第1回目手術
はじめに
前立腺がんが大変増加しており、日本では10万人当たり20人程度の発生率であると言われています。
医師である私も、その20人の一人で、過日、前立腺全摘出(切除)術を受けました。手術を受けるまでに、泌尿器科の専門医や病院のスタッフの方々には大変お世話になりました。
その外に、たまたま、インターネット上で公開されている前立腺がんの体験記を読み、多くのことを教えられました。
手術を受ける前から、自分も手術が終わればHPに体験記を載せたい、多少なりとも前立腺がん患者のお役に立ちたい、と心に決めていました。
私は、現役の小児科開業医です。
一般の方々よりも、医学知識はありますが、こと前立腺がんについては素人同然で、下記の記録は、体験記としても中途半端です。
私の場合、腫瘍マーカー(PSA)高値だけで、何ら自覚症状はありませんでした。
色々と精密検査をして下さった地元のJ病院泌尿器科のU先生には、いつも私の都合に合わせた検査日時を選んで検査をして下さいました。お陰で一日も休診することなく、十分な検査を受けることができました。また、私の発する多くの素朴な疑問に対し、毎度E-mailで丁寧にお教え下さいました。
泌尿器科専門医のB先生には、E大学医学部附属病院のY教授をご紹介下さったばかりでなく、私の悩みについて、専門家のお立場から、E-mailで20数回(B先生との往復メール)にわたりご指導下さいました。両先生からいただいたE-mailは、私の宝物として、きちんと保存させていただいております。
更に、Y教授には、開業医である私にできるだけ支障のないようにと、手術日などを決めて下さいました。また、自らご執刀下さいました。
入院に際しましては、第1回目は主治医のO、S両先生にお世話になりましたが、第2回目の手術のときには、お二人とも既に他の病院にお移りになっていました。
第2回目の入院のときは、T、Y両先生が主治医で、退院の日まで、祝祭日を含めて毎日のように病室にお出でいただき、励まして下さいました。
忘れてならないのは、婦長さんはじめ多くの看護婦さんに、24時間、昼夜にわたり、大変お世話になったことです。下記の記録には、先生方や看護婦さんがして下さった数々の処置などについてはほとんど触れていませんが、改めて心から御礼申しあげます。
(追記)この記録は公開当初、HPの片隅に掲載していましたが、一人でも多くの同病者のお目にとまるようにと、思い切ってトップページに紹介欄を設けました。(平成12年8月1日記)
(追記)手術後 5年近く経ち、現在70歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成17年1月4日記)
(追記)手術後10年近く経ち、現在75歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成22年1月1日記)
(追記)手術後15年近く経ち、現在80歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成27年1月3日記)
(追記)手術後16年近く経ち、現在81歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成28年1月6日記)
(追記)手術後17年近く経ち、現在82歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成29年2月5日記)
(追記)手術後18年近く経ち、現在83歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成30年3月1日記)
PSA高値と経尿道的前立腺切除術
- PSA高値と経尿道的前立腺切除術
- 平成11年12月22日に、E大学医学部附属病院泌尿器科で経尿道的前立腺切除術を受けました。
この手術法は、前立腺肥大症のときに採用される術式ですが、私の場合は、前立腺の内腺部分(transition
zone、central zone)にがんがあるかどうかを確認するために行われました。
- 大部分のがんは、外腺部(peripheral zone)から発生しますが、内腺部からも20〜30%程度発生するようです
- 内腺部に発生したがんは、バイオプシー(経皮的前立腺生検)では、検出できません。
- 平成9年7月、毎年受けている定期検診で、PSA値(前立腺特異抗原)が前年の2.5から11に上昇(基準値4以下)していたため、前立腺がんの疑いで、地元のJ総合病院泌尿器科で各種の精密検査を受けました。
それ以来、PSAの経時的検査、CT、MRI、バイオプシー(2回)などを受けましたが、がんは発見されませんでした。
- 平成11年11月11日に受けた3回目のバイオプシーで初めてがんが疑われる所見が得られましたが、確定的ではありませんでした。
- そこで、E大学医学部附属病院泌尿器科を紹介され、標記切除術を受けるとともに、同時に4回目のバイオプシーを受けることになりました。
- 入院経過
- 平成11年12月21日入院、術前の血液検査、胸部レントゲン検査、心電図検査などのあと、Y教授からの手術に関する詳しい説明(妻と一緒に受ける)、麻酔科医から麻酔についての説明がありました。
- 翌22日、腰椎麻酔下に手術、24日点滴中止、25日バルーンカテーテル抜去、27日に退院いたしました。
- 退院時の指示事項は1)重い物を持ちあげないこと、2)便秘しないこと、3)アルコール禁止、4)性交禁止、5)水分をできるだけ多く摂ること、でした。
- 退院翌日から3日間、年末の忙しいなか、普通通り診療に従事しましたが、与えられた指示を忠実に守り、毎回尿瓶に尿をとり、その尿色に一喜一憂しながらの毎日でした。排便時の着色尿が完全にとれるまでには約2ヶ月かかりました。今では大きなペットボトル(ポカリスエットの1.5L)をまとめ買いして、毎日毎日大量に飲んだことが懐かしく思い出されます。
- 病理組織学的検査成績
- 平成12年1月4日、切除した内腺部からがん細胞(adenocarcinoma)が検出されたとの連絡を受け、6日に受診し、Y教授から詳しい説明を受けました。しかし、同時に実施した4回目のバイオプシーでは、やはり、がん細胞は検出されませんでした。
- 前立腺全摘出術を受けるまで
- 65歳という年齢、病理組織学的ながんの進展度などから、前立腺全摘出(切除)術の適応あり、と告げられ、お願いすることにしました。
- 手術実施までに、外来でプロスタール、カソデックスの内服薬、リュープリンの注射(3回)など、ネオアジュバントホルモン療法を受けました。
- また、骨シンチ、CT、MRI検査、更に手術時の出血に備え、自己血液の貯血を2回(400ml×2)いたしました。
- その間、PSA値は確実に低下し、2月25日には、測定限界値の0.2以下になり、以後の検査は省略しました。PSAは自院から検査センターに依頼し、ほとんど毎週1回調べました。
リンク集
前立腺がん体験記録
- 前立腺がんの手術をしました(木村 肇さん)
- 前立腺がん・最前線(美甘英二さん)
- 前立腺がんの手術日記(青山孟郎さん)
- 前立腺ガンの治療経過(平野吉孚さん)
- がんを明るく生きる(伊藤 勇さん)
- 前立腺癌を全摘除術で治療中(伊藤 昇さん)
- 前立腺がん 体験記(白木宏繁さん)
前立腺がん関連資料
- 国立がんセンター
- 神奈川県立がんセンター(三浦 猛さん)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2001年9月27日まで)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2002年2月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2005年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2006年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2007年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2008年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2009年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2010年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2011年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2012年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2013年1月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2014年1月以降:誤って削除:)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2015年1月〜12月まで)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2016年1月〜12月まで)
- PSA(前立腺特異抗原)についてのQ&A
- 新しい放射線治療
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前立腺ガン検診のすすめー私の体験からー
“びっくり仰天、1位と4位”