第2回目手術
前立腺全摘出(切除)術
-
入院(平成12年4月18日)
- 平成12年4月18日入院、血液検査(動脈血採取を含む)、胸部レ写、手術野の剃毛などを受けたあと、Y教授から前立腺全摘出(切除)術の方法、術後の合併症などの説明がありました。
- 特に、勃起神経を保存するかどうかについて質問されましたが、”お任せいたします”と答えました。保存術は、出血が多くなることと、何よりもがん細胞が遺残する恐れがあるとのことでした。術後に、「片(右)側は残しました、輸血は1回分だけ使いました」、と言われました。
- 午後8時半ころ、麻酔科の医師から、全身麻酔で、同時に硬膜外麻酔を併用する、後者は術後の疼痛対策である、との説明を受けました。
- 手術(4月19日)
- 平成12年4月19日、6時半起床、浣腸、8時筋注、8時20分ストレッチャーで手術室へ運ばれました。手術室に入ってからのことは何も記憶していません。
- 12時45分、鼻腔に酸素吸入用チューブ、胃内チューブ、点滴、硬膜外麻酔用チューブ、導尿用バルーンカテーテル、腹部ドレーンをつけた状態で病室にかえってきました。痛みはほとんどありませんでした。
- 夕方、膀胱洗浄、ガーゼ交換などがありました。咽頭痛がひどく困りましたが耐えました。体位変換は自力では未だできませんでした。
- 術後の経過
- 4月20日(術後1日)
- 朝方採血、酸素吸入中止、胃内チューブ抜去、座ってもよいとの指示、昨日来絶食中、ガスは未だ出ませんでした。
- 午後、部屋の中を歩いたり、勝手に浣腸、トイレに行ったりしましたが排便はありませんでした。
- 夕方、硬膜外麻酔用チューブが外れ、次第に痛みが増してきました。発熱37.8℃。
- 4月21日(術後2日)
- 痛みが強く、ベッド上で動くこともできず、トイレにも行けなく困りました。咳払いをすると手術部が痛み、下腹部に全く力が入りませんでした。硬膜外麻酔に替るPCA(patient
controlled analgesia)を皮下に装着していただき、自分で適宜痛みを調節できるようになりました。キシロカインとレペタンがはいっていると伺いました。
- 夕方、久し振りに不整脈が出ました。念のため、ポータブルの心電計で心電図をとっていただき、上室性期外収縮であることを確認しました。入院中に循環器内科で診てもらうことになりました。
- 4月22日(術後3日)
- 痛みはほとんど無くなり、自由に動きまわることができるようになりました。朝食は重湯、夕食から全粥となり、全部いただきました。
- 4月23日(術後4日)
- 4月24日(術後5日)
- 腹部ドレーンを短く切断、このドレーンはリンパ液排泄用とのことでした。
- 4月25日(術後5日)
- 点滴中止、抗生物質は内服投与となり、ドレーンも抜去されました。導尿用バルーンカテーテルを装着したまま、院内をできるだけ歩くことにしました。以後、朝夕合わせて最低5千歩は歩きました。
- 4月26日(術後6日)
- 半分抜糸、下腹部(正中線)の臍下約3センチから恥骨上に手術痕、14針の痕が残っています。循環器内科でホルター心電図を装着しました。
- 病理組織検査結果
- 4月27日(術後7日)
- 残りを抜糸、PCAも外されました。病理組織の結果が知らされました。内腺部にがん細胞が少し残っていましたが、分化型で前立腺外への浸潤やリンパ節への進展は認められず、がん細胞は全部摘出されていました。根治と考えられる、とのことでした。ホルター心電図を外しました。結果は1週間後とのことでした。不整脈はその後全くありませんでした。
- 4月28日〜5月1日
- 5月2日(術後13日)
- 午前中に膀胱造影が行われ、尿道縫合部からの尿漏れがないことが確認され、導尿用バルーンカテーテルが抜去されました。直後から、全く垂れ流しのように失禁が始まりました。昼前に、循環器内科で心エコー検査を受けた上で、ホルター心電図の結果も聞きましたが、上室性期外収縮のみであり、処置不要との診断でした。退院時に備え、抗生物質とバックフォーを処方していただきました。
- 退院
- 5月3日(術後14日)
- 昼前に退院の予定で、それまでに院外に出て、周辺をひとり歩きました。帰院したとき、万歩計は8000歩を示していました。尤も、尿失禁は予期していた以上にひどく、尿とりパッドから尿があふれ出る寸前でした。
- 退院後
- 5月3日から5日まで
- 連休を利用し、終日ベッドで休みました。静かにベッドで休んでいるときや夜間の尿失禁は少ないことがわかりました。
- 5月6日(土)
- 午前中の診療をしましたが、尿失禁と、何とも表現しがたい全身倦怠感がありました。やっと診療を終えることができ、ホットしました。自院から、高感度PSA(数日後、測定限界値0.01以下の報告がありました)を検査センターに依頼しました。
- 5月7日(日)
- 5月8日(月)
- 通常通り診療を開始しました。午前9時診療開始、12時半終了、2時から午後の診療開始、5時半終了。お昼の休憩時間は横になって休みました。
- 5月11日(木)
- 大学附属病院へ、Y教授の診察日に行きました。高感度PSAなど血液検査を受けました。(数日後、測定限界値0.01以下と知らせていただきました)
- 次回の診察は、6月29日を予約してきました。
- 5月末日まで
- 毎日の診療と義務的な出務(定例小児科医会、国保審査会2回、急患センターの夜間当直1回、休日当直1回、幼稚園の健康診査2回)だけをしながら、ひたすら尿失禁の軽快を待ちました。全身倦怠感と尿失禁はその後も続き、尿失禁が軽快し始めたなと思ったのは、カテーテル抜去後2週間ほど経ってからで、その頃には全身倦怠感も消失していました。中断していた一日1万歩の再開は、5月22日からでした。
- 6月1日以降
- 尿失禁は、6月1日現在、ほとんど無くなりましたが、念のため、尿とりパッドは着用して、診療などに従事しています。
- 6月29日、Y教授の診察日でした。自院で実施した高感度PSA値(6月20日実施)が0.01以下であったこと、尿とりパッドは6月中旬から全く着用していないことをご報告、8月にCT、骨シンチの予約をしていただきました。
- 8月15日、E大学附属病院で午前9時からCT、午後1時から骨シンチを受けました(後日、異常なし)。高感度PSAは6月20日、7月11日、9月7日、11月6日に実施、いずれも測定限界値0.01以下でした。
- 11月30日、E大学附属病院受診、Y教授にその後の経過を報告しました。
- 平成13年
- 特に変わったことはなく、順調です。本年最初の高感度PSAは、2月19日に実施、測定限界値0.01以下でした。
- PSA値の推移の項に記載しましたように、平成13年8月末に実施したPSAが0.3と出たため再検査をしましたが、結果は0.01以下でした。
- 10月18日に、胸部レ写、CT、骨シンチ検査を受けましたが異常ありませんでした。
- 平成14年
- 1月30日、4月6日、7月1日、10月3日、12月3日の高感度PSAは、いずれも測定限界値0.01以下でした。
- 2年前の4月19日に前立腺全摘出術を受けました。幸い、この2年有余、PSAの変動もなく順調に経過しております。
- 10月17日に、胸部レ写、CT、骨シンチ検査を受けましたが異常ありませんでした。
- 平成15年
- 1月24日の高感度PSAは、測定限界値0.01以下でした。
- 3月25日の高感度PSAは0.010となっていました。0.01以下と0.010とではその意味が全く違います。そこで4月18日(全摘後まる3年)に再検査しましたところ、今度は0.006でした。早速検査センターに問い合わせてみましたところ、15年2月17日受付から報告内容が変更され、小数点以下2桁が3桁表示に変更された、ということでした。
- 10月17日に、E大学付属病院からの紹介で地元のS病院でCT、RI検査実施しましたが、異常ありませんでした。
- 平成16年
- 1月26日、3月12日、5月7日に実施した高感度PSAは、すべて0.01以下でした。
- 予後について
- 摘出組織の病理学的検査により、がんは完全に除去されたと考えられ、事後のホルモン療法や放射線療法の必要はないとのことでした。また、高感度PSAが術後間もなく(3週間以内に)測定限界値以下に低下しており、その点からも、根治と考えられるようです。
- 平成13年8月末までは、高感度PSA値は測定限界値0.01以下であり根治と考えていましたが、今回のPSA異変(?)から、まだまだ根治と考えてはいけない、と考えるようになりました。(平成13年9月10日記)
- 平成15年3月25日の高感度PSAは、0.010となっていました。今までは0.01以下でしたので表示内容が変更されたのであろう、とは思いましたが、それが確認できるまで落ち着きませんでした。(平成15年4月24日記)
(追記)この記録は公開当初、HPの片隅に掲載していましたが、一人でも多くの同病者のお目にとまるようにと、思い切ってトップページに紹介欄を設けました。(平成12年8月1日記)
(追記)手術後 5年近く経ち、現在70歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成17年1月4日記)
(追記)手術後10年近く経ち、現在75歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成22年1月1日記)
(追記)手術後15年近く経ち、現在80歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成27年1月3日記)
(追記)手術後16年近く経ち、現在81歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成28年1月6日記)
(追記)手術後17年近く経ち、現在82歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成29年2月5日記)
(追記)手術後18年近く経ち、現在83歳ですが、体験記の表題は65歳のままとしています。(平成30年3月2日記)
前立腺がん体験記録
- 前立腺がんの手術をしました(木村 肇さん)
- 前立腺がん・最前線(美甘英二さん)
- 前立腺がんの手術日記(青山孟郎さん)
- 前立腺ガンの治療経過(平野吉孚さん)
- がんを明るく生きる(伊藤 勇さん)
- 前立腺癌を全摘除術で治療中(伊藤 昇さん)
- 前立腺がん 体験記(白木宏繁さん)
前立腺がん関連資料
- 国立がんセンター
- 神奈川県立がんセンター(三浦 猛さん)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2001年9月27日まで)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2002年2月以降)
- 前立腺がん関連記事(MedTrib:2005年1月以降)
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- PSA(前立腺特異抗原)についてのQ&A
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