<第3部> 指揮者紹介 井手 浩一 井手浩一君とは高校入学以来のつきあいであるからもう33年にもなるが、いざ彼の紹介文を書けといわれると少々困ってしまう。あまりにも知りすぎていて、どれが彼の特徴であるのかわかりにくいのである。 まず長所は、 1.何でも好き嫌いなく飲み食いできる。(彼が唯一食えないものは、干葡萄である。だから彼にプレ 2.
困難な局面に遭遇しても、創意と工夫で乗り切ろうと努力する。(学生時代、洗濯嫌いだった彼 3.女性に親切である。(特に年齢が若ければ若いほど親切度が増すようで、そのことでときに周囲か 4.音楽の研究を怠らない。(少しでも生の音に近づけたいということで、自宅のリスニング・ルーム 次に短所はというと、 1.
数学ができない。(高校時代はほとんど赤点すれすれで、あんなものは人間のやるもんじゃない 2.
経済観念が希薄である。(学生時代の彼は、仕送りがくるや否やレコード屋へ突進し、仕送りの 3.
惚れっぽい。(若いころは友達同士でよく女性の話をしたが、井手君の女性の好みは一定せず、 以上思いつくままに挙げてみた。しかし、彼の身上はなんと言ってもその驚異的 な粘り強さだと思う。学生時代のほとんど致命的な大怪我から奇跡的に回復したばかりでなく、職業的にもまた社会活動の面でも、怪我によるハンディを微塵も感じさせないのは立派というしかない。 |