をお願いしたいと思います。(平成14年1月)−読売新聞から
橿原市の坂梨照子さんが72歳で博士号 「非喫煙者が受けるたばこの害」研究で
非喫煙者が受けるたばこの害について研究してきた橿原市の元高校教諭、坂梨照子さん(72)が28日、県立医科大で医学博士の学位を授与された。同大学では最高齢の学位授与者という。論文は「職場における尿中コチニン値測定による従業員のタバコ煙曝露状況の評価」。大阪府内の製造会社で働く従業員504人の尿を採集してニコチンの摂取量などを調べた。非喫煙者でも、たばこの煙を吸っていることを意識しているかどうかによって摂取量に大きな差があることなどを突き止めた。職場が煙たいと思う人ほど、意識的に避ける努力をしているのが原因らしい。喫煙の時間・場所規制や換気とともに、非喫煙者の意識も大事と訴える。(平成14年1月)−毎日新聞から
JTインターナショナルが著名哲学者と契約
日本たばこ産業(JT)の国外事業を 統括するJTインターナショナル(JTI)が、英国の著名哲学者で保守派の大物論客ロジャー・スクルートン氏を外部コンサルタントとして雇い、世界保健機関(WHO)が推進する「たばこ規制枠組み条約交渉」に対抗する広報戦略への助言を依頼していたことが分かった。スクルートン氏は条約交渉に批判的な論文などを発表しており、WHOや反たばこ運動の非政府組織(NGO)は「たばこ産業による世論操作」と強く批判している。JTIは、スクルートン氏との契約を確認、「正当な委託であり、問題はない」と強調した。JTIとスクルートン氏の関係は、外部に流出したJTI部内の電子メールから明らかになった。それによると、スクルートン氏は条約交渉で取り上げられているさまざまな規制強化案を批判。JTIに「条約交渉の信頼性を損なわせる記事を有力メディアに載せる」「JTIの主張を各国の保健担当閣僚に伝える」などの対策を助言している。(平成14年1月)−共同通信から
たばこ一掃作戦 成功報奨金10万円 須賀川の企業
会社に禁煙を誓って成功すれば3カ月後に10万円を進呈します―。福島県内でリサイクル店チェーンを展開するアメ商百貨金箱企業グループが今月、こんなユニークな禁煙作戦を始めた。社内から灰皿を一掃し、全面禁煙とするなど徹底した運動を展開中だ。禁煙に取り組む従業員はまず、家族と同僚を保証人にして会社に「生涯、たばこを断ち切る」という内容の届け出をする。成功すれば、3カ月後に報奨金(10万円)が出るが、誓いを破り喫煙が発覚すれば、報奨金の倍に当たる20万円が給与から天引きされるという罰則付きだ。1月末が応募締め切りだが、これまで従業員約70人のうち数人が届け出たという。社内の反応は、「高齢だからいまさら禁煙しても遅い」と消極的な声がある一方、逆に「年を取ったから健康に気を付けたい」と届け出る人などさまざまだ。同社は「禁煙したい人が、禁煙を始めるきっかけになればと考えた。就業時間内は喫煙そのものも禁止したため、禁煙を誓わなくても本数が減ったという声は多い」と話している。(平成14年1月)−河北新報から
タバコ天国ロシアで「喫煙制限法」発効
「愛煙家の天国」として知られるロシアで、職場や学校など公共の場でのいっぷくを禁ずる喫煙制限法が14日発効した。ところかまわずたばこをふかすロシア人の悪弊を改め、西側社会の冷たい視線に「モラル」を印象づける苦肉の策だ。たばこが平均寿命の短さの一因、との医学界からの厳しい指摘にもこたえた。ロシア人は、病院でもガソリン給油所でも、野放図な吸いっぷりをみせる。喫煙率は男63%、女14%にのぼる。世界保健機関(WHO)によると、世界の男性の喫煙率は48%だ。欧州では旧共産国ほど喫煙率が高いが、なかでもロシアはトップ級。しかもロシア男性の平均寿命は59歳と短い。心臓血管系の疾患が最大の死因とされ、喫煙の多さが影響しているとみられる。国際社会の働きかけもあり、たばこの製造、販売、喫煙の法整備を進めていた。この法律で、18歳以下への販売を初めて禁じた。職場、学校、病院は禁煙とされ、喫煙区は隔離されることになった。地下鉄やバス、3時間以上飛ぶ航空機でも禁止。映画やテレビのなかで、若者を刺激する喫煙シーンはすべて禁止だ。(平成14年1月)−朝日新聞から
喫煙校長先生に『体に悪いで』−児童の一言に反省、校内を全面禁煙に‐香川・土庄小学校
子どもに、たばこを吸う姿は見せませんー香川県・小豆島の土庄小学校では先月から、校内は全面禁煙になった。「禁煙教育をしている教員が、たばこを吸う姿を子どもに見せては示しがつかない」と実施した。同小は児童233人、教職員22人、5人の教員らが喫煙する。校長も喫煙者であるが、ある日、たばこを吸う姿を児童に見つけられた。「先生、たばこは体に悪いで」という児童に、返す答えがなかなか見つからない。思い切って、ほかの教員らに全面禁煙を提案し、他の喫煙者も賛成した。全面禁煙後は、職員室の一角にあった喫煙スペースは撤去され、校内にあった30個の灰皿もすべて校長室内の戸棚にしまわれた。校門や校舎の入り口には禁煙を示す緑色のプレート(WELCOME TO OUR SMOKE- FREE SCHOOL)が設けられ、PTA関係者や夜間の体育館開放などで学校を利用する外部の人にも協力を呼び掛けている。(平成14年1月)−毎日新聞から
『「老い」を診て』「将来の医療費」
世界保健機関が作成した慢性閉塞性肺疾患の国際的な治療指針が発表された。このむずかしい名前の病気は、実は私たちのところで最も多い病気である。坂道や階段を上る時の息切れ、せきやタンが主な症状である。中年のころ病気はスタートするが、ほとんど気づいていない。定年のころにはかなり症状が強くなり、これから老後の生活を楽しもうという人たちを生涯にわたって苦しめる。欧米の国々では全人口の6%といわれており、少なくともわが国では5百万人以上の人がいるのではないかと心配されているのに、わずか2万人余りしかいないと発表されている(厚生労働省、平成8年度調査)。その患者数に対して年間、約2千億円という巨額の医療費が使われている。私たちのところで毎月の医療費を調べたら、軽い人で1人当たり3万円余りかかり、病気が進み、自宅で酸素吸入が必要となれば12万円に急増、往診が必要となれば18万円にもなる。肺炎などにより病状が急に悪くなると、1回の入院に80万円もかかる。日本の国民医療費は現在、約30兆円であり、そのうち70歳以上が対象の老人医療費が約3分の1を占める。老人医療費は毎年6〜9%ずつ増加している。所得の伸びを上まわって医療費だけが増え続ければ、税金で支えている制度は早晩崩壊する。名案が出されないまま、取りあえず総額だけを圧縮したら、という考えがある。慢性閉塞性肺疾患の主な原因は喫煙である。まず、新しい患者さんの発生を予防し、お金がかからないよう早期治療が筋であるのに、今の患者さんの医療費を単純に圧縮しようという考えにはとてもついていけない。(平成14年1月)− 東京新聞(夕刊)から
「健康増進法」を制定へ 厚労省が通常国会提出
厚生労働省は、高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防を効果的に進めるため、地方自治体が策定する計画を法的に位置付けることを柱とする「健康増進法」(仮称)を制定する方針を決めた。今月召集予定の次期通常国会へ法案提出を目指す。健康に関する情報提供の促進や、実施主体によってばらばらな検診のデータを把握しやすくするための標準化、受動喫煙からの保護策も盛り込む。生活習慣病の多くは本人の自覚が乏しいまま進行し、死に至らなくても重症化すれば「生活の質」が大幅に低下する。こうした患者が増えれば医療費増大にも一層の拍車がかかると懸念されることから、同省は新法を医療制度改革のひとつと位置付け、早期の法案成立を目指す。(平成14年1月)−共同通信から