第32回演奏会によせて
音萌の会会長 尾崎光芳(S.59年卒)
昨年、「音楽や楽器には全く関心がなかった女子高生がひょんなことからビッグバンド・ジャズに魅せられて、苦労しながらも、学生音楽祭でカッコいい演奏をするに至る」という映画「スウィング・ガールズ」が大ヒットし、県内の学校でも「ジャズ」が静かなブームらしい。
全然楽器が出来なかった少女たちが、楽器を手に入れることから始まって、涙と笑いの苦労を経て「自分たちはジャズが、音楽が大好きなんだ」ということを思い知り、音楽と、音楽を通じた仲間たちのありがたさを痛感する。これって、多少ジャンルは違えど、吹奏楽部も全く同じなのだ。故に、吹奏楽部員は現役もOBも大抵心の琴線に触れる。
報道によると、今治市では中高生による今治スウィング・ガールズ(募集要項では「男女中高生」となっていたが)が今月末のイヴェントで演奏するとのことだ。そのほか、あちこちの高校の吹奏楽部では「ビッグバンド」編成で演奏する機会が増えているとのこと。 クラシックもさることながらジャズも大好きな私としては個人的に大歓迎の風潮である。
音萌の会の演奏会でも、その昔はワンステージをビッグバンド編成でやっていたこともあるし、グレン・ミラー楽団やデューク・エリントン楽団などのビッグバンドの曲を吹奏楽アレンジで演奏してきた。会員の中には、現役でジャズを演奏している者もいれば、ジャズについて、一家言どころか二家言も三家言も持つ猛者もいるらしい。
しかしながら、過去の演奏を振り返ると、ジャズの曲を演奏するにあたって、あまり評判がよろしくない。演奏している方はそうでもないのだが、とかく聴衆への「ウケ」が悪いのだ。曰く「ノレていない」と。
ジャズというのは特殊なリズムで、裏拍にアクセントを付ける。吹奏楽コンクールなどで演奏する「普通の」曲は「タァータ、タァータ、タァータ」。しかし、ジャズはその逆。
「ドゥーダ、ドゥーダ、ドゥーダ」。
この独特な「ノリ」の表現がクラシックをやり慣れた奏者にはイマイチリズムが取りづらいのである。ジャズ風にやろうとしても、どうしても日本古来の「音頭」のようになってしまう。「たんた、たんた、たんた」。・・・なンでやねん...。
今宵は、ブームにあやかり、第1部ではビッグバンド・ナンバーを取り揃えた。会長(私だけど)が「スウィング・ガールズ」ファンなので、多分気合いは入っている。
・・と思う。オトナの小粋な「スウィング」になるか、DNAに刷り込まれている「音頭」になるか。
さあて、お立ち会い。
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