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最近拠点を海外に移したおーつぼちゃんに原稿依頼しました。(先輩風ビュービュー)
カーディフに恋して

平成7年卒 大坪 里織

 こんにちは!平成7年卒の大坪といいます。音萌のレジェンドの1人、おーもと先輩のひとつ下の学年です。この場を借りて、私に原稿を依頼して下さったおーもと先輩に心からお礼を申し上げます。実は密かに、音萌の会会報の原稿を依頼されることは、ちょっとした目標だったのです。高校現役時代から、音萌の会の会報に掲載される文章の面白さ、素晴らしさに憧れていました。本当に皆さん、面白く興味深い人生を歩んでいらっしゃるなぁと感心していました。私も素晴らしい先輩、後輩方に負けず劣らず、ぶっちぎりの人生を歩んでいきます!

 音萌の会会報の原稿を書くとなると、どうしても高校時代の頃を思い出しますね。特に先輩方の会話が本当に面白くて、まるでお笑いライブのようでした。今でも生き生きと思い出されます。そして先輩方と演奏したシェエラザードとハムレット、本当に楽しかったです。私たちが3年生の時は…まぁいいでしょう。忘れたいこともあるものです。大学生になって、社会人の吹奏楽バンドに参加し、楽器を続けました。音萌の会の演奏会には、大学在学中に参加させていただきました。素晴らしい皆様と一緒に演奏できたことはとっても嬉しく、楽しかったのですが、何せ大学生、酒の飲み方を知らず、皆様にはとってもとってもご迷惑をおかけしました。本当にごめんなさい。お陰様で今は少しだけ大人な飲み方ができるようになりました。大学卒業後、やくざな趣味たち(魅力的すぎて足抜けし辛い、という意味で)から完全に足を洗い、救急医療の世界に飛び込みました。救命救急医として忙しくも充実した毎日を送っていたところに、ちょっとした転機が訪れまして、一大決心をして、カーディフ大学医学教育学修士課程に入学することにしました。今私は宿題に追われる大学院生をやっています。

 さて、今回私に白羽の矢が立ったのは、私が今カーディフに住んでいるからではないかと勝手に解釈しています。カーディフという都市は、どうやらあまり日本で知名度はないようで、私の母曰く、日本のクイズ番組で、カーディフのあるウェールズが答えの問題が出たとのことです。母がライン電話で、「あんたが住んどるとこやろ?すぐ分かったけん!」と、懐かしい松山弁で教えてくれました。ウェールズは、イギリスの連合王国の一つで、ウェールズの首都、カーディフは、ディーゼル列車でロンドンから2時間くらい西に行ったところにあります。

 私が考えたカーディフのキャッチコピーは、「歴史と現代が出会う街」。カーディフ城をはじめとした歴史的建造物がたくさんあると同時に、洗練されたデザインのモダンな建物もあります。歩車分離されたエリアと広々とした公園がたくさんあり、とにかく散歩が楽しいです。カーディフの人口は45万人くらいなので、街の規模は松山に近いかも知れません。

 といっても、昨年のラグビーW杯のおかげで、少しは知られるようになったでしょうか。もちろんカーディフでもラグビーW杯は大盛り上がりでした。ラグビーW杯開催中は、クラスメイトからも、パブのおっちゃんからも、私が日本人だとわかるや否や、日本チームを褒めちぎられました。「日本チームのプレイ大好き!」「ニンジャみたい!」「決勝戦はウェールズ対日本でやろう!」などなど。大学の先生の中に、おばさま、という表現がぴったりの上品な女性がいるのですが、彼女もやはり目を輝かせて、「ラグビーは本当に楽しいわね。日本チームのプレイはワクワクするわ!今私の甥の家族が日本に観戦に行っているのよ。」と教えてくれました。ラグビーは、紳士淑女が楽しむ野蛮なスポーツだそうです。ウェールズの人たちは、レプリカユニフォームを着て、パブでビールをがぶ飲みしながらパブのテレビでラグビーを観戦します。

彼らはビールをアルコール飲料だと思っていないのではないかと思うくらい、ビールをコーラ感覚でがぶ飲みします。きっとビールでは酔わないのでしょう。イギリスといえば、ウィスキーを連想する方が多いかもしれませんが、私の知る限りでは、カーディフはビール、ビール、ビールです。とりわけ、ウェールズで作られるエールビールはめちゃくちゃ美味しいです。私は渡英当初はエールビールが苦手で、ラガービールばかり飲んでいたのですが、今はすっかりエール派です。

 彼らは、とにかくお喋りが大好きなようです。ツバキを飛ばし合って、とにかく喋ります。通りすがりやたまたま居合わせた人にもがんがん話しかけます。そして、自称「世界一ユーモアの分かる国民」。会話の中に、何かしらのユーモアを交えようとします。ある日私が授業に遅刻しそうになって、街を猛スピードで学校に向かって走っていたら、すれ違った男性から「エクササーイズ?」と声をかけられました。たくさん資料が詰まったカバンを抱えてダッシュしている人間が、エクササイズをしているわけないのですが…。猛ダッシュしながらゲラゲラ笑ってしまいました。そして彼らは、とにかく「ソーリー」を連発します。ちょっとどいて、も、今なんて言ったの?も、聞きたいことがあるんだけど、も、全部「ソーリー」。外国では謝っちゃいけない、と日本で教わっていた私は拍子抜けしました。みんながんがん謝ってる。さらに、こちらの方の「ソーリー」の発音は、私の名前、「さおり」に近くて、渡英当初は、街で何度も自分の名前を呼ばれている感覚になって困りました。

 私はそんなカーディフと、カーディフに住んでいる人たちに完全に恋をしてしまいました。おーもと先輩に、「自由に書いてね!」と言われたので、今たくさんの人に伝えたいこと、カーディフの素晴らしさを語らせていただきました。少しでも伝わったら嬉しいです。まだまだまだまだカーディフについて書きたいことが山ほどありますがそろそろこの辺で。




 

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