<曲目紹介> ▼交響詩「フィンランディア」 (シベリウス 作曲/L.カイリエ 編曲) フィンランドのジャン シベリウス(1865〜1957)は、生涯に多様で美しい交響曲をいくつも残していますが、彼の名声をより決定的なものとしたのは、独創的な交響詩によるものでしょう。ロシアの占領下にあった19世紀のフィンランドでは、当時、無言のレジスタンス運動が続いており、シベリウスはこの作品をもって、フィンランド独立運動を支えたのです。 前半の威圧的なコラールや一斉射撃を思わせるトランペットの響きと、後半のフィンランドの自然をあらわした旋律が見事な対比を生んでいます。 ▼君を愛す (E.グリーグ 作曲/高山 直也 編曲) ノルウェー出身のエトヴァルト グリーグ(1843〜1907)は、今日シベリウスと並び北欧を代表する作曲家として知られています。彼の作品といえば、ピアノ協奏曲や《ペール ギュント》組曲などの管弦楽曲が有名ですが、一方でピアノ小品や歌曲なども多数発表しています。そんな中の一曲が、21歳の時に書かれたこの《君を愛す》で、当時婚約中だった妻ニ−ナへの愛が歌われています。 吹奏楽アレンジでは歌曲としての繊細さをそこなわないよう、金管楽器や打楽器は極力控えめに扱われ、木管楽器のアンサンブルを中心に展開されていきます。 ▼大序曲「1812年」 (チャイコフスキー 作曲/木村 吉宏 編曲) 「ナポレオンは、1812年に60万人の大軍を率いて、ロシアに攻め込んだ。しかし、それまで連戦連勝を続けたナポレオン軍も、想像を超えるロシアの寒さとロシア軍の巧妙な作戦によって、予想外の大敗北をこうむった。」 このような歴史的事実をもとに作曲されたのが、この大序曲《1812年》で、 チャイコフスキーは、ロシア軍の勇敢な戦いぶりとナポレオン軍の敗北とを、描写的に音楽化しています。またクライマックスでは教会の鐘や祝砲まで使用し、華やかで力強いエンディングを築き上げています。
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