第1部 曲目紹介
祝典行進曲
團伊玖磨 作曲
第30回記念のトップを飾るにふさわしい行進曲です。第1回演奏会もこの曲から始まりました。
音萌には思い入れの深い曲です。
1959年、現天皇陛下と美智子妃殿下のご成婚を祝して作曲された行進曲で、作曲者はこのとき弱冠34歳であり、日本は岩戸景気の真っただ中でした。行進曲はこの時代、戦争・軍隊などを想起してはいけないからと反発されていました。しかし彼は『今、日本は平和国家となり、世界各国で行なわれる華麗なお祭りの行進のように、行進曲も平和を謳歌する喜びに満ちたものが要求されている。』と考えていたそうです。その後、この曲は第7回全日本吹奏楽コンクールの課題曲にも選ばれるなどして、急速に広まって行くことになりました。
現皇太子のご成婚の際の「新祝典行進曲」も彼の作品です。
レッツ・ダンス
ファニー・ボルドリッジ他 作曲
ウェーバー作曲の「舞踏への勧誘」を下敷にし、ベニー・グッドマン楽団が演奏してヒットした曲です。ベニー・グッドマンは1934年にNBC放送出演のためにプロ楽団を作りました。そのときに使われたのがこの曲で、以後、彼のバンドのテーマミュージックとして使われています。
「スゥイングの王様」としてのベニー・グッドマンの存在はあまりにも有名であり、彼のソロをフィーチャーしたこの曲は、スゥイングミュージックの代表的なもので、ジャズとダンス音楽が結合した最頂点を示すものといえるでしょう。
A列車で行こう
ビリー・ストレイホーン 作曲
「A列車」は1940年当時、実際に運行されていたニューヨークの路線名です。ハーレムの中を走る路線は何路線かあったようですが、ハーレムの中心地に最短で行くには「A列車」が一番便利だったようです。デュークエリントン楽団のオープニング・テーマにもなっています。
この曲には歌詞がついており、駅員の視点で訳すとこうなります。
ハーレムのシュガー・ヒル方面に行くのなら『北方面行きA列車』にお乗りください。
『A列車』に乗りそこねると、ハーレムへの近道を逃してしまいますよ。
急いで!もう列車がやって来ますよ。ほら、レールのハミングの音が聞こえるでしょう?
さあ、皆さん、”A列車”にお乗りくださーい!
ハーレムのシュガー・ヒルにはすぐ着きます。
真珠の首飾り
ジェリー・グレイ他 作曲
サックス隊によるメイン・メロディーが美しい曲です。グレン・ミラーによる演奏で一躍有名となり、今やグレン・ミラー楽団のテーマとも呼ぶべき曲になっています。映画「グレン・ミラー物語」の中でも、妻ヘレンに本物の真珠の首飾りを贈るシーンに使われています。
グレン・ミラーは1904年アメリカアイオワ州クラリンダで生まれ、家庭は決して裕福ではありませんでしたが、アルバイトをしてでもトロンボーンを買うくらい根っからの音楽好きでした。1942年に軍隊に入隊し、軍楽隊を編成し活動を始めたところ、当時元帥であったアイゼンハワー(
のちの34代大統領)に認められ
直轄隷下部隊となり、世界中を飛び回って従軍音楽隊として活躍していました。しかし1944年12月、パリへ向かう飛行機に乗ったまま帰らぬ人となりました。
グレン・ミラーの音楽は彼の楽団に受け継がれ、今も世界中で愛され続けています。
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