INDEX       7 



3rd STAGE

▼曲目解説▼

組曲「展覧会の絵」                     ムソルグスキー作曲

 この曲はもともと、ムソルグスキーが友人の遺作展を訪れたときの作品をイメージして作ったピアノ曲です。ムソルグスキーの死後、この名曲も埋もれたままになっていましたが、ラヴェルにより管弦楽曲として編曲され、現在広く親しまれるようになりました。組曲は10曲の小品を並べて構成されたものですが、いくつかの曲の前に「プロムナード」(遊歩道)と名付けた序奏が置かれています。展覧会場で、作品を見ながら歩を運ぶ観客の気分をあらわそうとしたものと思われます。

<プロムナード〜グノームス(こびと)>
 曲はトランペットの独奏する「プロムナード」で始まります。そのリズムは不規則で、展覧会場における作曲者の歩みや心理状態の表現ではないかと言われています。「グノームス」は、宝を探して地底でうごめく怪奇な土の精の姿の絵であったと言われています。ぎくしゃくと歩く土の精のイメージが、不安なリズムと暗い響きで表現されています。
<プロムナード〜古城>
 ややテンポがゆるやかになった「プロムナード」に続いて、「古城」が演奏されます。低いファゴットのメロディーが南国の夜のムードを伝え、サキソフォーンが奏でるメロディーは、中世イタリアの古城の塔の下で、吟遊詩人の唄う姿が想像されます。
<プロムナード〜チュイルリー>
 前の絵の印象を余韻として残すかのような、重々しい「プロムナード」に続くのは「チュイルリー」です。"チュイルリーの庭"は、パリのルーブル宮の美しい庭園で、子供達が遊びたわむれる情景が描かれています。
<ビドロ(牛車)>
 この絵は、暗い色調で閉ざされた絵であったと言われています。ポーランドの田舎道を、牛の曳く車が鈍重な足取りでゴトゴトと近づき、ぬかるみで泥だらけになったりしながら遠ざかっていく様子が描かれています。
<プロムナード〜殻を付けたひな鳥のバレエ>
 この「プロムナード」は、静かに前作の暗い思い出をひきずるかのように始まりますが、後半から次の「殻を付けたひな鳥のバレエ」のフレーズが登場し、そのまま曲は移行していきます。いかにも卵から出ようとするひな鳥の、おぼつかない足取りを描いており、ユーモアにあふれた曲となっています。
<サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ>
 2人のユダヤ系ポーランド人を描いた作品です。金持ちで太ったサムエル・ゴールデンベルク氏の尊大な姿と、トランペットの奏でる痩せっぽちの貧乏人シュムイレの姿が、曲中で絡み合います。しかし結局、公論でも迫力でもシュムイレに勝ち目などありえません。
<リモージュ(市場)>
 中部フランスの小都市リモージュのマーケットで、女たちが何事か言い争っている様子が描かれています。彼女たちの言葉は波の如くあふれ、高潮し止まるところを知りません。
<カタコンブ(ローマ時代の墓)〜死者とともに、死せる者の言葉をもって>
 ローマ時代に作られた古い地下墓地を、ともしびを片手に探る様子が、荘重な和音で描かれています。やがて後半の「死者とともに〜」になると、プロムナードが登場し神秘的な雰囲気を掻き立てます。
<鶏の足の上の小屋(バーバ・ヤーガの小屋)>
 ロシア伝説の魔女バーバ・ヤーガが、めんどりの足の上に小屋を作り、人骨を拾い集めて煮つめ、それを道の上にまき散らして、ほうきにまたがって飛んでいく姿が描かれています。
<キエフの大門>
 絵の作者はキエフ市にそびえ立つ、巨大な門の設計も行っていました。ムソルグスキーはその設計図から雄大なキエフの大門を想像し、この壮麗なるフィナーレを作曲したと言われています。キエフの町をたたえる情熱的なクライマックスが、堂々と曲を結びます。

 





ホームへの非常口