2020年の東京五輪・パラリンピックを前に、政府が今国会への提出を目指している受動喫煙対策を強化する法案について、がんの患者団体や医療系学会などの約150団体が24日、飲食店も含め屋内全面禁煙を求める要望書を塩崎恭久厚生労働相に提出した。記者会見で、参加団体の一つ、日本肺がん患者連絡会の長谷川一男代表(46)は「子どもや孫にたばこの害がない世界、未来をつくってほしい」と呼びかけた。
 法案をめぐっては、飲食業界やその支援を受ける自民党議員らの反対が根強く、政府は小規模飲食店の一部を原則建物内禁煙(喫煙室設置可)の例外とすることを検討している。
 7年前にステージ4の肺がんと診断された長谷川さんは喫煙歴はなく、テレビディレクター時代に受動喫煙にさらされた。「(喫煙者は)自分の喫煙で身近な人ががんになるかもしれないと想像してほしい」と訴えた。
 日本循環器学会などでつくる「25学会禁煙推進学術ネットワーク」の藤原久義理事長は「受動喫煙をなくせば年1万5千人の死亡を減らせる。医療者としては看過できない。面積基準による例外、喫煙室の例外は認めるべきではない」と話した。
 がん患者や有識者でつくる厚労省の「がん対策推進協議会」も23日、建物内禁煙を基本とすることを求める意見書を厚労相に出した。がん研究会有明病院名誉院長の門田守人会長は「他人の煙を吸わされる状況はあるべきではない」と例外を設けないよう求めた。(平成29年2月)-朝日新聞から)