定例新居浜小児科医会(平成5年3月以降)

新居浜小児科医会誌

第500回記念号 (平成22年12月1日発行
第400回記念号 (平成13年12月25日発行
平成29年(566回→572回)


第572回
新居浜小児科医会
忘年会
(29年12月13日、於寿司善

平成29年12月13日(水)に忘年会が「寿司善」で開かれました。
 出席者は9名でした。(敬称略)
(前列左から)松浦章雄、手塚優子、鎌田ゆきえ、星加 晃
(後列左から)真鍋豊彦、牧野 景、西村 幸士、山本浩一、加藤文徳

 第571回新居浜小児科医会
日時
平成29年10月11日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 「当院で経験した頭蓋内出血の正期産児4例」 愛媛県立新居浜病院小児科  大藤 佳子
話題提供  「熱性けいれんガイドライン2015の紹介」   愛媛県立新居浜病院小児科 福田 光成

 第570回新居浜小児科医会

日時
平成29年9月13日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 「新居浜市における小児吸入指導ネットワークについて」 愛媛県立新居浜病院小児科  西村 幸士
症例提示  「左椎骨動脈解離を伴った小児脳梗塞の男児例」   愛媛県立新居浜病院小児科 牧野 景 
 

1. 症例呈示 

新居浜市における小児吸入療法指導ネットワークについて

     愛媛県立新居浜病院小児科 西村幸士

愛媛県では県下全域で一定したレベルの吸入指導が受けられる「小児吸入療法認定指導制度」が発足している。薬剤師会と協力し、患者の吸入指導にあたる「インストラクター」、インストラクターを指導する「トレーナー」、トレーナーをまとめる「エリアマネージャー」からなる屋根瓦式指導システム構築を進めた。認定講習会・認定試験が施行され、これまでにトレーナー31名が認定された。来年度は各地区でトレーナーが主催する講習会が行われ、新たに吸入インストラクターが輩出される。平成32年までに県下で200名程度のインストラクター認定が目標である。新居浜市ではこれに先駆け、モデル地区としての小児吸入指導システムが平成27年から稼働している。新居浜市の各調剤薬局には前もって指導キットとチェックリストが配布されており、患者は希望の調剤薬局で同じ内容の吸入指導が受けられるようになっている。指導依頼医には、調剤薬局での指導内容が薬剤部を通して報告され、治療状況の把握に役立っている。
 平成2711月以後51名の小児気管支喘息患者に対し、市内23件、市外1件の調剤薬局あてに吸入ステロイド薬の指導箋が配布され、46名の指導内容が報告されている(報告率90%)。吸入指導における医薬連携システムをより良いものにするために、概要や稼働状況について、実際に指導をうけた患者の感想および吸入前後の呼吸機能検査について検討した。
 患者アンケートでは、指導後吸入継続率は約80%と良好で、患者の満足度は平均94点と高かった。指導時間はもう少し長く説明を希望する例が比較的多かった。吸入手技で難しいと感じるのは、息を吸うタイミングと吸入後の息止めであった。約50%が次回も指導を希望した。吸入指導後に調子がよくなったと感じたのは約70%であった。吸入指導後、呼気NO値のみ有意な低下を認めた。1秒率およびMMFは変化を認めなかった。
 吸入指導報告書によって患者の評価がフィードバックされるため、医師は次回以降の診療もより効率的になることが期待される。患者によって指導必要時間や手技の困難さが違うため、より患者のニーズに沿った指導ができる工夫が必要である。呼気NO値のみ有意な低下を認めたのは、こちらの方がより吸入ステロイド治療の反応性がよいためであり、継続して評価すれば、1秒率およびMMFも改善がされると考える。
 新居浜市の小児吸入指導における医薬連携システムは、問題なく稼働できており、医師の負担を軽減しつつ、患者にとっても満足度の高いものであった。今後はフィードバックを重ね問題点を改善し指導内容の向上を目指しつつモデルケースとして他の地域への制度拡大を予定している。

2.   症例呈示
 
左椎骨動脈解離を伴った小脳梗塞の男児例
 
      愛媛県立新居浜病院小児科 牧野 景

症例は15歳男児、嘔吐と意識障害を主訴に救急搬送された。頭部画像検査で小脳梗塞と診断された。入院時CTにて左視床、左小脳半球に明瞭な低吸収域あり、陳旧性の脳梗塞後変化が疑われ、頭部MRIにて両後頭葉(PCA領域)、左小脳半球に多発するDWI高信号域あり、急性期脳梗塞の所見も認めた。心電図にてPVC単発以外に異常なく、心エコー・レントゲンにても脳梗塞の原因となるような心疾患は認めなかった。またその他原因となる疾患についても血液検査にて異常はなかった。脳血管造影検査では頭蓋外C2レベルでの左椎骨動脈解離が認められ、保存的治療で症状は改善した。同様のエピソードは半年前にも認められていたが、当時は脳梗塞が強く疑われず、頭部MRIにて頭蓋内の血管には異常はなく、頭蓋外の頚部の血管までの精査はされていなかった。この時に、転倒して頚部を打撲したエピソードがあり、臨床経過とあわせて、今回最終的には、外傷性の左椎骨動脈解離と診断された。
 小児期脳梗塞の原因は多様であり、脳動脈解離はその約1割を占める。小児脳梗塞の頻度・分類・部位については、日本はもやもや病が多く、正確な統計はないが、カナダ、アメリカ、ドイツでは、虚血性脳血管障害が10万人あたり2.53.3/年という頻度であった。また分類では動脈性(虚血性梗塞)のものが8090%、残りが静脈性(静脈洞血栓症)であった。またSatoらの報告ではもやもや病は入っていないが、今回のような椎骨動脈領域、後方循環は頻度としては少ないということであった。
 小児期脳梗塞の診断に際しては頭蓋外の血管の精査も念頭に置く必要があると思われ、小児科では鎮静の問題などもあると思われるが、特に外傷歴があるなどの脳血管病変を疑う場合には、頭蓋外のより広範囲の精査を行うべきと考えられた。


第569回
新居浜小児科医会
夏季懇親会
(29年7月12日、於てんふじ

平成29年7月12日(水)、夏季懇親会が「てんふじ」で開かれました。
 出席者は8名でした。(敬称略)
(前列左から)福田光成、鎌田ゆきえ、真鍋豊彦、松浦章雄
(後列左から)牧野 景、浅見経之、加藤文徳、山本浩一

第568回新居浜小児科医会

日時
平成29年4月12日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 「ノロウィルスとロタウィルスにおける酸塩基平衡と尿アニオンギャップの検討」 愛媛県立新居浜病院小児科  鎌田 ゆきえ
症例提示  「当院における先天性甲状腺機能低下症」   愛媛県立新居浜病院小児科 牧野 景 
 

1. 症例呈示

ノロウイルスとロタウイルス感染における酸塩基平衡と尿アニオンギャップの検討
     
   愛媛県立新居浜病院小児科 鎌田ゆきえ

 ノロウイルス(NR)やロタウイルス(RV)感染に伴う胃腸炎の管理には進行する脱水補正と代謝性アシドーシスや潜在するケトーシスへの対応が求められる。今回、我々は酸塩基平衡と尿ケトン体検出の特徴から、来院時のケトアシドーシスと高Cl性代謝性アシドーシスの進行段階を推測した。さらにウイルス感染に伴う胃腸炎患者における尿中Anion GapAG)に着目して、 NRRVでの特徴の違いを解析し、尿中AGの臨床応用を試みたので報告する。
 期間は201511日から2016610日。対象は、北九州市立八幡病院で糞便検体で迅速診断法(免疫クロマト法)によって診断し、輸液開始前に静脈血ガスが測定され、輸液後の初回排尿が採取できた症例である。気道感染等の他疾患を合併した症例は除外した。RVは44名、NVは38名だった。HCO3<22mmol/lを代謝性アシドーシスとした。RV38名、NVは28名だった。AGΔAG=AG-12 ΔHCO3-=24HCO3-の結果から、高AG性アシドーシス(ΔAG≧3、ΔHCO3--ΔAG≦3)、高Cl性高AG性アシドーシス(ΔAG≧3、ΔHCO3--ΔAG≧3)、正AG性アシドーシス(ΔAG≦3、)の3群に分けた。さらに高AGの有無により、尿ケトン体を比較した。高AG性代謝性アシドーシスの中に、尿ケトン体陰性の群を認めた。尿試験紙法はアセト酢酸を中心に検出するため、尿中アセト酢酸以外のケトン体であるβOHBAの存在が示唆され、従ってケトアシドーシスの初期相であることが予想された。そこでⅠ群高AG性代謝性アシドーシス+尿ケトン(−)、Ⅱ群高AG性代謝性アシドーシス+尿ケトン(+)、Ⅲ群 正AG性代謝性アシドーシス+尿ケトン(+)、Ⅳ群正AG性代謝性アシドーシス+尿ケトン(−)、ⅠからⅣ群の順でアシドーシス進行すると推測し、この4群で、尿AGと血中HCO3-を比較した。ノロウイルスでは、すべての群で尿AGと血中HCO3-濃度は正の相関を示したが、 ロタウイルスでは  尿AGが低くNH4排泄増加が示唆された。
 従来の報告のとおり、ロタウイルスでは結石形成に留意すべきであると考えた。 

2.   症例呈示

 先天性甲状腺機能低下症の一例  

     愛媛県立新居浜病院小児科 牧野 景

 はじめに:先天性甲状腺機能低下症の最重症型の症例を経験した。当院での甲状腺機能低下症(潜在性を含めた)の症例についてまとめた。
先天性甲状腺機能低下症(CHCongenital hypothyroidism、以下CH)は、胎生期または周産期に生じた甲状腺の形態または機能異常に因る先天的な甲状腺ホルモン分泌不全の総称である。永続性、一過性も存在するが、いずれにせよ治療が最優先される。

症例:【主訴】体重増加不良、マススクリーニング異常、【現病歴】生後11日、新生児マススクリーニング結果にてTSH177.1μIU/mLと高値であり、地元の産科から当院を紹介され受診した。体重増加不良もあり、精査加療目的で入院した。【周産期歴】在胎411日、出生体重2445g、児心音低下あり、帝王切開で仮死なく出生(地元産科)【母体歴】甲状腺疾患なし。ヨードを含む食品の過剰摂取なし。造影検査の既往なし。消毒液多量暴露歴なし。【現症】体重2498g、身長46.0cm、体温36.9SpO2:100%、心拍数:154/分、呼吸数:52/分、大泉門:平坦、小泉門:開大、眼周囲:軽度浮腫様、舌:やや大きめ、頚部:明らかな甲状腺腫なし、呼吸音:清、心音:純、整、腹部:軟、腸蠕動音聴取、肝脾腫なし、臍ヘルニアなし、全身浮腫なし、皮膚:乾燥なし、軽度黄染、明らかな外表奇形なし、末梢冷感なし。【血液検査】TSH :669.1μU/mLFT3: 2.00pg/mLFT4:0.38 ng/mL【下肢レントゲン】両側大腿骨遠位端に骨端核なし。【経過】入院後レボチロキシンNa 12μg/kg/日分1で開始した。以後体重増加も良好となり、FT4もすみやかに正常範囲となり、TSHは徐々に低下傾向となった。【考察】本症例では、マススクリーニングで発見され日齢11と早期に治療を開始できたが、最重症例であり、今後発達の慎重な経過観察が必要である。
当院の症例:当院での甲状腺機能低下症症例は17例あり、年齢は生後1か月~173か月、高TSH血症がメインの無症候性が多く、基礎疾患としては21トリソミーが多かった。
結語:特に重症例では早期の診断・治療介入を行うことで、知的予後の改善が見込める。


第567回
新居浜小児科医会
送別会
(29年3月8日、於常富寿司

平成29年3月8日(水)、占部智子先生(十全総合病院)、村尾紀久子・加賀田敬郎先生(愛媛県立新居浜病院)の送別会が「常富寿司」で開かれました。
 出席者は12名でした。(敬称略)
(前列左から)真鍋豊彦、加藤文徳、占部智子、村尾紀久子、加賀田敬郎、山本浩一
(後列左から)牧野 景、松浦章雄、鎌田ゆきえ、浅見経之、瀧上智帆、星加 晃

第566回新居浜小児科医会

日時
平成29年2月8日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
特別講演 「ミティキュア症例と舌下免疫療法の意義」 医療法人聖光会 鷹ノ子病院 副院長  高橋 宏尚先生



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