ある旅行記
H5年卒 石橋 壯一 温泉好きの友人と話をしていて、ふと「湯布院」に行こうと思い立ったのは、2月中旬のことである。明らかに朝の連ドラの影響であった。何をしようか。「由布岳登山」が頭に浮かんだ。昨年末に別子銅山を登った印象が残っていた。山に登ったあとで温泉に入る。一応、形にはなりそうだと思った。 時々、会社の友人と「探検隊」と称してキャンプ等には行ってはいたが、専ら準備は人任せのところがあった。ただ、今回に限っては、大まかな旅程から宿の手配まで主要なところは自分で準備した。張り切って地図とコンパスも買ってみた。非常に珍しいことである。参加者は4人。いつもの「探検隊」メンバーである。ただ心配なのは天気だけであった。前々日までの天気予報は雨であった。 そして当日、天気は曇り。計画遂行は微妙である。しかし、それ以上に自分自身の体調が優れなかった(二日酔いのため)。友人たちは私のことを気遣ってくれ、旅程を変更することにした。変更する場合は、高千穂方面に行こうと考えていた。 その途中、阿蘇に立ち寄った。阿蘇山の北東に仙酔峡という場所があり、そこからロープウェイで火口付近まで行くことが出来る。さらに500m歩いて登れば火口東展望台である。それだけで十分、登山であった。通常、観光客は火口を西側から見物する。我々は、そんな観光客の一行を見下ろすことが出来る。その向こうには阿蘇の山々、振り向けば牧場の緑と田んぼの緑。空には晴れ間も見えてきた。美しい風景だったが、吸い込まれそうでさらに気分が悪くなってしまった。阿蘇山の最高地点ははるかに遠い。極めてみたいが、それはまだ夢の話である。 ロープウェイ乗り場の人の勧めで、菊池渓谷へ向かうことにした。草千里で昼食をとり、車で1時間半くらい(多分)で到着。木々に囲まれた中に見る川の流れは非常に涼やかであり、まさに癒しの風景であった。ゆっくり歩いて1時間程度の散策、しかし、もっとのんびりしたい、そんな空間であった。 宿は湯布院の国民宿舎に泊まった。夕食で豊後牛のステーキが食べられるということで楽しみにしていた。ナイフとフォークが出てくるほどの大きなものではなかったが、それでも十分であった。「旅行をするんだったら食事にもこだわりたい」と言っていた友人も満足そうであった。夜は、久しぶりに大富豪(トランプ)に興じた。 翌日は、さすがに雨。金鱗湖を散策するにとどまった。帰りは佐賀関で魚を食べようと 思ったが、カーナビで見つけた小さな食堂は注文待ちの人で一杯であり、仕方なく近くのレストランで昼食をとった。道の駅で土産を買い、少し未練を残しながら国道九四フェリーで三崎まで帰った。メロデォイーラインは視界ゼロ。霧の中を抜ければ、無事に伊方の町が見えた。あとは何とか無事に帰り、旅行を終えた。 結局、旅行は計画から大幅に変更になったものの、その内容は「結果オーライ」であった。後に友人いわく、「石橋君の二日酔いがなかったら、もうちょっとマシになっとったかもしれんなぁ。次の旅行も石橋君が計画してや。」 今のところ、頭の中には山登りしかない。いずれ、また由布岳に挑戦しようと考えてい る。(平成18年7月1日午前1時) |