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第3部曲目紹介

1 朝鮮民謡の主題による変奏曲  (J.B.チャンス)

 作曲者のJ.B.チャンスが、朝鮮戦争に従軍した折に各地で耳にした「アリラン」の旋律に魅了され、後にこの主題をもとにさまざまなリズム処理を加えてユニークな変奏曲を書き上げました。殊に終結部ではテンポの異なる2群のアリランのメロディーが重なり合い、感動的に曲を閉じます。
 1966年に全米バンド・マスター協会の作曲賞を受賞してから吹奏楽のレパートリーとして広まり、現在では世界的な人気曲としてしばしば演奏されています。


2 吹奏楽のためのラプソディ (外山雄三/藤田玄播 編曲)

 1960年作曲。原曲は日本民謡、わらべうたをモチーフにしたメロディックで、ダイナミックなサウンドが特徴の管弦楽曲(題名からして「管弦楽のためのラプソディ」だ)です。太鼓や鉦など各種和打楽器の音、中間部で馬子歌を吹くフルートの音が日本人としての心に琴線に触れることでしょう(と思うのだが)。この曲は昔、(今もそうなのかな?)日本のオーケストラが海外公演をする際のアンコールの定番でした。というのも、この曲自体が、NHK交響楽団のはじめての海外演奏旅行(ヨーロッパ)に際してアンコール用に作曲され(外山はこの楽旅の指揮者のひとり)、各地で大ウケだったから。
 なお、本日演奏するのは、藤田玄播による吹奏楽編曲版です。

3 歌劇「リエンツィ」序曲 (R.ワーグナー/D.パターソン 編曲)

 R.ワーグナーが1840年に完成したグランド・オペラ「リエンツィ、最後の護民官」は14世紀中頃のローマを舞台にした全5幕、演奏時間なんと6時間余という巨大なオペラです。もっとも、ワーグナー自身は好きでなかったそうですが。その代わり、と言ってはナンですが、ヒトラーが大変好み、ナチスのプロパガンダによく使われたそうです。自らに都合の悪い終結部分は巧妙にカットして。
 さて、序曲はトランペットの単音(A)のファンファーレで(リエンツィが民衆に決起を促す)始まり、その後、「リエンツィの祈り」の主題が現れ、曲が展開していきます。主部ではリエンツィの雄叫び「聖なる魂の騎士」とオペラの中でリエンツィの妹とその恋人が二重唱をする「慈悲への感謝の歌」が主題として用いられます。 最後は大いに盛り上がり、いかにもワーグナーらしくこれでもかというくらい華々しく曲を閉じます。
 ・・・と序曲だけ聴くと大団円でメデタシメデタシなのかなと思ってしまいますが(筆者もこれを書くために調べるまで知りませんでした)、このオペラ、実は悲劇なのです。どんな悲劇なのかって?残念。スペースが足りないので、詳しくはオペラあるいはワーグナー関連図書をどーぞ。・・・だって、あらすじ書くだけで長いんだもの。





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