定例新居浜小児科医会(平成5年3月以降)

新居浜小児科医会誌

第500回記念号 (平成22年12月1日発行
第400回記念号 (平成13年12月25日発行
平成30年(573回→578回)


第578回新居浜小児科医会

日時
平成30年10月10日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 「愛媛県新居浜市の保育園幼稚園における食物アレルギー対応についての変遷と今後の課題」 愛媛県立新居浜病院小児科  浅見 経之
症例提示  「低身長の鑑別診断には早期空腹時の亜鉛値を用いるべきである」  愛媛県立新居浜病院小児科   山根 淳文

 第577回新居浜小児科医会

日時
平成30年9月12日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 「日本紅斑熱の3例~日常診療で遭遇するダニ媒介疾患~」 愛媛県立新居浜病院小児科  山根 淳文
症例提示  「当院救急外来を受診した小児の外科的疾患の現状」  愛媛県立新居浜病院小児科  手塚 優子

第576回
新居浜小児科医会
夏季懇親会
(30年7月11日、於旬花酒灯てんふじ

 平成30年7月11日(水)に夏季懇親会が「旬花酒灯てんふじ」で開かれました。
 出席者は5名でした。(敬称略)
(前列左から)牧野 景、松浦章雄、山本浩一
(後列左から)真鍋豊彦、加藤文徳

銅山峰一巡(平成3020日) 

5月20日(日)、新居浜小児科医会有志が旧別子・銅山峰一巡を楽しんだ。参加者は、松浦章雄、加藤文徳、県立新居浜病院大藤佳子、手塚優子夫妻、真鍋豊彦の6名。7時30分山根公園駐車場集合、2台の車で日浦登山口に。駐車場は満杯、少し道を下った路肩に駐車。8時20分登山開始、快晴に恵まれルンルン気分、ダイヤモンド水9時20分、東延斜坑分岐10時30分、ウロウロ、歓喜坑10時35分、銅山越11時10分、展望を存分に楽しむ。たまたま居合わせ女性に集合写真を撮って貰った。下山は蘭塔婆経由で。蘭塔婆12時35分、ダイヤモンド水13時15分、日浦登山口14時着。


第575回新居浜小児科医会

日時
平成30年4月11日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 「精神疾患合併妊婦への育児支援の必要性~当院の事例を通して~」 愛媛県立新居浜病院小児科  鎌田 ゆきえ
話題提供  「愛媛県における乳児およびCPA症例の救急搬送の実態について」  愛媛県立新居浜病院小児科 田代 良

第574回
新居浜小児科医会
送別会
(30年3月14日、於常富寿司

平成30年3月14日(水)に愛媛県立新居浜病院の福田光正先生と西村幸士先生の送別会が「常富寿司」で開かれました。
 出席者は10名でした。(敬称略)
(前列左から)大藤佳子、西村幸士、福田光成、手塚優子
(後列左から)真鍋豊彦、山本浩一、松浦章雄、鎌田ゆきえ、田代 良、加藤文徳


 第573回新居浜小児科医会

日時
平成30年2月14日(水)
場所  新居浜市医師会館   ・  ・
症例提示 コエンザイムQ10で加療しているADCK4遺伝子異常による巣状分節状糸球体硬化症の4歳女児例 愛媛県立新居浜病院小児科 手塚優子
話題提供  インフルエンザワクチンの有効性 高橋こどもクリニック 高橋 貢 

1.症例呈示
    
  コエンザイムQ10で加療しているADCK4遺伝子異常による巣状分節状糸球体硬化症の4歳女児例

      愛媛県立新居浜病院小児科 手塚優子 

ADCK4遺伝子はコエンザイムQ10CoQ10)の生合成に関わる遺伝子のひとつであり、その異常によりステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)を発症する。腎外症状がほとんどなく、巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)や全節性硬化所見がみられ、ステロイドや免疫抑制剤の治療効果は乏しく、腎機能障害が進行し平均16.1歳で腎代替療法を要するとされる。

症例は4歳女児。周生期歴、既往歴に特記事項なく、腎不全や検尿異常の家族歴はない。201610月感冒時の検尿で蛋白尿を初めて指摘された。低アルブミン血症や腎機能障害はなく、高度蛋白尿(Upro/Cr=3.56.0)が持続するため、当科を紹介された。腎生検では56個の糸球体のうちglobal sclerosis2個、虚脱2個、segmental sclerosis 1個、間質に斑状の線維化を認め、FSGSと診断した。ネフローゼを伴っておらず、ACE阻害剤を開始したが蛋白尿が持続し、20171月からmPSL-pulse 3kurPSL 1mg隔日後療法を行い、Upro/Cr2前後となった。さらにCy-Aを追加し、Upro/Cr0.3台へ改善した。

同年2月遺伝子解析にて、ADCK4遺伝子に複合ヘテロ・ミスセンス変異(p.Ser246Asn,  p.Arg178Trp)が判明した。いずれも疾患との関連性が報告されている変異であった。両親の解析で、父がp.Arg178Trp、母がp.Ser246Asnの保因者であった。遺伝子異常によるFSGSと確定後、PSLを漸減中止し、その後Cy-Aも中止した。愛媛大学の倫理委員会の承認を得て、CoQ107.5mg/kg/日で開始し、維持量を15mg/kg/日とした。開始前のACE-I中止により、Upro/Cr1.9と増加したが、CoQ10開始1.5ヵ月後に0.58まで低下した。投与開始後4カ月の時点で、Upro/Cr0.50.7で推移しており、ACE-Iを再開した。現在、コエンザイムQ10ACE-Iの併用で、Upro/Cr0.20.5台となり、腎機能障害は認めていない。また、治療による副作用もみられていない。

ADCK4遺伝子異常による腎症は2013年に初めて病因として報告されたものであり、長期予後など不明な点も多い。SRNSを呈するとされるが、本症例のようにNSに至っていない例もある。本症例で「ミトコンドリア病を疑う所見がないか」を検討したが、血中乳酸/ピルビン酸比(L/P)が22.5と基準値である20をわずかに超えているものの、有意な上昇とはいえなかった。コエンザイムQ10濃度、とくに還元型比率の低下(16.6%:平均80-90%)はみられたが、この検査は保険外検査であり、日常的に行える検査でもない。また近年、ミトコンドリア疾患との関連が報告されているFGF21GDF15などのマーカーも正常であった。本疾患は腎症状以外の全身症状が乏しいため、診断確定には遺伝子検査が必要となってくる。ネフローゼを呈さないような非典型的なFSGSをみた場合に、遺伝子異常に伴うFSGSを念頭に置き、遺伝子検査を行うことが大切であると再認識した。

本症例のように低年齢で診断が確定し、ステロイドや免疫抑制剤を最小限にして、早期からCoQ10を開始できた場合、腎機能障害の進展を抑えうる可能性があり、今後の長期経過を注意して追っていきたい。

(謝辞) 

遺伝子検査を行っていただきました神戸大学小児科 野津寛大先生、FGF21GDF15の測定を行って頂きました久留米大学小児科 八ツ賀秀一先生、古賀靖敏先生に深謝申し上げます。

2.話題提供
  
  インフルエンザワクチンの有効性   
      高橋こどもクリニック    高橋 貢

 はじめに

 インフエンザワクチンの有効性については議論があり、特に小児における有効性については、疑問を呈する意見もある。統計学的に検討し、有効であるとする報告は多数存在するものの、その有効性は高いものとは言えない。

目的

 当院における 2015-2016年シーズンおよび2016-2017年シーズンのインフルエンザ症例について、インフルエンザワクチンの有効性を検討する。

対象および方法

対象は2016-2017年シーズンおよび2015-2016年シーズンにインフルエンザ様症状を呈し、当院を受診し迅速検査を施行した1132件(1099例)および1438件(1400例)

3日以内に2回検査し陰性から陽性判定された件数はそれぞれ、33件および38件であった。)また、2016-2017年シーズンではB型が少数であったため、A型のみを対象とした。

方法は

 1)接種群と非接種群の発病率の比較および

 2)診断陰性例コントロール研究(test-negative case-control design)を用いて解析した。

結果

 1)接種群と非接種群の発病率の比較

  ①2016-17H28-29)年シーズンではA型は30%の有効率

  ②2015-16H27-28)年シーズンではA型は50%、B型は17%の有効率

 2)診断陰性例コントロール研究(test-negative case-control design

  ①2016-17H28-29)年シーズンでは52%(A型)の有効率

  ②2015-16H27-28)年シーズンでは45%(AB型)の有効率

考察

 今回の調査では、インフルエンザワクチンの有効性は30-50%であり、他の報告とほぼ同様であった。『非接種者で発病した者の30-50%は、接種をしていれば発病が避けられた』と結論された。  しかし、自施設のみでのワクチン接種後のインフルエンザ感染例を解析した後方視的な調査であり、多施設や地域での広範囲な調査でないこと、対象の年齢、基礎疾患、既インフルエンザ歴などを考慮していないこと、ワクチン接種と非接種の母集団が一定でないこと、診断はキットによるものであり、ワクチンの有効性を評価するには限界があると思われた。


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