幻の曲解説
平成6年卒業 大元 佳奈
これらは締め切りを過ぎてもなかなか原稿が揃わなかったので最悪の事態に備えて私が書いたものです。無事正規の原稿が届いたのでお蔵入りなのですが、せっかくなので読んでもらおうかなとこっそり掲載します。なおオセロの翻訳は権利関係で引っかかったら嫌なのでおーもとがGoogle先生といっしょに訳したものです。
没にすると分かっていてもここまで準備するのがプログラム係の仕事なのです…って言うか締め切りを守れ!
▼吹奏楽のための「エール・マーチ」(宮下秀樹 作曲)
2020年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳであったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため県大会、地方大会、全国大会すべて中止になったため、課題曲はすべて翌年に持ち越された。2021年度吹奏楽コンクールで松山東高吹奏楽部は課題曲はこの「エール・マーチ」、自由曲「ルンバ・ラプソディ」で見事に金賞を受賞し、四国大会に出場。金賞を受賞した思い出の一曲である。
▼美中の美(ジョン・フィリップ・スーザ 作曲/フレデリック・フェネル編曲)
原題「The Fairest of the Fair」というタイトルについて
Fair という言葉は「公正な、公平な」(例:フェアプレイ)という形容詞として使われることが多いが、古い形容詞として「美しい」という意味もある。また名詞として使われると「博覧会、展示会」という意味がある(例:中古車フェアー)。
この「美中の美」は1908年のボストンフードフェアーのために作曲された。タイトルはこの展示会で働く美しい女性を想い「美人の中で最も美人」と「博覧会ので最も素晴らしい博覧会」という二つの意味を持たせたと言われている。
▼楽劇「神々の黄昏」よりジークフリートの葬送行進曲
(リヒャルト・ワーグナー 作曲/鈴木栄一 編曲)
楽劇「神々の黄昏」は「ニーベルングの指輪」四部作の第4作目。ワーグナー35歳のときから書き始め、「ラインの黄金」、「ワルキューレ」、「ジークフリート」、「神々の黄昏」の四部作の完成までに26年を要した。すべてを上演すると15時間かかる。北欧神話をモチーフとし、「神々の黄昏」では、人間だが竜の血を浴び不死身になったジークフリートが、指輪をめぐるいざこざでハーゲンに唯一の弱点である背中を槍で突かれ殺される。「ジークフリートの葬送行進曲」は第三幕にあたり、戦士の魂を楽園に導くワルキューレの一人であるブリュンヒルデへの愛を歌ったジークフリートの亡骸を家臣が運ぶ場面で演奏される(歌唱は無い)。
▼行進曲「威風堂々」第一番ニ長調(エドワード・エルガー 作曲)
原題「Pomp and Circumstance」はエルガーが作曲した5曲の行進曲集の第1番。
タイトルはPomp:華やかさ、circumstance:儀式ばることだが、シェイクスピアの「オセロ」のセリフ
O, farewell!
Farewell the neighing steed, and the shrill trump,
The spirit-stirring drum, the ear-piercing fife,
The royal banner, and all quality,
Pride, pomp and circumstance of glorious war!
And, O you mortal engines, whose rude throats
The immortal Jove's dead clamours counterfeit,
Farewell! Othello's occupation's gone! (3.3.342-354).
さらば!! さらば、馬のいななきとけたたましいトランペットの音よ。
魂を揺さぶる太鼓、耳をつんざくような横笛よ。
王家の旗印、誇り、壮麗さ、そして栄えある戦いの威厳そのすべての素晴らしさよ。
そして、おお、お前たち死すべき大砲どもよ、その粗野な喉で 不死なるジュピターの死とうい偽りを叫ぶ者どもよ!さらば!!オセロの仕事は終わった! (3.3.342-354)
から取られている。
▼ディープ・パープル・メドレー(デイヴィッド・カヴァデールほか 作曲 佐橋 俊彦 編曲)
イギリスのハードロック・バンドディープ・パープルの名曲「紫の炎 Burn」「ハイウェイ・スター」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」をメドレーで。
ディープ・パープルの魂のロックは日本ではタマホームのCM「紫の炎」、王様のアルバム「深紫伝説」から「高速道路の星」、「湖上の煙」という彼らが思いもしなかった形でおなじみの曲である。
▼茶色の小びん(アメリカ民謡 岩井直溥 編曲)
グレン・ミラーオーケストラの演奏するインストゥルメンタル曲として有名だが、もともとはジョセフ・イーストバーン・ウィナーが作詞作曲したもので、禁酒法時代にジンやラム酒が好きな男女について歌った詞が付いていた。つまり茶色の小瓶(The Little Brown Jug)とは酒の瓶のことである。日本語歌詞も存在する。
▼マンボNo.5(ペレス・プラード 作曲 岩井直溥 編曲)
キューバ出身のマンボキング、ダマソ・ペレス・プラードはメキシコでペレス・プラード楽団を結成、この代表曲であるマンボNo.5をひっさげアメリカに進出し数々のヒット曲を発表。した。1956年に初来日し、度々日本で公演を行っており、戦後のラテンブームをさらに盛り上げた。このタイトルはベートーヴェンの交響曲第5番にあやかって「マンボNo.5」と名付けたと言われている。
「Sí, sí, sí, yo quiero Mambo, Mambo(シ、シ、シ、ジョ キエーロ マンボ、マンボ)」は「そう、そう、そう、オレはマンボが好きだ」というスペイン語である。
▼吹奏楽のための第二組曲(アルフレッド・リード 作曲)
「吹奏楽のための第二組曲 ラティーノ・メキシカーナ」は中南米の音楽を題材にした組曲である。
第1楽章「ソン・モンテューノ Son Montuno」はキューバのカリプソ
第2楽章「タンゴ Tango (Saragossa Serenade)」はブラジル風のタンゴ
第3楽章「ワラチャ Guaracha」はキューバの歌とダンス
第4楽章「パソ・ドブレ Paso doble (A la Corrida!)」 はスペインの闘牛をイメージしたダンス
酒、歌、ダンス、闘牛、祭。ラテン諸国の勢いと情熱を感じていただきたい。

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