第1部 曲目紹介
▼アルセナール (ヤン・ヴァンデルロースト 作曲)
ベルギーの人気作曲家ヤン・ヴァンデルロースト(1956〜)が1995年に作曲したコンサートマーチである。ベルギーで最初に鉄道が開通したメヘレンを本拠地とする鉄道工場吹奏楽団の委嘱によって作曲された。題名の通り実際に行進をする訳ではなく、イギリス風の格調高い音楽の雰囲気を持っている。その性格上、コンサートのオープニングやアンコール・ピースとして演奏されることが多い。
▼交響詩「フィンランディア」 (ジャン・シベリウス 作曲)
フィンランドの作曲家ジャン・シベリウスによって作曲された交響詩。彼の作品の中でも抜群の人気を誇っている。この曲が作曲された1899年当時、フィンランドは帝政ロシアの圧政下にあり、独立運動のさなかにあった。シベリウスが作曲した当初の曲名は「フィンランドは目覚める」であり、これが国民の愛国心を巻き起こすとして、一時演奏禁止とされたのは有名なエピソードである。冒頭の重苦しい前奏、中間部の華々しい闘争、そして後に「フィンランド賛歌」と名づけられることになる美しい旋律との対比は実に見事である。
▼エンターテインメント・マーチ (川北 栄樹 作曲)
昨年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲である。明るく快活な「どこかで聞いたような」マーチであるが、曲名の通り作曲者の遊び心に満ちていて「マツケンサンバ」とか「風になりたい」「K点を越えて」、はたまた「威風堂々」や「ドラゴンクエスト」まで断片的に聞こえてくると言われている。
▼バレエ音楽「青銅の騎士」より (R・グリエール 作曲/石津谷 治法 編曲)
青銅の騎士は、ロシアのサンクトペテルブルクにあるピョートル大帝の騎馬像で、観光名所となっている。ロシアの作家、アレクサンドル・プーシキンがこの騎馬像を題材に1833年に長編叙事詩「青銅の騎士」を発表し、更に有名になった。この作品に基づいてレインゴルト・グリエールにより、バレエ音楽「青銅の騎士」が作曲された。この中に「偉大な都市への賛歌」が含まれているために、サンクトペテルブルクの演奏会ではこの曲が好んで取り上げられ、聴衆は皆立ち上がって聞く慣習があると言われている。
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