雅楽物語
現役有志
むかしむかしあるところに、雅楽(うた)という少年がいました。雅楽は、耳に聞こえる愉快な声が大好きで、毎日のように。小鳥のさえずりに合わせて鼻を歌っていました。そんなある日、雅楽は、勝山という山へ薪を拾いに出かけました。
「あー、なーんか楽しいことはないかなー。」
そう思っていると、突然、小鳥の大合唱が森じゅうに響きだしたのです。その突然の大音量にびっくり仰天。雅楽は、驚きすぎて崖から転落してしまいました。それが、雅楽の奇妙な物語の始まりだったのです。
「あれ、ここはどこだ」
目を覚ました雅楽は思いました。見渡すと、見覚えのない建物ばかり。すると小鳥のさえずりより美しい音色が耳の中に入ってきたのです。
「これは何が鳴いているんだ?」
この音に興味を持った雅楽は、音の方へ歩いて行きました。その途中に、大きな丸いものや、動く四角いものなど、奇妙なものがたくさんありましたが、ただひたすら。音の方へ歩いて行きました。すると雅楽は『愛媛県立松山東高等学校』という文字が書いてある
ところへ着いてしまいました。そう、雅楽はそのとき、現在の東校の校門前に立っていたのです。
雅楽は音の主を知るべく、東校内へ入っていきました。奥へ奥へ進むと、背の小さい建物に出会いました。そう、図書館です。その建物の中へ入ると、思ったとおり、音の主に出会いました。
「こんにちは、私たちは松山東高校吹奏楽部です。」
雅楽が見たのは、元気のいい高校生の姿でした。
「はい、合奏するぞ!」
そう言ったのは、顧問の松田直人先生。先生の合図とともに、2曲演奏されました。1曲目は、『青葉の町で』、2曲目は『バルトークの主題による綺想曲』という曲だと、合奏前に先生が言っていました。
その2曲を聴き終わり、雅楽が言いました。
「私は雅楽というものです、ここの仲間に私を加えてください。」
言い終えたあと、雅楽は、大拍手と大歓声に包まれました。
「では、雅楽くんのために、私たち吹奏楽部の紹介をていきましょう」「はい」
そう言ったあと、ドラムのリズムに合わせて吹奏楽部の紹介が行われた。その紹介で、現在は57人で活動しているということ、みんな音楽なしでは生きていけないということが語られた。そのあとに部長が付け加えた。
「現在、3年生16名、2年生28名、1年生13名。今年は、顧問・副顧問の先生の3名とも東高出身という、純度100%の東高吹奏楽部で頑張っています。」
セクションリーダーが続けた。
「今年の吹奏楽部のモットーは、『届(そら)』。これには青空のように澄みきった、虹のように美しい音を届けようという意味が込められています。そんな音色を目指して、日々精進しています。」
副部長も続いた。
「今年の自由曲には、すべてのパートに目立つところがあります。そのように、今年の吹部は、一人一人が我が吹部の主人公、誰ひとり、目立ってない人はいません。さあ、これからの吹奏楽生活を楽しみましょう。」
一通り聞き終えたあと、雅楽はあるパートに入ることに決めました。
それからというもの、初心者である雅楽は、たくさんの壁を乗り越えました。しかし、それは、決して簡単なことではありません。たくさんの先輩に助言をもらったり、相談に乗ってもらいました。数ヶ月経ったある日のことです。ぼんやりと物思いにふけりながら、東高の階段を下りていた雅楽は、足を滑らせて落ちてしまいました。目を覚ますと、雅楽は彼が落ちた崖の下にいました、
「いままでの事は夢だったのかもしれない。」
そう今までのことを振り返り、思いました。
元の生活に戻った雅楽は、彼が、東高吹奏楽部の先輩方に助けてもらったように、何かに悩んでいる村の民の相談相手となったり、困っている人たちを助けたりして、村人たちに慕われました。
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